教員志望の学生の皆さん、教職の過酷な労働環境をご存知ですか。
全国の公立小中学校の教諭の1日平均在校時間は、小学校で11時間35分、中学校で12時間6分に上ることが27日、文部科学省の調査で分かった。
(出典:日本経済新聞「小中の教員、在校11時間超」2015年7月27日)教員の労働時間については、日本が最も長かった。幼・小・中・高校の全校種の教員をみると、年間1891時間であった。
(出典:教育新聞「教員労働時間は(OECD)加盟国で最長」2016年9月16日)
実際はここに出されている数字より多いという声もあります。
どうして、日本の教員はこれほどまでに長時間労働になるのか?
インターネット上には、教員は効率的に仕事をしていないからだという批判の意見をたまに見かけます。
そうではないのです。明らかに一人の人間が捌ける仕事量ではないのです。
今回は、元教員の経験から、「教員が長時間労働になる5つの理由」をお伝えします。
1.教育委員会からの調査、書類への対応
教育委員会から提出を求められる膨大な調査、レポート等の書類の数々・・・。
挙げればキリがありませんが、自己申告書、学級経営案、いじめ調査、授業時数報告、研修報告書、学校評価、体力テスト、学力テスト、各種アンケート等の実施、集計、報告・・・などです。
文部科学省が行った調査に、教員が最も負担に感じる業務は、「「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」であるというブラックジョークのようなものもあります。
負担に感じている業務としては、副校長・教頭、教諭の8割以上が「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」と回答。
(出典:文部科学省「学校現場における業務改善のためのガイドラインの公表について」)
私は担任時代、「俺は作家かっ!」ってほど、毎週毎週、教育委員会への書類の締め切りがあり、精神的にも負担になっていました。
2.不平等な仕事量
教員の給料は基本的には年功序列であり、一応評価制度はありますが、給料にほとんど差が出ません。
するとどうなるかというと、共産主義社会と同じように、いくら働いても同じ給料なのですからサボる人間が出てきます。
責任感のない人間。
で、熱意のある教員。それでは子どもたちがかわいそう!ということでその人の分まで仕方なく仕事をしてしまします。
そんなことが続いていくと、何が起きるか。
その先生、周りから評価が上がっていきます。管理職からの評価も上がり、たくさんの仕事をふられてます。
その先生、真面目であれば真面目なほど、しっかりとその仕事、こなそうとします。
するとまた評価が上がります。
そうです。
責任感の強い人、仕事ができる人、真面目な人、こういう人たちにたくさん仕事が回ってくる構造なのです。
一方、その逆な人は、「子どもが小さいから」とか何とか上手く理由をつけて、最低限の仕事量におさえていきます。
しかし、この両者の給料は同じです。
現場の先生の本音として、このような声もあります。
「能ある鷹は身を滅ぼす」というのが現状で、できる人のところに仕事が集まり、できない人はそのままでいいというモチベーションが下がる職場環境がある。[40代男性教員]
(出典:仕事のプロが本音を明かす hone.biz)
不公平な仕事量、こういうことです。
3.延々と話す保護者
まず言わずもがな、何といってもクレーム対応です。
ただでさえ忙しいのに、1件のクレームを対処するのに数時間~数日かかることはザラです。
時間を奪われるだけでなく、精神的にも疲弊します。
それだけではありません。
延々と世間話をする親もいるし、不安なのかシングルの親が延々と教育相談してくることもあります。
そうして、刻々と労働時間が伸びていきます。
4.意味を感じられない会議
私が個人的に、子どものためにならず意味を感じられない主な会議は、
- 校内研究に関わる会議
- 小中連携に関わる会議
の2つです。
まず、校内研究、はっきりいってこんなもの不必要です。
一人ひとり経験もレベルも違えば、担任している子どもの発達段階も実態も違うのだから、個々の課題は異なるはずなのに、一つの課題を研究していくって・・・。
しかも、人間関係があるから、授業後の会では歯の浮くような褒め合い。
こんなの何の研究にもならないのに、分科会検討とかいって学年や教科ごとの下らない会議で時間が取られます。
指定研究校だった日には、誰も読まない研究紀要(という冊子)や発表会等があり、もう最悪です。
次に、小中連携、これも不必要。
中1ギャップとかの問題があって、教育委員会はやけに力を入れていますが、小中の先生がそれぞれの授業を見学し合うのは良いとして、その後の会議はもう意味不明。
各教科ごとに我々の地域の子どもたちの実態に即した目標を話し合う?
そんなの学習指導要領に書いてあります。終わり。
ってなわけで、これも時間を取られます。
5.休日のPTA・地域のイベント
最後に、厳密にいうと、「労働」にはならず、自発的な活動とみなされる休日のPTAや地域のイベントへの出席。
「労働」ではないのなら行かなきゃいいじゃん!
そう思われるかもしれませんが、学校によっては担当を割り振ったり、管理職からの無言の圧力(有言のお願い)をされたり、出ないと角が立ったりします。
「地域とのつながり」とか言って平日の夜とか土日の行事とかに平気で狩り出される。これは法律違反だが管理職は無言の圧力をかけて出させる。[40代女性教員]
(出典:仕事のプロが本音を明かす hone.biz)
というわけで、せっかくの休みの日も時間を取られる。
もう、泥棒です、人の時間を取る。
★まとめ
いかがでしたか。
上に挙げた5つ以外にも、民間企業に比べて手書きの仕事が多い、行事の際は勤務時間前に出なければならない,
部活等、長時間労働になる理由は挙げきれないほどたくさんあります。
そのなかでも今回は特に、
- 教育委員会からの調査、書類への対応
- 不公平な仕事量
- 延々と話す保護者
- 意味を感じられない会議
- 休日のPTA・地域のイベント
の5つを挙げました。
この長時間労働については、こんな川柳を読んだ教員もいます。
知ってるか 刑務所にすら 定時ある[30代女性教員]
(出典:仕事のプロが本音を明かす hone.biz)
それほどに勤務時間(定時)というものが意味をなさない職場なのです。
この記事を教員志望するかどうか検討をするのに参考にしてもらえれば幸いです。
以上、元教員トウワマコトによる、「教員志望者必見!教員が長時間労働になる5つの理由」でした!