4月16日文部科学委員会
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
文科省に伺います。労働基準法は公立学校の教員に適用されますか?
A.文部科学省 初等中等教育局長
まず、地方公務員には一部の規定を除いて労働基準法が適用されています。その上で、公立学校の教師は地方公務員ですが、義務教育諸学校等の教育職員の給特法の規定に基づき必要な措置が講じられており、一部の規定を除いて労働基準法が適用されているところでございます。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
では、どの規定が適用されていて、どこが適用されていないのかを明確にしていかないといけません。まず最も大事なところを確認したいのですが、労働基準法第32条の労働時間についてです。これについて総務省に伺います。
労働基準法第32条を読み上げます。
「使用者は労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない。また、1日については8時間を超えて労働させてはならない」とされています。
そこで、総務省に伺います。地方公務員、すなわち公立学校の教員にはこの32条が適用されますか?
A.総務省 小池治 公務員部長
地方公務員法第58条第3項において、労働基準法の一部適用除外について規定していますが、ご指摘の第32条はその中に含まれていません。したがって、地方公務員にも適用されます。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
はい。つまり労働基準法第32条は地方公務員に適用されるということですね。では、公立学校の教師に対しても同様に適用されるか、文科省に確認します。労働基準法第32条は、特別法で読み替えられることで結果的に適用除外となっていませんか? 適用されていますか? イエスかノーでお答えください。
A.あべ文部科学大臣
労働基準法第32条は、特別法で適用除外を認めている条項には含まれておらず、公立学校の教師にも適用されます。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
労働時間の定義が同じでないと意味がありませんので、厚労省に伺います。労働基準法第32条で定める労働時間とは何を指しますか? その定義は教員にもそのまま当てはまるということでよろしいですね?
A.厚生労働省 小田 大臣官房審議官
労働基準法第32条は、1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならないという原則的な労働時間制度を定めています。労働時間の定義については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によって示されており、使用者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間に該当します。教員においても、時間外勤務命令を出せない業務については、使用者の指示なく行った場合には労働時間に該当しないとされます。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
では、労働基準法32条の定義は教員にもそのまま当てはまるということで確認しました。念のため、文科省にも確認しますが、厚労省の説明と同じ理解でよろしいですね?
A.あべ文部科学大臣
労働基準法上の労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間を指すと認識しています。よって、時間外勤務命令によらずに教員が業務を行った時間は、労働基準法上の労働時間には該当しないと考えています。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
では厚労省にもう一点伺います。労働時間と非労働時間の他に、その中間領域のような概念は労働基準法上に存在しますか?
A.厚生労働省 小田 大臣官房審議官
お答えします。労働基準法における労働時間とは、使用者の指揮命令下にある時間を指し、それに該当すれば労働時間、該当しなければ労働時間ではありません。したがって、労働時間か否かという2つの区分しか存在しません。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
つまり、40時間以内におさめるためには、業務が労働時間に該当するか否かの判断が必要になります。これを無理やりごまかそうとしているのが文科省の姿勢だと私は思います。
さて、もう少し具体的に他の条文についても確認しておきたいと思います。総務省に伺います。地方公務員法第58条第3項において、労働基準法の一部適用除外が認められていますが、次の条文が適用除外に含まれているかどうかを教えてください。
労働基準法:第34条(休憩)、第35条(休日)、第36条(時間外及び休日の労働)、第37条(割増賃金)
これらは地方公務員に適用されますか?
A.総務省 小池 公務員部長
ご指摘の第34条、第35条、第36条、第37条は、適用除外には含まれておらず、地方公務員にも適用されます。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
それでは、公立学校の教員についても同様に適用されるか文科省に伺います。労働基準法の第32条、第34条、第35条、第36条は適用除外に含まれていないという理解でよろしいですか?
A.あべ 文部科学大臣
労働基準法第32条、第34条、第35条及び第36条は、特別法第5条において適用除外を認める条項には含まれておりません。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
適用除外ではない、すなわち適用されるということですね。つまり、公立学校の教員には、労働時間規制(32条)、休憩規制(34条)、休日規制(35条)、時間外及び休日の労働規制(36条)が適用されるという確認になります。じゃあ何が適用されていないのかっていう、適用されていないものもはっきりさせておきたいと思います。
安倍文科大臣への質問です。給特法第5条は、地教行法第58条第3項を読んで、労働基準法の一部適用除外を認めていますが、適用除外を認める労働基準法の第37条、時間外・休日および深夜の割増賃金は含まれていますか。
A.あべ文部科学大臣
労働基準法第37条は、給特法第5条により適用除外とされています。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
労働基準法の適用除外がされているということですね。ですので、公立学校の教員には労働基準法上の時間外、休日、深夜の割増賃金を規定した37条は適用されない。つまり、時間外手当や休日手当が支払われないという適用除外項目があるということです。
さらに、給特法は第3条第2項において、教育職員については時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないと規定しています。これが給特法の定める重大なルールの一つです。ここが、言ったら「働かせ放題」とも受け取られるような除外項目として捉えられているということです。
安倍文科大臣に伺います。法律上、公立学校において校長は1日8時間・週40時間を超えて教員を労働させることはできますか。
あべ文部科学大臣
公立学校の教師の所定の勤務時間は条例で7時間45分と定められていると承知しておりますが、所定の勤務時間外に勤務するよう法令の根拠に基づき校長が教師に対して時間外勤務命令を行った場合は、所定の勤務時間を超えて教師を勤務させることができます。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
その超勤は、いわゆる超勤4項目以外で超勤命令を発することができますか。
A.落合初島中東教育局長
超勤命令を出せるのは、超勤4項目に限られているところでございます。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
ですので、労働基準法上の第37条が適用除外であると。そして、給特法第3条第2項において休日勤務・時間外勤務手当は支給しないという規定はされていますが、だからといって何でもかんでも働かせていいと法的には定められていません。文部科学省も「超勤4項目」以外は超過勤務命令を発することができないとしています。
それ以外の労働時間が発生するのは違法となります。超勤4項目というのは次の4つです。生徒の実習、修学旅行等の学校行事、職員会議等の会議に関する業務、災害等のやむを得ない事由による業務。例えばこれ以外の業務――授業準備、部活動、保護者対応などは対象外とされています。
ここでしっかりさせないといけないのは、学校教員にも労働基準法でいうところの週40時間労働が適用されていて、何でもかんでも除外項目として働かせていいわけではありません。
「超勤4項目はOK、それ以外はダメ」。その代償として教職調整額があるわけですが、それ以外の業務に従事させると、それは不払いになります。不払いになりますよということがはっきりしています。
しかし、時間外在校等時間という概念を持ち出さないといけないほど、実態としては、安倍大臣もよくご存知のとおり、超勤4項目以外の業務についても長時間勤務が強いられている。そして1日8時間・週40時間労働を守らなければならない公立教員の実態が、全然違う。実際、時間外在校等時間の9割が、超勤4項目以外の内容であり、それらは本来、超勤命令をしてはいけない業務。
これは業務であって、違法状態。すでに他の委員からも指摘がありましたが、それを見て見ぬふりしてはいけない。
「働き方改革で30時間に減らします」などという問題ではありません。これは法律違反なんです。労働基準法を守っていないのだから。
明らかに違法状態にあるのに、「30時間に減らそうね」などと、自分たちの違法状態を認めたうえで「ちょっと減らしましょう」と言っているに過ぎません。
2019年の改正もそうでしたが、また今回も3年後見直し。ですが、その3年後の見直しも違法状態が続くのであれば意味がない。教師のために、未来の子どものために、ではなく、まず法律を守ってください。
文科省が労基法を守らないことで、学校の先生が亡くなっているんですよ。裁判も起きている。ふわっとした対策では済まされない。教師の死を、ちゃんと法制度に活かしていかなければならない。
厚労省の労働時間の定義はガイドラインに沿って、個別具体的に「白か黒か」判断する。その中には、「労働者の行為が使用者から義務づけられ、またはこれを余儀なくされていた等の状況」から判断されるとあります。
つまり、校長などからの業務命令があるかないかでごまかすことはできない。ガイドラインでは、余儀なくされていたかどうかがポイントです。
たとえば、部活動です。学校教育法で業務とされています。修業時間までは業務、その後も継続して指導しているのであれば、それが突然「自発的」とされるのは無理がある。
たとえば、修業時間が5時までだったとして、それまでは業務として部活指導をし、5時を過ぎたら突然自発的な非労働時間になるという解釈は無理があります。
このような部活動が、余儀なくされているのではないかという点をはっきりさせたい。
質問です。安倍文科大臣、5時が修業時間であった場合、それまでは校長に命令された部活だとして、5時を過ぎた後の部活動は労働時間ですか?
A.あべ文部科学大臣
給特法に関しましては、公立学校の教師に対して時間外勤務命令は、先ほど委員も申し上げました超勤4項目以外の業務については出せない仕組みになっておりまして、これら以外の業務を所定の勤務時間外に行った場合は、時間外勤務命令に基づくものではないと整理されると認識しております。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
ですから、その整理が違法なんです。もし法が違法状態なのであれば、その違法部分を変えてください。私は両立できると思っていますし、仮に給特法が違法状態の法律であっても、労働基準法を守らなければなりません。労働基準法上、これは労働時間と見なされるような業務については、残業代を支払わなければならない。
部活動、今ね、もうさらっと言って、そういうのって本当に学校の先生ってどういう思いで聞いてるんでしょうね。部活動で安全配慮義務、適用されますよね。安全配慮義務っていうのは年々その考え方が強化されてるとも言えます。
例えば、熱中症によって部活動中に生徒さんが亡くなってしまったという死亡事故があって、そこで教員の安全配慮義務が問われたケースもあるんですよね。安全配慮義務は、例えば平成15年の神戸地方裁判所の判決で、ラグビー部の事例でそういうことがあったわけです。注意義務が認められるということが認定されたわけなんですよ。
だから、これって学校の先生が大変だね、だけではないんですよ。安全配慮義務は誰にかかるのっていう話ですよね。学校で起こるべきではなかった事故が起きた時に、誰がどういう責任を問われるんですかというところでは、刑事上と民事上と行政上の責任があるようです。
それは学校の先生にも問われるけれども、施設側、学校だったり国にも問われるんですよ。公立学校の学校事故における損害賠償の根拠法は国家賠償法になっています。これは民事上の責任が問われるんですけど、この場合は教員個人は民事上の賠償責任は負わずに、国または公共団体が問われるんですよ。
だから、学校の先生が勝手に部活動をやっていたという話ではなくて、時間外での部活動で事故があった時に、安全配慮義務が問われるのは教師だけではなく、むしろ教師ではなくて国だったり文科大臣だったり自治体だったり学校だったりするわけでしょ。だったらその人たちの責任じゃないですか。ちゃんとした業務として命じておかないとダメなんじゃないんですか。すでにそういう安全配慮義務を怠ったと認定された事例もあるわけなんですよね。
あべ大臣、今の話の中で、やはりこれは自分の責任として残業代を払うべき部活というのが存在するとお思いになりましたか。
A.あべ文部科学大臣
委員長、すいません、繰り返しになりますが…繰り返しになりますが、時間外勤務命令に基づくものかどうかということに関しての判断基準になるものと考えられますが、特例法においては、公立学校の教師に対して時間外勤務命令はいわゆる超勤4項目以外の業務については出せないという仕組みになっているものでございまして、その超勤4項目以外の業務を所定の勤務時間外に行った場合、その時間は校長等からの指示、すなわち時間外勤務命令に基づくものではないと整理されるものと認識しております。
Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)
法においては強調してるんでしょ。だから特例法が違法なんでしょ。給特法だったら給特法を改定するコーナーなんですから。これ違法状態を解消するような給特法改正にしないといけないでしょう。
それでね、まだ他にもありますよ。埼玉県の教員超勤訴訟で、労働時間かどうかっていうのを判定してるんですよ。結果として、労働時間として認定されたものが結構あるんですね。
ただ、文科省がこうだからだと思いますよ。その判決は賠償額が低いからもう損害賠償は成り立たない、という変な結論だったんですけれども、その結論と同時に労働時間としては認定されてるんですよ。
例えば、翌日の授業準備とか、通知表の作成とか、いっぱい労働時間として認定されてるんです。一審で認定されて、二審でも追加的にこれも労働時間だったわって認定されてるんですよ。
だけどその積み上げ額が少ないから、損害賠償のほどには当たらん、でも法改正だったり、法改正の議論を待つといった判決なんですよ。それを、これは2021年の訴訟ですね、受け止めなきゃ、全くこの改正の議論してる意味がないというか、もう裏切りですからね。
また次に明らかにしたいと思いますけれども、他にも部活動も含めて、むちゃくちゃ土日に休みがなくて、それでくも膜下出血で労災認定された方もいらっしゃるんですよ。教員で労災ですよ。それ、部活動も含まれてるんですよ。労災認定されてるんだから、それ労基法で言うところの労働時間ですからね。
全然休みがなかった、つまりは労基法の32条に違反するような労働実態があって、労災認定されてるんだから労働時間なんですよ。だからもう積んでるんですよ。
その細かいことはまた、公務員の労災なんで裁判じゃないんで、資料請求しないといけないんですけれども、ちゃんとその罪を認めて、違法状態を認めて根本的に変えてください。
さっき、「抜本的には今回は変えるもんではなくて」とか、その違法を開き直るっていう最悪な場になってますからね。
またこの給特法の質疑は続きますので、このような違法状態の解消こそ今回の改定で求められるものだと申し上げて、本日は終わります。