平日も土日も小学校も中学校もいずれの職種も勤務時間が増加!文科省「教員勤務実態調査」の集計速報値から10年前と比較する!

投稿者: | 2017年5月7日

2017年4月28日、文科省から「教員勤務実態調査(PDF)」の集計速報値が発表されました。

この結果を受け、皇學館大学准教授・遠藤司氏は、

授業関連、生徒指導、会議・研修の3つのみを教員が行うとすれば、小学校で8時間27分、中学校で8時間24分の勤務となる。つまり、学校運営と事務作業の大きな部分を教員ではない者が行えば、劣悪な職場環境は改善されるということである。(出典:小中学校の教員には子供の教育に専念させよ

と述べています。

私も、この調査結果から判明したことについて、10年前の結果との比較を通じてまとめていきます。

 

◆平日も土日も小学校も中学校もいずれの職種も勤務時間増加!

(出典:文科省「教員勤務実態調査」)

最新の平成28年度の調査結果と10年前の平成18年(2006年)の結果を比較すると、何と恐ろしいことに、

  • 平日も
  • 土日も
  • 小学校も
  • 中学校も
  • 校長も教頭(副校長)も教諭も講師も養護教諭も

全員の勤務時間が増えていることです。

これは、公立小・中学校の現場がこの10年で更に過酷になったといって差し支えない結果ではないでしょうか。

なかでも平日は、小学校教頭(副校長)と教諭の勤務時間が特に増加しており、1日あたり約40分増(週あたり約4時間増)でした。増加した理由は、教諭に関していえば「授業時間」の増加(「学年・学級経営」と合わせて1日あたり38分増)が読み取れます。(副校長の理由はこのデータからは不明)

これはいわゆる”脱ゆとり”の指導要領の改定が行われたこと等による影響でしょう。

一方、中学校(全職種)は土日の勤務が特に増加しており、教諭は1日あたり1時間49分増(週当たり教諭で5時間増)でした。この内訳を見ると、「部活動」が1日あたり1時間4分増となっていて、部活動の過熱ぶりがこのデータからも見て取ることができます。

 

◆持ち帰り残業は僅かに減少。しかし・・・

(出典:文科省「教員勤務実態調査」)

一方、文科省は10年前と比較して学校での勤務時間は長くなっているものの、持ち帰り業務時間は僅かながら減少している、とまとめています。

前回の調査と比較して、学内勤務時間は増加している一方、持ち帰り業務時間は若干減少している。(出典:文科省「教員勤務実態調査」)

確かに、小学校(教諭)で見ていくと、平日で9分、土日で18分、持ち帰り業務が減っています。

しかし、学内勤務時間(教諭)もあわせて見ていくと、小学校では平日の学内勤務が1日あたり43分、土日の学内勤務が1日あたり49分増えています。(原則、部活動がないにもかかわらず)

そして、学内勤務時間から持ち帰り業務時間を差し引いて、総合的に見ていくと結局は、

  • 平日⇒1週あたり2時間50分増
  • 土日⇒1週あたり1時間2分増

となります。

つまり、仕事をしている時間全体で見ると労働時間は増えていて、自宅に持ち帰って仕事を行うことは減っているものの、その分+α、土日の休日出勤も含めて学校で仕事を行う時間が増えた、ということが読み取れる、ということです。

どうしてこうなったか。

ここからはデータから分かることではなく、現場経験者としての推測になりますが、ここ10年で行われた、「校務支援システムの導入」「USBでのデータ持ち出しが禁止」になったことが大きいと私は思います。

例えば成績表を作成するのに、以前は自宅でできていた仕事が学校に行かないと作成できない環境になりました。そのような環境の変化がこのような結果を生んだのではないでしょうか。

文科省は、「持ち帰り業務は減った」と四角囲みで記載していますが、実際はその分(+α)を学校で行うようになっただけです。むしろ悪化したといっても過言ではありません。

 

◆他のデータと照らし合わせてみると・・・

下のデータは、精神疾患で休職した公立学校の教員数の推移です。

(出典:毎日新聞「休職教員6割 15年度公立校、また5000人超え」2016年12月23日)

このデータから、10年前の2007年(平成19年)頃から休職者が5000人で高止まりしていることが分かります。

また、最近副校長(教頭)のなり手が不足していることもニュースになっている副校長“120人不足” 教育の現場で何が?(出典:NHK2016年7月27日)】ように、東京都のデータでは、管理職昇任試験(副校長試験)でも、2倍程度に低下し始めたのが同時期の2007年(平成19年)頃からです。

こちらのデータでは平成22年以降がありませんが、東京都総務部人事局「平成 28 年度東京都人事行政の運営等の状況」によると、それ以降も低止まりで最新・平成28年度のデータでも倍率も1.1倍に留まっています。

他にも要因がある可能性があるため、これだけのデータで、勤務時間が増えたことと、休職者数の増加・副校長試験倍率低下が相関していると言い切ることはできないかもしれません。

しかし、逆にこれらがまったくの無関係であるともいえないのではないでしょうか。少なくとも一現場経験者としては勤務時間の増加が大きな要因の一つであると思います。

 

★まとめ

今回の調査結果により、10年前と比較して、平日も土日も小学校も中学校もいずれの職種も勤務時間が増加し、しかも自宅での持ち帰りができなくなり、学校での勤務を強いられているという現状が明らかになりました。

(そして、それは休職者数が増え始めた時期や管理職試験の倍率が下がり始めた時期と合致します)

今回の調査結果で、この10年間のみにおいても学校の労働環境は悪(ブラック)化したということが、はっきりしました。

文科省、もう調査は充分なので、すぐにでも改善に取り掛かるべきです。

個人的には冒頭で紹介した遠藤氏の指摘の通り、部活動の外部化も含めて、雑務を教員から切り離す施策が有効だと思います。

少数ではありますが、既に事務補助員を配置して、改善に乗り出している自治体もあるようです。

過労から教員守れ 北方町教委が小中学校に補助員配置(出典:岐阜新聞2017年5月2日)

このような施策を文科省がリードして進めていくべきです。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「平日も土日も小学校も中学校もいずれの職種も勤務時間が増加!文科省「教員勤務実態調査」の集計速報値から10年前と比較する!」でした!

関連記事:尾木ママが10年前に指摘した教員が病む10の理由が現在でもまったく改善されていない件

 


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