今の学校現場は各々が利己的な行動をとると担任だけが理不尽に追い込まれる構造になっていることを元教員が説明する

小学校教員時代、担任以外の学校関係者全員が利己的な行動をとることによって、担任だけが理不尽に我慢を強いられ、追い込まれていく場面を数多く見てきました。

今回はその経験から、なぜ各々が利己的な行動をとるのか、また各々が利己的な行動をとったその結果どうなるのかについて、まとめました。

では、「今の学校現場は各々が利己的な行動をとると担任だけが理不尽に追い込まれる構造になっていることを元小学校教員が説明する」です。

◆子どもの利己的行動

まず、子どもです。

同級生とのトラブルや担任からの指導で納得がいかなかった場合等、子どもが利己的な行動をとることがあります。

親に、

  • 親に叱られないようにするために嘘をついて話す
  • 自分に都合が良い部分だけを話す

のです。

よくあることです。

まだ子どもなので仕方のない部分もあります。

◆保護者の利己的行動

次に保護者です。

皆が皆そうではありませんが、なかには自分の子どもの話を無意識に「信じたい」「ウチの子がウソをつくはずがない」と思って、聞く親がいます。

ウソをつく子に育てたとは思いたくないからです。

しかし、子どもの「自分に都合の良い話」は、大抵我が子は被害者で、それも酷い目に遭っているという話が多いです。

そのため、このような親は冷静さを欠いてしまい、冷静に聞けば話に矛盾点があることに気づいたり、担任に確認をとったりすることができるところ、それができない精神状態になってしまいます。

するとどうなるか。

事実の確認もしていないのに、担任や管理職にクレームを入れるという利己的な行動をとってしまいます。

「担任の指導・対応はどうなっているのか」と。

しかし、クレームがまず担任に来ればまだマシです。しっかりと事実関係を確認して、対応すれば良いからです。

昨今は担任を飛び越していきなり校長に話を持っていく保護者も少なくないです。

◆管理職の利己的行動

そうなると、次は管理職です。

昔であればクレームを受けた校長が「地域の名士」として親をたしなめ担任をフォローしていたのでしょうが、「サービス業の店長」としか思われていない今はそうもいきません。

それどころか、管理職、教育委員会に話を持っていかれることを怯えています。

自分の評価が下がるからです。

全員ではありませんが、そのような理由によってここで利己的な行動をとる管理職が非常に多いです。

何をするか。

担任に謝らせる、これです。

もちろんケースにもよるし、別に具体的な対応が必要な場合もありますが、このようなクレームを入れてくる大抵の親が求めているのは「謝罪」です。

利己的な管理職にとっては、担任が正しかろうが間違っていようが、子どものためになろうがなかろうが、そんなの関係ありません。

自らの保身が最優先なのです。

担任に謝らせることで一件落着にしたいのです。
(ここで、担任に謝罪させるという一点において、親と管理職の利害が一致してしまうのです)

担任はこの時点で、かなり精神的に疲弊していますが、ひどい場合さらに追い込まれます。

◆教育委員会の利己的行動

最後に、教育委員会です。

学校での話し合いで納得のいかない場合、親は教育委員会に話をもっていきます。

もちろん、いじめなどの重大な問題で学校だけでは解決が難しい場合、教育委員会に相談するのは悪いことではないと思いますが、私が知っている限り、ほとんどのケースは重大な問題ではなく、単に利己的な行動をとっている親のクレームです。

そして、教育委員会も管理職同様自己保身が最優先課題なので、担任が正しかろうが間違っていようが、子どものためになろうがなかろうが、そんなの関係ないのです。

とにかく問題にならないこと。

彼らは、マスコミ等の報道に超怯えています。

だからそんなリスクが1ミリでもある場合、担任を呼び出して謝らせようとしたり、担任の授業を監視しに行きチェックしたというアリバイ作りを行います。

ここまで来ると、もう「いじめ」です。

★まとめ

担任が理不尽に追い込まれ、疲弊する。これも大きな問題ですが、本当に最悪なのはこのように関係者全員が利己的な行動をとることによって、子どもが悪い学習をしてしまうことです。

つまり、納得がいかないことがあったときや嫌いな先生がいたときに、自分に都合の良い話を親にすれば、自分の思い通りになる、と学ぶことです。

こうなってしまうと、もう校内の教員はその子の問題行動を見ても、見て見ぬふりをするようになります。指導してもメリットがないし、自分に火の粉が飛んでくるのは嫌ですから。

本来、周囲の関係者は担任が指導を進めやすいような環境づくりサポートしたり、協力したりするべきところです。しかし、今の学校現場は皆がいっぱいいっぱいなため、利己的な行動を取らざるを得ないのだと思います。(だからといって肯定するつもりは一切ない)

これでは潰れてしまう担任も出てきて当然です。子どもの指導がしづらくなって当然です。

そろそろ、「いじめがあると評価が下がるので隠ぺいする」問題と同様、「クレームを受けた教員(管理職)=評価が下げる」という価値観を変えていかなくてはならないのでしょうか。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「今の学校現場は各々が利己的な行動をとると担任だけが理不尽に追い込まれる構造になっていることを元教員が説明する」でした!

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