【文字起こし】4月23日国会・文部科学委員会「文科大臣がこのような答弁を重ねることが学校現場を疲弊させている最大の原因」

4月23日文部科学委員会で、給特法の一部(教職調整額引き上げ等)改正にかかわる審議が行われました。その文字起こしをしました。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

給特法を改正しようということで、4月10日から本会議の質問が始まり、先週が質疑・参考人質疑があって、今日を迎えています。この法律の審査はゴールデンウィーク明けまで続くということで、私はこれは良かったなと思っています。

と言いますのも、私は質疑で度々申し上げていますが、この「時間外在校時間」、今日もその話がたくさんされましたが、その9割が「超勤4項目」の違反であって、超勤4項目に基づかない、つまり違法な時間が9割を占めているわけです。ですからこの時間外在校時間というのは、基本的に違法な不払い残業になっています。

この事実を、重要な後半の審査の中で、ゴールデンウィーク明けにも審査が続くので、国会の人を含め多くの方に知っていただきたい。教員の方にもちゃんと見ていただいて、この状況をきっちりとこの機に変えなければいけない。そういう意味で、ゴールデンウィーク明けまで審査が続くというのは、大変いいことだと考えています。

今日、パネルを用意いたしました。今日たくさん話されましたが、教育現場がもう崩壊の危機にあって、崩壊が始まっているということ、これはほぼ共通認識であります。これをどうやって変えるのかというところでは、義務標準法の上る数、これを変えていくということが複数の会派、委員から出されておりまして、私も異論がない。それ以外にないと考えています。

学校の先生を根本的に増やすということですね。でも、それに向かって今すぐ何をやるのかというところで言うと、やはりこれは不払い残業、支払われていない労働時間に対するお給料を今すぐ払わせていかなければいけない。そして不払いになっていたお給料、これ人件費用ですから、ちゃんと払って、「あ、こんなに費用が発生するんだな」って文科省が、「こんなに人件費予算いるんだな」っていう痛い目にあわせなきゃいけないんですよね。

「痛い目に」っていうか、法律を守るための費用です。法律を守るための費用を見える化させて、「こんなに人件費払わなあかんのか」と。それだったら人を増やすのと同じですからね。あるいは手当が乗りますから、1刻も早く予算確保のためにも人を増やさなければならない。そういうふうに追い詰められて初めて、義務標準法を改正して根本的に人が増えるものだと考えますので、まず法律守ってくださいよ。当たり前のことですけれども、結果として法律を守ることで学校の先生を増やすという、それが最大のドライブになるだろうと私は考えております。

さて、皆さんに資料をお配りしております。ここにもパネルがあるので、まずその資料の説明からいたしますね。パネルが皆さんのお手元配布資料の一つになります。こちらは厚労省のガイドラインによる労働時間の判断基準です。

先週の質疑または参考人質疑で、労基法32条は学校の先生にも適用されるということは、答弁をいただいて済みです。ではその労基法32条というのは、基本的に労働者という人間には24時間の時間があり、そこには労働時間と労働時間でない時間しか存在しない。これも先週までに厚労省から答弁をいただいております。

そうしないと、労働者というのは往々にして使用者が「これは労働時間じゃない」と言って不払いにしていく、ということが実際に起きるものですから。だから厚労省がガイドラインを定めて、労働時間の判断基準を示した。使用者はこのガイドラインに基づいて、労働時間なのに逃れて不払いにするだとか、あるいは8時間以内労働という32条を守らないということを防ぐために、厚労省がガイドラインを整備しています。

その判断基準を分かりやすく示したのが資料1です。これは大石が勝手に捏造して作ったものではないのかと言われても困りますので、厚労省と話をして、厚労省が確認済みのものがこの資料1です。厚労省のガイドラインを、厚労省も確認済みで判断基準資料にしたものです。

この資料1のバックデータとして、資料2・3・4という、ガイドラインの元になったものを添付しています。労働基準法資料2ですが、もう一度読み上げておきますね。労働時間について規定しております労基法32条、これは公立学校の先生にも適用されると、前回までに答弁済みのものです。機能資料にしたのがこの資料1ですね。この資料1のバックデータとして、資料2、3、4という、ガイドラインのフローの元となったものを添付しています。

資料2は、労働基準法についてです。もう一度読み上げておきます。労働時間について規定しております労基法32条、これは公立学校の先生にも適用されると、前回までに答弁済みのものです。

労基法32条
1項:使用者は労働者に、休憩時間を除き、1週間について40時間を超えて労働させてはならない。
2項:使用者は、1日について休憩時間を除き8時間を超えて労働させてはならない。学校の先生も含めて、1日8時間以内の労働制が適用されています。これが労働基準法32条です。

資料3ですが、労基法32条が適用される中で、様々な裁判を労働者が起こし、それを厚労省がガイドラインに反映してきました。その中でも重要な判例が、資料3です。

三菱重工長崎造船所事件における最高裁判所の判断。これは2000年(平成12年)の最高裁判例ですね。読むのは割愛いたしますが、要点としては、使用者が勝手に業務を命じ、その業務の前段に制服を着替えなければならないという状況下で、制服を着替える行為が労働時間に当たるのかが争点となりました。この件では、制服の着替えも労働時間と認定されました。

つまり、使用者が勝手に就業規則や労働協約などのルールを決めたとしても、使用者の都合や意思によって労働時間が決められるのではなく、あくまで客観的な物差しで労働時間が判断されるということが、最高裁の判例で示されています。

この判例を受けて厚労省はガイドラインを策定しています。この判断基準の元になっているのが、最高裁判例だということです。

それを示すのが資料4です。厚労省自体がリーフレットに、この三菱重工長崎造船所事件を引用して、「労働時間とは」という定義の中でこの最高裁判例を示しています。そして、この最高裁判例と整合した形で、労基法32条のガイドラインにしているのです。

資料5は、そのガイドラインの考え方の重要な部分をコピーしたものです。それを元に作ったのが資料1で、厚労省も確認済みのものです。

この資料1には、労働者の24時間が、労働時間か労働時間でないかの2つに分かれるということが示されています。中間領域というものはありません。文科省の言うようなものは存在しません。それは後で伺います。

労働者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間であり、指揮命令下に置かれていない時間が労働時間ではないと定義されています。重要なのは、この判断基準の「2」というところです。

何度も言っていますが、労働時間は客観的に決まるものです。使用者が勝手に「これは労働時間ではない」と言っても、言葉やルールでは決まりません。それがこの判断基準なのです。

今、文科省がやっていることは、この論理と整合しているのか。適用されるとは認めておられるけれど、言っていることとやっていることは論理的に整合しているのか。厚労省と文科省に問いただしたいと思います。

その上で、例えば部活動などの具体的な労働について、この判断基準のどこに当たるのか、問いたいと思います。

厚労省に問います。この判断基準の「2」というところです。使用者という言葉は、公立学校においては校長先生になります。労働者は公立の教員です。

このようにただ置き換えた場合に、公立学校教員の行為が校長から義務づけられ、またはそれを余儀なくされた等の状況の有無から、個別具体的に判断して、客観的に見て校長の指揮命令下に置かれていると評価される場合には、この労基法32条における「労働時間」に該当する可能性がある。

このガイドラインにおいて、使用者を校長に、労働者を公立教員に置き換えれば、これは明らかだと思います。厚労省もそれを認めざるを得ないと思うのですが、文科省は校長の時間外勤務命令がないから労働時間ではないとしています。厚労省、お聞きします。それ、おかしくないですか?

問いたいのは、校長の時間外勤務命令によらずとも、この判断基準の「2」にありますように、労基法32条の「労働時間」側に当たるとされる可能性がある。このガイドライン上、論理的にそう読めますが、それで間違いないですね?

厚生労働省小田大臣官房審議官

労働基準法における労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるかにより、客観的に定まるものでございます。客観的に見て、使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものでございます。

すなわち、例え明示的な指示がなくとも、客観的に見て黙示的な指示に基づき業務を行ったものと判断されれば、労働基準法における労働時間に該当するものと評価されることとなります。なお、公立学校の教員職員・教育職員の勤務時間の取扱いにつきましては、法の運用に関する問題でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

ちょっといいですか? この「お答え差し控えたい」っておかしくないですか? 今、労基法について聞いてるんですね。所管は厚労省でしょ? だから、答弁差し控えは答弁拒否と考えてます。委員長、ちゃんと答弁するように言ってください。

A.小田大臣官房審議官

労働基準法上の労働時間の考え方は、労働基準法が適用される労働者、今回の公立学校の教育職についても、同じ考え方で適用されるものと考えております。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

今おっしゃったことは、こちらの判断基準が教育職にも適用されるという良いお答えだったと考えます。これ、なんで最初から答えてくれなかったのか意味が分かりません。論理的にあり得ると私は言ったんです。しかも論理的にあり得るだけではなく、実例もあります。厚労省も今、お認めになったので、問について、これは実例です。実例も確認しておきたいと思います。

埼玉教員超勤訴訟というのがあって、これは判決が出ています。その中で、公立学校の教員が次の1から3の行為にかけた時間が、労働基準法32条の労働時間に該当すると認定された裁判です。

翌日の授業準備。判決では、授業という教員の本来的業務を円滑に実施するために必要不可欠な準備行為とされています。

通知表の作成。校長がその実施を決定したものであり、学級担任の教員に当然作成が求められるという判決でした。

統一して実施されていた業者テストの採点。統一実施されていたことから、採点業務も自発的な取り組みではなく、授業に付随する必要不可欠な行為として、校長の指揮命令に基づいて行われていたと評価されました。

厚労省にもう一度伺いますが、ガイドラインとこの判決、整合してますよね? 校長が「労働時間じゃない」と言っても、客観的に見て自発的でなければ労働時間とされるということですよね? 今後も校長や文科省が「労働時間じゃない」と言っても、労働時間であるということが実例としても示されています。論理的にも、実例としても、あり得るということでよろしいですね?

A.厚生労働省小田大臣官房審議官

委員ご指摘の三つの業務に関しましても、労働基準法における労働時間に該当するか否かについては、客観的かつ個別具体的に判断されるものでございます。したがって、ご指摘のような業務を行っている時間が労働基準法における労働時間に該当するかどうかについても、同様の基準で判断されることになります。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

「あり得る」の一言で済むんですよね。でも文科省みたいなことを言っているから、厚労省も同じ政府だから付き合いでコメントを差し控えるとか、大人としてどうなんですか。でも、自分の所管の法律に関してはそういうことをしなかったのは、よかったなと思います。したがって、論理的にも実例を用いても、今後も客観的にガイドラインに基づいて労働時間かどうかが判断されますよというお答えだったかと思います。

それからですね、次、あの、あべ文科大臣、問号は実質的に答えてくださったと思うので問わしますね。時間があと5分なので、あべ文科大臣に問いたいと思います。

あべ文科大臣の問題答弁があるんですよ。ほぼ厚労省のお答えによって裏付けられたと考えますが、先週4月16日にこの文科委員会において、あべ文科大臣がこのような答弁をしたんですね。

「労働基準法上の労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを言います、というと私ども認識をしておりまして、公立校の教師に対しましては、時間外勤務命令によらず、所定の勤務時間外に教師が業務を行う時間は、労働基準法の労働時間とは言えないものと考えております。」

という答弁をしてて、この答弁の意味はね、このガイドライン上で言いますとね、時間外勤務命令はしてないからっていう、つまり在校等時間は全部こっちやって言ってんのと論理的に答弁を文科大臣がやっていて、違法なんですよ。厚労省のガイドラインに違反しております。

それでね、せめてちょっと客観の立場に取れるのかっていうところで問いたいと思います。最高裁判所の先ほどの資料にもお付けしました三菱重工長崎造船所事件の判決ですね。この判決では、労働契約とか就業規則の定めによって決定されるべきものではないよと。労基法32条の労働時間は、だから客観的な基準で審査するべきだという、いわゆるこれ客観説と言うんですけども、これは学説上も通説で、まあ当たり前ですよね。

使用者が、校長が「もうあの時間は労働時間じゃない」って言ったら労働時間じゃなくなる、みたいなことって、それ労働保護できませんので、だからそういうのはだめだという客観っていうのが通になってるんですけども、大臣、安倍大臣はその客観の立場に立ってますか?

A.あべ文部科学大臣

基準法上、所定の勤務時間外に業務を行う時間が労働時間に当たるかについては、指揮命令に置かれているかどうかで判断されると理解しておりまして、基準法の適用にあたってご指摘の最高裁が平成12年判決において示した考え方を否定するものではありません。

労基法の32条は、公立学校の教師につきまして、その専門性を発揮し、裁量を確保し業務を遂行できるよう、給与他の勤務条件につきまして、労働基準法および地方公務員法の特例を定めたものでございまして、こうした法の趣旨に鑑みれば、給特法におきましては、時間外が勤務命令に基づく勤務ではない、すなわち労働基準法上の労働時間には該当しないものの、学校教育活動に関する業務を行う時間というものが想定されているところでございます。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

あの、ちょっと厚労省にやっぱりお聞きしたいんですけどね、今文科大臣の言ってることっておかしくない? 自分の役割終わって聞いてなかったですか? そしたらまた次回に回しますけど。あの、労働時間か労働時間じゃないかしかないし、32条適用だから裁量労働制じゃないし、裁判の判決で「労働時間じゃない」って言ってても、「労働時間やぞ」っていうのも出てるのに、この答弁ありえないので、ありえないと指摘して、また問題答弁として次回やりますね。

あの、部活について伺いたいんですけど、部活って通勤手当出てるじゃないですか。教員特殊業務手当ね。それ出てるのに、部活は労働時間じゃないんですか? 文科大臣、手当てっていう大臣。

A.あべ文部科学大臣

公立学校の教員に対しまして、それぞれの都道府県、政令市におきまして、部活動指導に関わる手当てが支給されているところでございまして、国負担の算定上は、週末などに数時間程度の部活動の指導を行うことを想定しているところでございます。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

明らかに労働時間なんでね、そういうの無理ですからね。で、もう1個お聞きします。あの部活動ってね、校長が部活動担当者を公務分掌によって配置してるじゃないですか。公務分掌なので、それに基づいて各々の業務に当たってるんですよ。なのに労働時間じゃないんですか? 命令に置かれていない、確実に置かれていないと言えるんですか? その時間外の部活動は。

A.あべ文部科学大臣

申し訳ございません。繰り返しとなりますけれども、教師が週末などに行う部活動に関しましては、法の仕組みのもとでは労働基準法の労働時間とは言えませんが、教育活動に関する業務を行っていると整理をされているものでございまして、部活動指導に関わる手当ては、その負担を考慮しながら、地方自治法の規定に基づいて支給されているものでございます。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

もう1個聞きたいですけどね、先週金曜日、参考人質疑にあって、中教審の委員副会長やってる貞広さんもですね、「時間外・在校等時間、労働時間ですか?」って私が聞いたら、「労働時間であると考えます」って述べてるんですけど、労働時間じゃないんですか? 同じ考えですか?

A.あべ文部科学大臣

時間が過ぎてますのでお許しください。繰り返しになりますが、文科省といたしましては、いわゆる超勤4項目に定める業務以外の時間が、在校等時間は、給特法上、労働基準法上の労働時間とは言えないものと認識をしております。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

このような文科大臣が違法行為、違法答弁を重ねるということ、それが学校現場を疲弊させている、崩壊させている最大の原因ですからね。

で、大阪府の平成24年の通知では、部活動は校務っていうふうに定義され直したんですよ。それはまた次回お持ちしますけれども。だから、どう考えても労働時間なわけで、振り替え休日取ってもいいっていう運用に変えたんで、労働時間なんですよ。またその資料、詳細は続きでやりますけれども、まず文科大臣、あなたが労基法を守ってください。

質疑はこれからも続けてまいります。終わります。