続・民間企業から教員に転職して驚いた教員の世界の常識~もう10選~

この記事は、民間企業から教員に転職して驚いた教員の世界の常識~10選~の続きです。

前回の記事が、1週間で4万アクセスを越える反響がありました。

今回は、前回書くにあたって10選から削ったものについて、改めてまとめることにしました。

二軍的な内容になるかもしれませんが・・・。

では、元公立小学校教員による、「続・民間企業から教員に転職して驚いた教員の世界の常識~もう10選~」をお伝えします。

1.ドレスコード

授業参観や研究授業、教育委員会の視察があるときだけスーツで授業することに驚きました。

それなら毎日スーツを着用すべきです。

保護者との面談や式典行事等でのスーツ着用は理解できます。

しかし、授業では動きやすいように、汚れても良いように、カジュアルな格好でいるわけです。それなのに親や指導主事が来るときだけスーツを着る。

教員のドレスコードを見れば誰に向かって仕事をしているか分かります。

2.低学年オバサンの多さ

言うまでもなく小学校教員免許は、小学1~6年までを対象にしています。

しかし、学校現場では実質、低学年しか担任できないオバサンたちがいます。

指導力が乏しく、中~高学年をもたせると、学級崩壊を起こすから、毎年低学年担任に指名されるのです。

そのことについて、周りも本人も自覚していて、それで良しとなっていることに驚きました。

3.仕事量の不平等さ

公教育の現場は未だに年功序列が強く残る世界で、同一賃金・同一労働から最も遠いところにある職場といって過言はありません。

仕事の出来・不出来によって、ほとんど給料は変わりません。(評価によって給料が変わる制度も一応ありますが、そんなの微々たるものです)

そういう環境なので、仕事ができる人、責任感が強い人、独身の人、こういった人たちばかりに仕事が集中することになります。

一方、前述した低学年オバサンなどは楽をしてたり(しかも高給取り)と不平等感は否めません。

4.内側に向けた形式だけの仕事の多さ

子どもや保護者など「外」に向けてに行う仕事よりも、教育委員会や管理職など「内」に向けた調査やら報告書、研修、研究授業等、この類の仕事が多いこと多いこと・・・。

子どものためになるものであれば構わないのですが、これらの仕事は、何かマズいことが起きたときの上の方々の保身(アリバイづくり)が多く、それが透けて見えるのです。

その証拠に、その類の調査・報告書等は、内容は適当で良いようです。

参加することに意義があるオリンピックと同じで、提出することに意義があるようなので、バカ真面目にやると損をする、と先輩教員にアドバイスされたこともありました。

5.教育委員会からの指導はパワハラにはならない

教育委員会の指導主事から一般教員への指導はパワハラに当たらないようです。

私自身、これはパワハラでは?と思われる指導を受けたことがあるのですが、教職員課に設けられたパワハラ相談窓口に相談したところ、「指導主事はあなたの上司ではないので、パワハラにあたりません」と突き返されたことがあります。

おそらく、「相談窓口やってます!」というアピールのための形式だけの窓口なのでしょう。

 6.なぜこれが教員の仕事?という仕事の多さ

未納給食費の取り立て、学校ホームページの更新、学力テスト対策、勤務時間外の部活指導、LINEトラブルへの対応・・・。

挙げればキリがありませんが、諸外国では教員以外の事務員やカウンセラー等を雇って行うような仕事も日本の学校現場では全て「何でも屋」として教員がこなしています。

そのために、本来の業務である授業の準備が疎かになったり、体調を崩す教員が後を絶ちません。

そんな状況が何十年も続いているのに、改善がされないばかりか年々悪化していくことに驚きです。

 7.互助会バレーボール大会

自治体によって有無や内容は異なると思いますが、私が配属された初任校では、互助会というよく分からない謎の教員の会がありました。

その会主催のバレーボール大会や卓球大会のために基本全員参加で休憩時間や勤務時間後に練習するのです。

ただでさえ忙しく、早く仕事をして帰りたいのに、私は本当に意味不明な会だと思いましたが、校内や近隣の学校の教員との親睦を図る目的で行われていたようです。

暇だった昔の名残です。

昔は外でテニスをしていたらしいのですが、近隣からの教員が遊んでいるとのクレームを受けて、バレーボールや卓球など外から見えない体育館で行う競技に変わったようです。

競技の変更ではなく、やめるべきです。

8.校長の「ありがとうございます」

よく、「ありがとうは人を不快にさせる言葉ではないから、言って損はない」などと言いますが、そうとも限りません。

どの校長もそうでしたが、行事後の職員会議で必ず「先生方、ありがとうございました」と言うのです。

それも毎回、毎回。このことにも驚きました。

校長は労いの意味を込めて言っていたのだと思いますが、捻くれ者の私は「あなたのためにやったのではない!」と毎回心のなかで不快に思っていました。

自分が校長の手柄のために尽力したようになるのが嫌だったのだと思います。些細なことではありますが。

9.一度始めたことをやめられない

学校の世界では往々にして子どもの成長にとってということを考える前に、前年度までのやり方を確認し、それを踏襲するということが多くあります。

違うことを行うと、「なぜ変えたの?なぜやめたの?」というクレームが入るリスクがあるからです。

そのため、一度始めた取り組みを中々やめられないという常識があります。

その象徴的な行事の一つが、2分の1成人式です。

 様々な家庭環境の子どもたちがいることを考えれば、廃止を考えるべきなのですが、前年度の踏襲を行う文化があるので、(私のような異端者を除けば)中々取りやめにはなりません。

10.ほとんどの教員が自分の評価を知らない

自治体によって違うのかもしれませんが、私が勤めた自治体ではほとんどの教員が自分の評価査定を知りませんでした。

前述のとおり、評価の差異が大して給料に反映されないからです。

また、わざわざ申請を出さないといけないので、多くの教員は面倒で自身の評価を知りませんでした。
(あまりに申請数が少ないために、評価開示の申請をたくさん出される校長は教員から評価を疑われていると見なされ、教育委員会から評価が下がるという噂もあるくらいです)

労働者として、自分の評価がどうされているかを知らないまま働く人が多い、衝撃でした。

★まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

教員の世界の常識、あまりにも多いため10選では収まらなかった分を今回まとめました。(本当はまだまだあるのですが)

「教員の常識は、非常識」という言葉が早く死語になり、子どもたちの成長のために教員が精一杯働ける環境になるよう、願うばかりです。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「続・民間企業から教員に転職して驚いた教員の世界の常識~もう10選~」でした!

この記事は、民間企業から教員に転職して驚いた教員の世界の常識~10選~の続きでした。

コメント

  1. 現場教師 より:

    図星!

    123・・
    読むほどに笑えました。
    その通りです。
    参観日の服装、私も「これじゃ普段じゃない」と
    普段着のままです。参観日だからとスーツ着るぐらいなら、
    普段からスーツで授業します。当然ですよね。

    そして何より笑ってしまったのが、
    おばさんネタ。

    もちろん、高学年でも活躍しているオバサンや、
    低学年しか担任できないオジサンも居ますが、
    相対的に見ればご指摘の通りです。

    高学年は引率もあるし~子供が言うこと聞かないし~
    全校行事も大変だし~英語もあるし~
    って、高学年を遠慮するオバサンは多いです。
    「言うこと聞かない」ってのは、
    それ即ち「指導力の無さ」を意味します。
    そう言うオバサンは決まって「男の先生の方が怖いから」って言いますが、脅しが指導だと思っている時点で、指導力無しです。

    そして笑えない事実が、
    指導力不足だの、不公平分担だのがあるにも関わらず、ほとんど給料に反映されないと言うことです。
    数千円の違いです。
    「だったら思いっきり無能なふりして、
    特別支援や専科に左遷でもされ、
    給料だけもらってたほうがマシ」
    と考えてしまう、そして、
    それを実際にやっている教師もいるという闇が、
    日本の教育界には蔓延っていますね。

    そういう風にはならないように、
    と自戒していますが、
    あまりにも理不尽が多く、
    時々潰れそうになります。

  2. 六弦侍 より:

    初めて投稿させていただきます。
    中学校の教師をして20年になる者です。

    おっしゃっていること、共感することがたくさんあります。
    そして、自分の感覚がそんなに間違っていなかったのだと、安心もしました。

    教育委員会や管理職が、勤務時間を守ろうとしないこと。
    問題の根本を解決しようとせず、現場には「頑張れ」しか言わないこと。
    必要としていないものを一方的に押し付けて、責任を現場に丸投げすること。
    コスト意識が限りなく低いこと。
    目の前の授業(生徒)ではなく、上を向いて仕事をしている人が多いこと。

    違和感を感じることは、限りなくあります。

    もう少し若い頃は、それに対して異を唱えていたこともありましたが、
    気づかないうちに感覚が麻痺してきて、
    流されるままになっていました。

    もう一度問題意識を持ちなおし、
    生徒のために、そして社会のため(決して教育委員会のためではない)に自分の貴重な時間を使っていこうと思います。

    ちなみに、私は普段からネクタイ締めて勤務しています。
    今の現場でそういうヒラ教員は私だけですが…。

  3. 爾今 より:

    小学校の現役教員(男性)です。
    ご指摘全くその通りです。
    あまりに的確なご指摘で読んでいて痛快でした。
    あなたのような感覚の方が教員に多くいれば少しずつでも変わっていけるでしょうね。
    小学校と、中学校が一緒になったような学校に勤めていますが、小学校も中学校も問題山積。人的な問題も、制度的な問題も、慣例的な問題も問題は山ほどあります。
    山ほどあるのに変わっていかない、いや、変えようとする人が少なすぎる。
    教員の仕事は本当にブラックです。真面目な人ほどブラックです。手を抜く人や管理職から見てめんどくさい人には仕事が来ません。大量採用時代の感覚の緩い人達、PCも出来ない人たちが本当にいます。30代の働き盛りは少なく、それなのに仕事はその年代に集中します。課題の多いクラスなども毎年回って来ます。とにかく、学校は一部の人に仕事が集中しやすいですよね。
    そこに理不尽な親のクレームなどあったらやる気なんて一気になくなります。最近は子どもの言うことをそのまま間に受けて殴り込んでくる保護者や自己中心的な保護者が多いです。

    毎年のように新たな調査や仕事が追加され、子どもも教師もいっぱいいっぱいです。昔のように暇ではないのに‥変えちゃいけないという雰囲気が強すぎる。より良くという思考じゃないんですよね。

    保護者も学校の実態をもっと知るべき。学校は知らせるべき。現代の教師が外から見えない雑務をどれだけ抱え、多様化するニーズや数多くの行事に問題に振り回されているかを。そのために子どもに向き合う時間が減り、分かりやすい授業を準備する時間が減るということを。小学校は、学習内容こそ簡単なものの、教科や学年は多岐にわたり、毎年変わる学年の準備準備は本当に大変なんです。今も多くの先生方は準備しないまま感覚で授業をせざるを得ない状況です。
    多分ここまで書いても小学校は楽だ、暇だという偏見は、外部から見ているとなくならないのでしょうね。

  4. 元気MoriMori森田先生 より:

    私は「先生」と呼ばれる仕事をしているのですが、昔ながらの古臭い男性優位で女性差別の残る職場なんです。
    私の周りには女性蔑視の古臭い考えの人たちもいて、職場で女性がオシャレをすることに対して嫌味を言う人もいるんです。
    華美だとか、職場に何しに来ているんだとか、周囲への悪影響を考えろだとか、そういうことを間接的に言う時代錯誤人間。
    それも男性だけでなくて、同じ女性でそういう発言をする人がいて。本当に残念。
    失礼を承知で言うと、自分が中高年独身女性のおひとりさまで仕事だけが生き甲斐だからって、その価値観を他の女性に上から目線で高圧的に押し付けるのはどうなのって思います。
    そんなんだからいつまでも女性差別が残って、女性の地位が向上しないんです。

  5. らび より:

     まったく同感です。もっと言いたいこともありますよね。
     私の勤務する学校では、特別支援学級の担任を受け持ったが、保護者からの苦情が多く担任を降ろされた教員がいます。通信は間違いだらけだし、授業中に居眠りするし、児童生徒のことを考えたら当然でした。
     医師には、突然強い眠気に襲われる症状あり、他人に自分の考えを伝えることが苦手等の特徴がある障害であると診断されたとのこと。
     それでも車での通勤を認めているし、指導力不足教員として研修にもだそうともしない。管理職の責任問題になるなんて聞きますが、要は制度の不備であり、公務員特有の過度な庇い合いにしか見えないです。これでは学校に対する信頼は下がるのも仕方ありません。一生懸命やっている先生方もたくさんいるのに、気の毒です。
     年齢もそれなりなのに担任がもてない教員は、もう教師としては引導を渡してくれないと。定数が決まっている学校現場は戦力外を一人かかえると周りの負担が大きすぎるんです。免許更新の制度も、受ければ更新できるではなくて、指導力があるかまで審査しなきゃ、先生方の負担を増やすだけで全く無意味です。

  6. 誰か助けて(現職) より:

    仕事の量に格差がありすぎるのは事実。がんばってる人、仕事のできる人のところに仕事や責任が集中して、家に帰るひまも無くて、薬のみながら働いてる。
    毎朝、児童を家まで迎えに行ったり、躁鬱のお母さんの「構って電話」の相手をしたり…、「児童のため」という殺し文句で何から何まで教員の仕事。親からの理不尽な欲求やクレームにも「親との関係をこじらせると児童に不利益になるから」とひたすら耐えるサンドバッグ。
    道徳や外国語やゆうて仕事は増えるけど、人は増えへんから、労働環境はどんどんひどくなってる。
    教育は、未来を支える「人」を育てる仕事やのに!もっと税金使って、人増やして、制度整えていかんとあかんと思う。

  7. ドロップアウト より:

    非常勤講師で高校の美術を担当していました。
    採用方法、給与体系、ICT 環境の疑問を感じました。
    社会人になった時は一般企業で働いて、結婚後育児で専業主婦に。
    教職の免許はあるものの使わずに来てましたが、ある高校のサブティーチャーを
    依頼され、サブなら、という事で引き受けましたが。

    正規の職員は採用試験が難関なのに、非常勤講師はツテを辿って見つけました(私の場合)で、免許の有無とこんな学校ですが引き受けてもらえますか(定時制高校)の確認だけ。
    適正検査とか、簡易的な試験もなし。
    免許なんて単位取ったら貰えるもの。適正なんてわからないのでは。
    ほぼ誰でも採用される責任のない期間限定バイトのような感じです。
    なり手がいないので仕方ないのかもしれませんが。
    これで生徒達に授業をし、成績をつけるという重大な責任を任されるって…。

    給与も非常勤はどんなにベテランでも新米でも同じ。
    メインの先生からは同じ給与なんだから、しっかり仕事に関わって、と言われましたが、
    家の育児事情が大変で時間のやりくりが大変だった事もあり、正直給与減ってもいいから補助だけの仕事にさせて欲しい、と思いました。(2年生を担当しました)

    ICTに関して。
    試験で点数の出ない美術で、作品ごとにabcの評価をつけ期末に点数化するのですが。
    40人分の課題評価、全体と齟齬が無いように調整が全部手作業。
    目標の平均点と、学年末の評定平均を考え細かく数字を調整するのですが、
    メインの先生はこの細かな作業は苦にならないようで、出席簿だけでつけてました。
    基本種類の多い数字の処理が苦手な私は、何でエクセル使わないのか謎でした。
    (メインの先生とコミュニケーションがうまく成立していなかったので、この謎を聞くことができませんでしたが、事務系のソフトは使われない方のようでした)
    他の先生方を見ても手仕事。効率悪いです。
    機密扱いだからと、何でも紙の書類。何か違う気がしました。

  8. 力尽きかけた生徒指導主任 より:

    仕事量の集中は尋常じゃないですね。校務分掌、保護者対応、不登校対応だけでも手一杯なのに、若手が増えすぎて現場は機能不全に陥っています。倍率も低下し、おこがましい言い方ですが、教員採用試験の小学校全科ですら6割程度でも受かる時代。志ある優秀な人間は教職を目指すわけがないですね。まじめにやればバカを見る仕事。学校が全てを担うという価値観を捨て去らなければ、教育という国の根幹から崩れ差ってしまいますよ…。