いじめは子どもの本性!いじめ調査は逆効果!退学処分と転校を容易に!橘玲氏の「いじめ論」をまとめてみた!

投稿者: | 2017年5月9日

社会問題になってから久しいにもかかわらず今も自殺する子どもが絶えない、いじめ問題。

今回は、このいじめ問題について、週刊誌に掲載された連載から橘玲氏の主張についてまとめました。

 

◆いじめが起きるのは誰のせい?

まず、橘氏はいじめは、学校のせいでも行政のせいでも親のせいでもないと述べます。(教師がいじめに加担していた等の特別な例は除いてということだと思います)

進化心理学によると、いじめは「子どもの本性」によって起きてしまうものだといいます。

子どもは必ず友だち集団をつくりますが、そのためには仲間(内)と仲間でない者(外)を区別する指標が必要で、その境界を超えて仲間に加わるのが通過儀礼です。集団の結束を高めるために特定のメンバーを排除するのも、仲間にしてもらうのに「小遣い」のような代償を支払うのも、古今東西、子どもの世界ではどこでも起きていることです。

いじめ問題が「子どもの本性」だとすれば、学校や行政をどれほど叩いても根絶できません。(出典:親がいくら説教してもいじめはなくならない 週刊プレイボーイ連載

私も、(隠ぺいした場合を除いて)昨今のいじめが発覚した際の学校・教育委員会の責任を問う風潮に違和感を感じていました。教員1人で30~40人の子どもを全て把握できるわけがなく、いじめを完全になくすことなどできないからです。

そして、橘氏は「いじめはなくらない」と踏まえたうえでのいじめ対策を行うべきと主張されています。

だとしたら、「いじめはなくならない」という不愉快な事実を受け入れたうえで、それが限度を超えないよう抑止する制度をつくるしかありません。

 

◆いじめ調査は逆効果?

いじめ対策の一環として、熱心に行われているいじめ調査。

しかし橘氏は、いじめ対策として行われている「いじめ調査」については懐疑的に見ています。

2014年に行われた調査ではいじめ認知の件数が最多の京都府と最少の佐賀県のあいだに約30倍の開きがあり、文科省の有識者会議が、「いじめを小さな段階で幅広く把握するため」いじめの認知件数が少ない都道府県への指導を求めた、ということがありました。

児童生徒のいじめ認知、22万件で過去最多…都道府県格差も最大26倍 最多は京都府、最少は…(出典:産経新聞2016年10月27日)

いじめ防止対策推進法の施行状況に関する議論のとりまとめ(出典:文科省pdf2016年10月26日)

が、橘氏は、

この政策提言にエビデンスはあるのでしょうか。(中略)誰もが知っているように、人間はもっと複雑です。

と述べ、この提言(いじめ調査)がいじめ防止につながるのか懐疑的な見解を示しています。

文科省のいじめ調査も逆効果になる可能性があります。「対策」の結果で、学校でものすごい数のいじめが行なわれていることが判明したとしましょう。するとそれを見た子どもは、みんながやっているのだから、自分もいじめていいと思うかもしれないのです。(出典:「いじめ防止対策」すればいじめが増える? 週刊プレイボーイ連載

 

◆では、いじめを防ぐためには?

では、いじめ防止への対策はどうすれば良いのかというと、橘氏は、

  1. 校長の権限で退学などの措置をとれるようにする
  2. 転校を容易にする

という2つの方法を提案しています。

具体的には、公立学校でも悪質ないじめと認定した場合は、校長の権限で退学などの措置をとれるようにすべきです。子どもは損得に敏感ですから、明確に罰則が示されれば恐喝まがいの行為は躊躇するでしょう。それと同時に転校容易にして、いじめられた子どもが大きな負担なく友だち関係をリセットできるようにすることです。(出典:親がいくら説教してもいじめはなくならない 週刊プレイボーイ連載

その理由として、教育的ではないかもしれないがとエクスキューズしつつ、自身の子育て経験から私立中学と公立中学を比較して次のように述べています。

私立中学ははげしい生徒の獲得競争をしていて、いじめ自殺はもちろんのこと、「あの学校は荒れている」という評判が立っただけで、優秀な生徒を他校に取られてしまいます。入学者が激減すれば経営が成り立たず、学校は倒産、教師は解雇されてしまうかもしれません。私立中学の経営陣や教師は、「悪い評判を立ててはならない」という強力なインセンティブに動かされているのです。私立中学では、いじめを根絶するためにどのような手段を使っているのでしょうか? これはきわめてかんたんで、問題のある生徒は片っ端から退学処分にしてしまうのです。(出典:いじめ自殺はなぜ公立中学で起こるのか? 週刊プレイボーイ連載)

 

★まとめ(この提案に対する私の考え)

以下、私の考えと現在の制度についての解説を加えます。

1.の退学処分ですが、実は現在の制度でも「出席停止」という措置があります。これは、学校の秩序を維持し、児童生徒の義務教育を受ける権利を保障するためにある制度です。しかし、現実は「加害者の教育的配慮」や「事なかれ主義」、「出席停止後の配慮の必要性」(義務教育なので、学校に来させない代わりに教育を行わなければならないが、現実的に運用が困難)等により、なかなか運用されていないのが実態です。なので、私個人の意見としては、退学よりも現実的に、現場の校長がきちんと「出席停止」を運用できるよう環境を整える方が良いのではないかと思います。

2.の転校については、やはりいじめは”閉鎖的な空間”であり逃げ場がないことから自殺まで追い込まれるのであり(その証拠に退学が自由にできる高校では中学よりぐっと件数が減る)、良い提案なのではないかと思います。現在の学校教育法でも「一定の手続を経て、関係市町村教育委員会間の協議が整えば、他の市町村等の学校にも就学することができる」と”区域外就学”を認めていますが、この「一定の手続き」等を緩和して、もっと楽に転校できる制度を設計していくことは可能ではないでしょうか。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「いじめは子どもの本性!いじめ調査は逆効果!退学処分と転校を容易に!橘玲氏の『いじめ論』をまとめてみた!」でした!

関連記事:学校の世界の差別を橘玲氏が指摘している日本の差別的労働慣行から再考してみた

 


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