“ハズレ担任”との賢い付き合い方。我が子をオバタリアン教師のグレーな指導から守る際の3つの初期対応について、おおたとしまさ氏の提案を考える

本書は決して「教師バッシング企画」ではありません。

と記している通り、一方的に教師を叩くものではなく、オバタリアン教師を入口として現在の公教育の諸々の問題、親へのアドバイス等がまとめられている良書です。

今回は、この本の中で取り上げられている、オバタリアン教師から我が子を守るための初期対応の方法について取り上げ、元公立小学校教員の経験から考えていきます。

◆まずオバタリアン教師とは?

著者のおおた氏は、冒頭、オバタリアン教師の定義を次のように行っています。

オバタリアン教師とは、「限りなくクロに近いグレーな指導法を用いて子どもたちを支配する年配の女性教師」のこと。

小学校現場のスラングで、“低学年オバチャン”(低学年しか担当できない力量のない年配の女性教員を指す)という言葉がありますが、オバタリアン教師はこれと同じ意味をもつ言葉だと思われます。

グレーな指導法というのは、

  • 体罰=完全にクロ
  • ギリギリ暴言にあたらない指導=グレー

ということです。

著者は、第1章でこのオバタリアン教師の実態について、具体的な事例を挙げながら解説をしています。

◆オバタリアン教師の特性

おおた氏は、次のようにオバタイアン教師の特徴を挙げています。

  • 授業がまるまる説教タイムに
  • 得意技は独断と偏見による決めつけ
  • 問題を起こした児童を公開リンチ
  • 体罰ではないけれど、限りなくグレー
  • 表向きは保護者への愛想が良い

いますね、残念ながら。こういう教員。根本的に指導の力量が足りない(あるいは時代の変化に対応できていない)ので、このような指導に頼るしかなくなってしまっているのだと私は思います。

このことについて著者は、第2章「なぜ女教師はやさぐれるのか」で、なぜ年配の女性教員が力量不足に陥っていくのかについて、男性教員と比較して彼女らが結婚・出産・子育て・多忙などによりスキルアップの機会を得られない実情等を様々なデータや教職関係者へのインタビューなどから説明しています。

◆”ハズレ担任”との賢い付き合い方

では本題。

おおた氏は、第4章でこのようなオバタリアン教師などの”ハズレ担任”にあたり、グレーな指導を子どもが受け続けたときの初期対処の仕方について、次の3点を挙げて保護者にアドバイスを行っています。

  1. 焦ってのクレーム電話は控える
  2. 対立構造をつくらない
  3. 電話よりも連絡帳

1.焦ってのクレーム電話は控える

おおた氏は、よほど緊急性の高い問題が確認されない限り、焦って感情をぶつけるような電話をかけると学校から「クレーマー扱い」されてしまうリスクがあるとして、まずは情報収集を図るべきといいます。

胸が張り裂ける思いでしょうが、まずは夫婦で情報を共有しつつ、さらなる情報収集をしましょう。実際に担任が本当にオバタリアン教師であったとしても、確証がない段階で、感情だけをぶつけると、こちらがクレーマーということにされてしまかねません。それではさらに子どもを傷つけることにもうながりかねません。(中略)クレーマーと思われようが、子どもを守れるのならそんなことはどうでもいいのですが、「こちらに落ち度がある」と一度思われてしまうと、こちらが不利になります。通る話も通らなくなります。それは子を守りたい親として賢い作戦ではありません。

これは私もその通りだと思います。小学校教員時代、勢いで電話をしてきたものの事実誤認で“赤っ恥”をかく保護者を何人も見てきました。大概子どもというのは自分の都合の良い部分だけを親には話すものです。まずはきちんと情報を収集すべきだと思います。

2.対立構造をつくらない

おおた氏は、いくら自分が正しかろうとそれをそのまま相手にぶつけるようなコミュニケーションは適切な自己主張ではないとし、オバタリアン教師と対立構造をつくらないことが大原則と主張します。

保護者からの望みは、最終的には「もっと適切な指導をしてほしい」ということでしょう。それさえ実現できれば良いのです。それなのに、いきなりけんか腰で、「あなたの指導は間違っている」「こんな暴言を吐いたらしいですね。どういうおつもりなのでしょうか」などと相手を責めるような伝え方をすれば、相手もガードを固めてしまします。こちらの要求を受け入れられなくなるような状況をわざわざ用意するようなものです。(中略)対立構造をつくるのではなく、あくまでも「あなたの味方です」というスタンスをとることが「できる親」のしたたかさというものです。

これもその通りだと思います。非難の要素を入れて要求すると相手の態度は硬化してしまう可能性が高いです。私自身の教員経験を思い出しても、「できる親」はこちらを不快な気持ちにさせずに自らの要求をきちんと実現させる、ということを行っていました。

著者は具体的な一例として、

たとえば、担任が暴言を吐いたということを、子どもの口からきいたのだとしたら、「昨日、このような状況があったと子どもから聞いたのですが、きっと何かの事情があってのことだと思います。差し支えなければどのような状況だったのか教えていただけますか?」などと、疑問形にしてぶつけてみるのは一つの有効な手段です。

と挙げています。

こんな風に聞かれたら、担任からしたら、

  • きちんと理由がある場合⇒一方的に攻められるケースと異なり説明できる機会が与えられる
  • 自らがマズい指導を行っていた場合⇒これはマズいと思い謝る、次からは同じように指導しない

となる可能性大で、非常に有効だと私も思います。

3.伝えるときは電話よりも連絡帳

おおた氏は、オバタリアン教師に伝える際の方法として、電話よりも連絡帳が適しているのではないかと提案しています。

電話を利用するということは、教師の立場からすれば突然時間を奪われてしまうというリスクがあります。

電話では緊張したり、興奮したりして、つい言い方を間違えて相手の反感を買ってっしまうということがあります。しかし文章にしたためるのであれば、ある程度頭の中を整理してから書き始める必要がありますから、売り言葉に買い言葉ということは少なくなるのではないかと思います。

夫婦のどちらかが文面を考えて、それをもう一方がチェックして、誤解を招きそうな表現を修正してから連絡帳に書くというのが理想だと私は思います。

これについては私の意見はおおた氏とは異なります。

私は連絡帳だと、

  • 子どもの指導を行いながら返信を書かなくてはならず、むしろ時間を奪われる
  • 電話より情報量が少ないためどうしてもお互い細かい部分が伝わらない
  • 自分の経験では電話より連絡帳の方が感情的に伝えられることが多かった自分の経験では電話より連絡帳の方が感情的に伝えられることが多かった

ので、電話の方が良かったです。

これは意見の分かれるところでしょう。

◆それでも改善しなければ・・・

また、おおた氏はそれでも状況が改善しなかったときの次の段階の対処方法として次のように挙げています。

  • 学校の身内になる
  • 一方的に教師を悪く扇動するのはNG
  • スクールカウンセラーの力は限定的と認識しておく
  • 埒が明かなければ教頭・校長へ
  • 最終手段は、保護者で見張り制
  • 対策を子ども自身に考えさせる
  • 子どもに「やり過ごす力」を身につけさせる

★まとめ

親として我が子がハズレ担任にあたってしまったとき、先ほども引用したおおた氏のこの一文を肝に銘じておくのが良いと私は思います。

対立構造をつくるのではなく、あくまでも「あなたの味方です」というスタンスをとることが「できる親」のしたたかさというものです。

現行の日本の公教育制度のもとでは、実質的に学校も担任も選ぶことができません。

そのために子どもや親は、年度初めに一喜一憂するわけですが、なかには”ハズレ担任”にあたることもあるでしょう。

そのときに、親が担任と対立してさらに傷口を広げてしまうのか、おおた氏のいうように賢くふるまい要求を実現させていくのか、親の人間力が試されているといえるのではないでしょうか。

もっともオランダのように学校がたくさんあり、保護者がその責任において学校を選択できるようなシステムが本当は良いとも個人的には思うのですが・・・。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「”ハズレ担任”との賢い付き合い方。我が子をオバタリアン教師のグレーな指導から守る際の3つの初期対応について、おおたとしまさ氏の提案を考える」でした!