夏休みの宿題で出されることが多い、読書感想文。
普段、学校から出される宿題は授業で扱った内容を復習として出されることがほとんどだと思いますが、こと読書感想文に関しては、授業で扱われることなく宿題として出されることが少なくないようです。
実際、私の小学校担任時代、周囲の同僚で授業で読書感想文の書き方を指導している先生は皆無でした。
そのため、読書感想文の宿題に四苦八苦している子どもや保護者の方も少なくないと思います。
今回は、書き方が分からない子どもにアドバイスするための「読書感想文の書き方」について、説明していきます。
※なお、賞をとるためのアドバイスではありません
◆”自分”のことを書くと書きやすくなる!
なかなか文章を書けない子どもの多くは、ひたすら「あらすじ」や「感想」を書いて、文字数を稼ごうとします。
しかし、読書感想文というのは、「感想」という言葉が入っているのものの、「感想」を中心にして書く必要はありません。
感想を中心にして書くと、小学生ですから「面白かった」「楽しかった」、これだけで終わってしまいます。
ではどうすれば良いのか。
「自分のことを振り返って」書くのです。そうすると、一気に書きやすくなります。
◆『浦島太郎』で”自分”のことを振り返って書く
どういうことか。
今回は、昔話『浦島太郎』を具体例にして、”自分”のことを振り返って書く読書感想文の書き方を示したいと思います。
次の5つのステップを踏んで書いていきます。
ステップ1 場面集め
ステップ2 場面に”自分”を追加する
ステップ3 テーマ決定
ステップ4 下書き
ステップ5 清書
ステップ1 場面集め
まず、印象に残った場面をノートに集めます。
場面1 | 浦島太郎は、乱暴少年たちからカメを助けた。 |
場面2 | 浦島太郎は、カメの背中に乗って竜宮城に行った。 |
場面3 | 浦島太郎は、竜宮城での贅沢な生活に3年で飽きて、ふるさとに帰りたくなった。 |
場目4 | 浦島太郎は故郷に帰ると、300年も経っていて、玉手箱を開けるとおじいさんになってしまった。 |
ステップ2 場面に”自分”を追加する
先ほど選んだ印象に残った場面に、次の内容を追加します。
①印象に残った場面
②「①」に対するもし自分なら
③「②」からわかる自分の性格
④「③」の具体例
場面1
① | 場面1 | 浦島太郎は、乱暴少年たちからカメを助けた。 |
② | もし自分なら | 浦島太郎は優しい。もし自分なら、乱暴少年が怖くてその場に居合わせてもカメを助けられない。誰か、助けを呼ぶ。 |
③ | 自分の性格 | 一人で困っている人を進んで助ける勇気はないが、人に助けを求めるタイプ。 |
④ | 具体例 | 外国人の方に英語で道を聞かれて困ったことがあったが、友達を呼び助けてもらったことがあった。 |
場面2
① | 場面2 | 浦島太郎は、カメの背中に乗って竜宮城に行った。 |
② | もし自分なら | もし自分なら、カメに乗って海の深いところまで行くのは怖くて出来ない。 |
③ | 自分の性格 | 水は苦手。楽しいことがあるとしても、恐怖が先にきてしまう。 |
④ | 具体例 | 水泳が苦手。ウォータースライダーも怖くて出来なかった。 |
場面3
① | 場面3 | 浦島太郎は、竜宮城での贅沢な生活に3年で飽きて、ふるさとに帰りたくなった。 |
② | もし自分なら | もし自分なら、贅沢な生活も長く続ければ飽きてしまいそう。 |
③ | 自分の性格 | 自分は、飽きっぽい性格。 |
④ | 具体例 | 昨年、母が入院した時、外食ばかりだったが、はじめは嬉しかったが、長く続いて飽きた。 |
場面4
① | 場面4 | 浦島太郎は故郷に帰ると、300年も経っていて、玉手箱を開けるとおじいさんになってしまった。 |
② | もし自分なら | もし自分なら、300年も経っていて、おじいさんになったら驚く。しばらく落ち込んだ後にできることを探すと思う。 |
③ | 自分の性格 | 自分は落ち込みやすい。でも、その後、希望を探す。 |
④ | 具体例 | 友達とうまく待ち合わせできず、落ち込んだが、しばらく考えて落ち込んでいても時間の無駄なので、一人でボールで遊ぶことにした。 |
ステップ3 テーマ決め
これまで集めた材料から、テーマを決めます。
今回の例でいえば、例えば場面3と場面4を使って、
「良いこともその時間はあっという間、落ち込むことがあっても希望を探すことが大切」
というテーマとします。
ここは難しいので、子どもの学年や実態に合わせて、保護者が助け船を出してあげても良いかもしれません。
なお、テーマと関係のない場面1と場面2は、もったいないですが使いません。
ステップ4 下書き
あとは、テーマと関係のある場面をそのままつなげて書けば良いだけです。
※今回は説明のためにかなり短めですが、しっかりと書き込めば必要十分な文字数になります
浦島太郎は、竜宮城での贅沢な生活に3年で飽きて、ふるさとに帰りたくなった。もし自分なら、贅沢な生活も長く続ければ飽きてしまいそう。自分は、飽きっぽい性格。昨年、母が入院した時、外食ばかりだったが、はじめは嬉しかったが、長く続いて飽きた。
浦島太郎は故郷に帰ると、300年も経っていて、玉手箱を開けるとおじいさんになってしまった。もし自分なら、300年も経っていて、おじいさんになったら驚く。しばらく落ち込んだ後にできることを探すと思う。自分は落ち込みやすい。でも、その後、希望を探す。友達とうまく待ち合わせできず、落ち込んだが、しばらく考えて落ち込んでいても時間の無駄なので、一人でボールで遊ぶことにした。
私は『浦島太郎』を読んで、「良いこともその時間はあっという間、落ち込むことがあっても希望を探すことが大切」と感じた。
ステップ5 清書
最後は、下書きの誤字脱字を直して、清書すれば完成です!!
★まとめ
読書感想文は授業で書き方を教わることもなく、決まった型もなく自由なので、文章を書くことが苦手な子どもにとっては苦しむ宿題だと思います。
ここで紹介したように、大人がある程度の「ステップ」を与えてあげれば、書くことが苦手な子どもも何とか書くことができるのではないと思います。
なお、今回紹介した書き方は、賞を取るためのものではなく、また唯一無二の絶対の書き方ではありません。あくまで、一つの書き方です。
参考になれば幸いです。
以上、「どうしても書けない読書感想文…元小学校教員が教える、5ステップで書ける読書感想文の書き方!!」でした!