元教員が挙げる、公立小中学校でやめるべき学力テスト対策5つ

投稿者: | 2017年1月30日

国、都道府県、市区町村と自治体によっては3種類の学力調査を行わなくてはならない公立小中学校。

文科省によると学力調査の目的は、

・義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
・そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
・学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。

(出典:文科省「全国的な学力調査・調査の目的」)

であり、この通りに実施されれば良いのですが、実際には拡大解釈をして、「学力テスト対策」が行われる学校や自治体も少なくないです。

今回は、私が小学校教員時代に実際に体験したことから、「公立小中学校でやめるべき学力テスト対策5つ」を挙げます。

 

1.自治体内で競わせる

学力調査のことでよくニュースになるのは、都道府県レベルの順位づけ(国の学力調査)です。

しかし、私が勤務していた学校現場で最も影響をもっていた学力調査の順位づけは、市区町村実施の学力調査でした。

その自治体では、教育委員会が自治体内の学校を順序づけを行い、自治体内の学校同士を競わせ、結果が向上した校長および学校を評価していました。

しかし、このように順位付けを行うことは、前述のとおり文科省が示す学力調査の目的に合致しません。

確かに、「指導の充実や学習状況の改善等に役立てる」ことは目的に沿っていますが、学校同士を競わせることは明らかに学力調査の拡大解釈であり、悪用です。

 

2.過去問に取り組む

小学校の場合、日頃子どもたちが取り組む業者作成の単元テストと学力テストの問題は形式が異なります。低学年~中学年の子どもは、学力テストのような問題用紙と解答用紙が異なる問題を解いたことがない児童も多いです。

そして、前述のとおり自治体内で順位付けが行われる場合もあるため、各学校では学力調査の過去問に取り組むことになります。(あるいは教育委員会から取り組むよう指示される場合もあります)

ただでさえ授業時数の確保に四苦八苦している今の学校現場にとって、本来は学力調査の過去問に取り組むような時間的な余裕はないのですが、他の学習時間が削って行われることになります。

もっと具体的に言えば、勉強が苦手な子どものために教員が確保している時間が削られるのです。

また、当初の目的からもズレています。学校同士を競わせた結果、「学力テストで結果を出すこと」が学力調査の目的になってしまっているのです。

時間が奪われ、目的に合致していない、過去問対策、やめるべきです。

 

3.過度な補習

通常、取り組んだ問題に対して、一斉なり個別なりで答え合わせ・解説を行う必要があることは言うまでもありません。

しかし、学力テストや過去問に取り組んだ際の答え合わせ・解説は、難しいものがあります。

  • ・問題数が多いためとにかく時間がかかる
  • ・正答した児童にとっては無駄でしかない時間
  • ・正答できなかった児童にとって一斉指導では理解が難しい場合が多い

等の理由が挙げられます。

よって、私が勤務していた学校では、授業での一斉解説に加え、成績の悪かった児童に対し、放課後や夏休み等を活用して補習させることになっていました。

しかし、彼らのような勉強が不得意な子どもは、往々にして宿題や授業での課題など日常の学習も遅れていることが多く、まるで雪だるまのように増えていく借金のように終わらない課題が積もり重なっていくケースが多いのです。

そんな風に毎回毎回補習に参加させられることで彼らは劣等感を感じ、精神的にも追い込まれ、益々勉強嫌いになるのではないかと私は心配しながら補習を行っていました。

また、私の勤務していた自治体ではそれでけにとどまらず、学力調査対策にエスカレートした教育委員会が成績の悪い中学1年生数十人をピックアップして、夏休みに前6年担任を駆り出し小学校レベルの復習を行う勉強合宿を実施し始めました。

このような過度な補習は一時的に学力調査の結果は向上するかもしれませんが、長期的には子どもを(教員も)追い込み、勉強嫌いの子どもを増やすだけだと私は思います。

 

4.自校採点

学力調査の採点は予算がつかず教員に自校採点させる場合と予算がついてアウトソーシングをして外部の業者が採点する場合があります。

しかし、いずれにしても自校採点になる場合があります。

どういうことかというと、外部の業者にアウトソーシングしている場合も、外部の業者に採点されて返ってくるのは数か月後のため、すぐに結果を把握し分析するためにコピーをとって自校の教員を使って採点させることがあるのです。

教員の負担を軽減し、本来の業務に集中させるためにわざわざ予算をつけているのに、意味が不明です。

 

5.S―P表作成など過度な分析と報告書提出

S-P表とは、Student-Problem score tableの略で、設問の高得点順、正答者数の多い順に被験者と設問を並び替えた正誤パターン表のことで、テスト問題の特徴や被験者の反応パターンなどを把握するための手法です。

確かに、「児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」ことは文科省の学力調査の目的とも外れてはいません。

しかし、日々の業務が忙しすぎる教員にS-P表を作成させるまでの分析が必要だとは思えません。そのような時間があるのであれば、翌日の授業の準備に充てた方がよっぽど児童の学力向上につながります。

S-P表など高度な分析を行いたいのであれば、アウトソーシングするか教育委員会が作成するかすべきで、現場の教員に負担を負わすべきではありません。

 

★まとめ

本来の目的に沿った学力調査が行われれば良いのですが、学校同士競わせたり、過去問に取り組ませたりする「学力調査対策」が行われている自治体があるのが現在の学校現場の実態です。

学力調査を利用して支持率を上げようとする政治家や教育委員会内での出世を狙う指導主事や管理職がいる限りこの流れは変わりません。

もう一度、本来の目的に立ち返るか、あるいはそれが出来ないのであれば学力調査自体をやめるべきです。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「元教員が挙げる、公立小中学校でやめるべき学力テスト対策5つ」でした!

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