今回は、ちきりんさんのエントリから、職員室のコミュニケーションについて取り上げていきます。
ちきりんさんは、
何かについて議論する時には、コミュニケーションの生産性を優先すべきか、それとも、できる限り摩擦を避けるべきか、というトレードオフが生じます。
(出典:chikirinの日記「摩擦回避や生産性重視か。コミュニケーションのトレードオフ」)
とし、組織や個人の性格によってどちらを優先するか志向が異なるといいます。
そして、自らの職場が、
- コミュニケーションの生産性を重視する=個々人の主張を明確にして早く結論を出そうとするタイプの職場
- できるだけ摩擦を回避していくことを好む=意見の相違を避けたがるタイプの職場
どちらを優先する職場なのかを一度意識することが良いのではないかと指摘しています。
◆学校は「摩擦回避型」の職場
日本の企業は摩擦回避型のコミュニケ―ションを重視する職場が多いとは思いますが、なかでも学校はその最たる職場といえるのではないでしょうか。
一例として、
- 一つのことを決めるのに、いくつもの会議を経なくてはならない
- 特に小学校は女性が多いので面と向かって反対意見をぶつけ合うことが少ない
- そのため会議等で意見が異なっても押し黙っている教員が多い(そして裏で悪口を言う)
- 研究授業等でダメ出しはしないで上辺で「勉強になりました」などという外部の人には理解しがたいであろう文化がある
- 企業と異なり決定事項により売上(給与)が減ることがないので、人間関係によって物事が決まっていくことがある
などが挙げられます。
もちろん学校のなかでも個々人によって摩擦回避と生産性の選好度は異なるでしょうが、組織としての傾向は圧倒的に「摩擦回避型」です。
◆摩擦回避型のデメリット
摩擦回避型のコミュニケーションを優先する職場は、表立った対立が少ないため職員同士の良好な関係が維持されやすいというメリットがある一方、
- 意思決定までに時間(会議)や手間(根回し)がかかる
- 決定事項が曖昧な場合もある
- 相手が本当に言いたいことが把握しづらい
- 表立って対立しない分、裏で悪口が蔓延る
などのデメリットもあります。
そのため、(学校に比べれば生産性優先の)民間企業から公立小学校に転職したばかりの私は、「いつになったら決まるの?」「何、この曖昧さは?」「結局あなたの言いたいことは何?」「先生がいじめ?」などとイライラすることも少なくありませんでした。そして、教員って、本当、分かってないなー、と思っていました。
しかし、今思えば、単に学校という職場は「摩擦回避型」のコミュニケーションを優先する職場だというだけで、本当に分かっていなかったのは私なのかもしれません。
★まとめ
このように、世の中の職場には摩擦回避を優先する職場と生産性を優先する職場がトレードオフの関係で存在しています。
教職(特に小学校)を目指す人は、自らのアルバイトや学生生活、社会人経験を通じて、「摩擦回避型」のコミュニケーションが苦にならないかを一度検討してみるのも良いのではないでしょうか。
以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「学校は摩擦回避型のコミュニケーションを優先する職場である」でした!