“やんちゃ坊主”vs女性教師?ケンカで成長する男の子と自尊感情を低下させる女性教師

投稿者: | 2017年6月17日

私は小学校教員時代、低学年の担任をする度、保育園に研修に行く度、やんちゃ坊主に手を焼く女性教師を見る度に、女性教師が無意識に女性の価値観でもって指導を行っていることに違和感をいだいていました。

なぜかというと、男の子が押さえつけられ、不服そうにしていることが多かったからです。

今回は、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が自著『オバタリアン教師から息子を守れ』(2014年出版)のなかで女性教師と相性が合わない男の子について大変興味深い問題提起を行っていたので、このことについて取り上げます。

 

◆女性ばかりの環境で育つ男の子たち

まずおおた氏は、主に母親に育てられ、幼稚園・保育園の先生も圧倒的に女性が多いうえに、東京都のデータを例に小学校の教員も女性が多いことを示しています。

小学校の教師の6割以上は女性、(中略)さらに、校長と副校長という管理職を除いた数で比較すると、女性が約1.9倍であることもわかります。

そして幼少期に女性ばかりの世界で過ごす男の子は窮屈な思いをすると指摘します。

主に母親に育てられ、幼稚園や保育園でも女性ばかりの世界で過ごし、さらに小学校でも女性の教師ばかりにお世話になっていたら、やっぱり男の子は窮屈な思いをするでしょう。

そのような状況において多くの男の子が環境に順応していく一方、それでも男の子らしさを失わない子どももいるといいます。

圧倒的に女性的な感性が優位な環境の中で生活することで、男の子は一種の精神的去勢状態になってしまいます。草食系男子の誕生です。そんな中でも男の子らしさを失わない男の子がいます。いわゆるやんちゃ坊主です。

 

◆女性教師にも男の子は分からない!?

おおた氏は続いて、女性教師たちがいくらプロであっても、男の子(特にやんちゃ坊主)の言動を理解してるわけではないとしています。

いくらプロであると言っても、女性教師が、女性には理解しがたい男の子の言動に、心の底から共感するというのはかなり難しいことではないかと思います。

私もこれには強く同意します。実際、小学校教員時代、女性教師が男子に手を焼いている場面を何度も遭遇したし、「男の子は分からない」と言う女性教師もいました。

「相性」とでも言うべきものがやはりあるということ、そしてそれは性別によって影響される部分も少なくないことを指摘しておきたいのです。(中略)男同士であれば当然のように理解できる、男の子の幼さゆえのやんちゃや乱暴が、女性教員にはどうしても理解しにくいということはあるでしょう。そして、女性的な感性で決めつけられて裁かれてしまうと、男の子としてはどうしても納得がいかない。しかし子どもですからそれをうまく表現できない。ふてくされてみたり、反抗的になってみたりするしかない。そしてまた溝が深まる。悪循環です。

“やんちゃ坊主”と女性教師、一般的な傾向として、やはり相性が悪いと小学校教員経験者として私もそう思います。

 

◆男の子にとってケンカは単なるスキンシップだが・・・

おおた氏は、女性教師から目の敵にされる”やんちゃ坊主”を擁護する研究を提示します。

心理学者のジャネット・レヴァーは、1年間かけていろいろな小学校の校庭で、遊ぶ子どもたちの様子を観察しました。すると、男の子は女の子の約20倍ケンカすることがわかったのです。そしてさらに驚くことには、ケンカをした男の子たちはたいがい、ケンカをする前よりも、さらに仲良しになっていったというのです。逆に女の子の場合は、めったにケンカをしないかわりに、一度ケンカをすると悪い感情が長く続くことが多いことに、レヴァーは気付きました。

これについても小学校教員経験者として、私も男女によってこのような傾向の差があることを理解できます。

しかし、おおた氏は男の子の成長にとってケンカが必要だとしても、現代社会とりわけ女性の感性では決して許されず、そのことが男の子の生きにくさを生んでいるといいます。

たとえ男の子の成長にとって不可欠なものであったとしても、ケンカが禁止されてしまうのが現代社会。特に女性ばかりに囲まれて、女性的な感性で「ケンカはいけません!禁止!」とされてしまうと、男の子にはもうなすすべがないのです。それで、男の子は得体の知れない「生きにくさ」を感じるわけです。

これに関しては、女性の感性だけでなく、保護者からのクレームの増加も関係があると私は思います。ケンカ(トラブル)があるとクレームが入る可能性があるから、教師たちは男の子たちのケンカを毛嫌いし、抑止しようとするということです。

また、おおた氏はトラブルがなければスムーズにクラス運営が進むとして、次のようにも述べています。

教師の立場からすれば、ケンカやイタズラの類のトラブルはたしかに面倒なことです。なければもっとスムーズにクラス運営や授業進行ができます。本来はそういう「寄り道」にも教育的な効果があるんですが、目の前のことで手一杯になっている教師にとってみれば、そういうトラブルを起こす子どもは、自分の任務を邪魔する問題児以外の何物でもありません。

 

◆やんちゃ坊主の自尊感情低下

このように、女性的な感性でケンカやイタズラを禁止されたり、叱られたりという経験を重ねた”やんちゃ坊主”は自尊感情が下がっていくとおおた氏は述べます。

特にやんちゃな男の子は自尊感情が低くなり、卑屈になり、学校という空間や教師という存在を嫌うようになります。自分のことを正当に認めてもらえていると感じることができずに、自尊感情が低い状態にあると、それだけでさらに問題行動が強く出る可能性もあります。それをさらに押さえつけようとすればますます自尊感情は下がり、悪循環となります。

 

◆解決策は?

ではどうしたら良いのでしょうか。

まずおおた氏は、フロリダのステットソン大学の研究チームが『エディケーショナル・ホライゾン』という教育雑誌に発表した研究結果を示します。

アメリカで興味深い調査が行われました。共学クラスでは軽度発達障害と思われていた男子児童たちが、男女別学クラスの中では成績優秀者になることができたというのです。(中略)「特に男子クラスで生活指導の問題が減った。女子がいなくなったことで、男子クラスの教師が男子のエネルギーや振る舞いに対して寛大でいられるようになったからではないか」

そして、男子の行動を寛大に見守る、全国に3校しかない男子校(小学校)を取材したうえで、おおた氏は、

男の子の自尊感情を損なわないためにはどうしたらいいかというひとつの命題に対して、男の子の感性が十分に大切にされれば、男の子の活発さはそのままに、精神的にも安定する可能性があるということを示したいと思います。

と提案しています。

 

★まとめ

  • 男の子が育つ環境に男性が少ないこと
  • やんちゃ坊主と女性教師の相性の悪さ
  • 女性教師の無意識に行われる女性的感性の押し付け
  • 男の子の成長にとって不可欠なケンカを禁止する社会
  • 男の子の感性を大切にすることで彼らの自尊感情を守れること

これらのことについて、言語化して指摘したおおた氏、凄いです。

学校現場では、男性教師は迫力がある(=男子を怖がらせることができるから)から言う事を聞かせられると考えている女性教師も少なくありません。

しかし、彼女らが自分たちが男子に女性的な感性を押し付けていないか自己監視し、男子の感性を大切にすることができれば、男の子の「生きづらさ」は軽減するのではないでしょうか。

 


スポンサーリンク