【文字起こし】今国会給特法改正、内田教授長尺インタビュー

弁護士ドットコムニュースが名古屋大学・内田教授に今国会の給特法改正についてインタビューしていましたので、文字起こしします。

【弁】

まずこの特別措置法なんですけれども、50年以上前に制定された法律なんですけれども、特に今回大きく問題に上がっているのは「教職調整額」というところなんです。時間外手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給与月額の4%に相当する額を一律に支給する。これがどうして問題に上がっているんでしょうか。

【内田】

はい、これはこの法が制定されたのは1971年ですね。1966年の時に教員の勤務状況を国が調べたんですよ。そしたら、月に大体8時間ぐらい残業しているというので、月8時間って大体本給の4%分ぐらいに当たるんだと。月給の4%分に当たるんだということで、8時間分をそのまんま4%として月給に上乗せしてしまいましょうかという議論があって、それが最終的に法的に制定されたっていうのがこの法なんですね。

それは当時は見合っていたわけですね。残業時間的なものとして4%分を最初からつけてしまうということで。当時もやはりいろんな議論ありました。結局、どんだけ残業しても給料は変わらないんじゃないのかっていう、今のような議論って当時もすでにあったんですけれども、そういう形で一まず決着はしたわけですね。

その時はまだ良かったかもしれないけれども、その後、教育として子どものためにやるべきことを「〇〇教育、あれやりなさい、これやりなさい」っていうふうにどんどん仕事が降ってきた。ところが、それが4%の中でとまってしまうわけですよね。どんだけ仕事が増えていっても、給料はプラス4%のまんまだったということなんですね。

この法のポイントっていうのは、「4%を最初に渡しますよ」って言った。すなわち、それは「もう残業っていうものがありませんよ」という話になっちゃうわけですね。

民間企業でなんでタイムカードがあるのかって言ったら、当然30分、1時間余計に働いたらその分残業代として支払うからこそ、残業という概念があり、そして時間を測るという考え方があるわけですね。ところが、この特措法では「4%」って話なので、勤務時間を調べる必要がなくなっちゃったんですね。

これが非常に教育の働き方にとってマイナスの影響をもたらしたと思います。4%渡す代わりに、もう残業代がないよ、すなわち残業がないよって話なんですね。ということは、時間も管理しないよ、そして当然ながら、どんだけ働いてもそれは残業代というコストにもならないよっていうことで、特措法が制定された結果として、時間管理やコスト意識っていうのはなくなってしまったということ。これを総じて「定額働かせ放題」と言ってるわけですね。一定の給料のまま、どんだけ働いても放置されているということですね。

実際、2022年の文科省の調査によれば、公立中学校の平均残業時間は58時間ということです。そういう意味でも、そもそも制定された当時のその時間よりも、50時間ほど上回ってる単純計算になると思うんですけれども。

だからね、気づかなかったんですよ。だんだんだんだん仕事が増えていってるんだけど、時間を計ってないので「あれ?去年よりもこんだけ残業時間増えたよね? そして残業代もこんだけ必要になっちゃったよね? 予算大変だよね?」っていう議論に行かなかったんですね。

結局定額のまんまだったので、次々仕事が増えても時間もわかんない、そしてコストもわからないまんま、少しずつ勤務時間が増えていったってことなんですね。

そして最新の調査でも、月平均58時間ですかね、中学校で。で、これね、実は土日に家でやってる仕事、平日の夜に家でやってる仕事、いわゆる「持ち帰り仕事」っていうのが教員の働き方の特徴なんですね。

この持ち帰る仕事が、実はカウントされてないんですよ。文科省やマスコミが使っているデータっていうのは。文科省は調査の中で、しっかりと持ち帰り仕事の時間も調べてるんですね。その持ち帰り仕事の時間も加算してさらに計算すると、平均中学校で残業100時間を超えてる。

余裕で小学校でも過労死ラインを超えてるんですよ。小学校中学校の平均値ですよ。そしてこの調査っていうのは学校が比較的通常運転してる時の勤務時間なんですね。めっちゃ忙しい時じゃなくて通常の時の全国の平均が小学校で過労死ラインを超えていて、中学校で小学校でも超えている。そして中学校の方がさらに多いっていうことでも余裕で過労死を超えていると。それが平均値だということで非常に危ない事態になってしまったということですね。

そもそも法の中で超勤4項目っていうのもあるわけじゃないですか。時間外労働として例外に認めているもの、生徒の実習、学校行事、職員会議、非常災害時など緊急時ってことなんですけども、これもそもそも残業代という形では支払われてないってことなんですよ。

法っていうのは基本的に残業命令ができないっていうことになってんですね。だから残業という概念がないんですけれども、一部残業が管理職から指示できると。それが超勤4項目と呼ばれてるもので、それは超勤4項目だけは残業が命令できるってことになってんだけど、それは命令したところで残業代が支払われるっていう仕組みではないんです。

だから残業代っていうのはもう本当に支払われない、プラスの中に押し込められているということですね。そしてこの超勤4項目は教員の膨大な業務の中でごくごくごく一部なんですよ。

なので本当はこの超勤4項目に当たらない残業の業務っていうのは山ほどあるんですね。なのでどっちにしろこの超勤4項目っていうのは残業代でも払われないし、それでやっているのはごく一部のことで過ぎないんだっていうこと。むしろその他のことで教員が忙しいんだっていうふうに考えなければいけないと思いますね。

変な言い方しますと、例えば朝先生が見守ってくれたりする活動だとか、部活動だとかは命令されていない時間ということになるんです。これは「だから言ってないよ、そんなことやれって」。その通り。それをどういうふうに管理職が処理するのかっていうと「お願い」なんですね。

やってもらえないかなって。朝子どもたち挨拶とかをしっかりと指導するためにも挨拶運動やって欲しいな、あるいは交通安全とかね、そういった指導して欲しいな。部活動も子どもたちやりたがってるし、やってくれないかなっていうお願いなんですよね。

ただお願いだから「じゃあ知りません」って言った時にもう部活が成り立たないってなってしまって、結局先生たちは命令じゃないお願いに善意で応えてずっとやってきたっていうことなんですよね。

ある意味ボランティアみたいな。ボランティア…ある意味じゃなくてただのボランティア。本当に。だからこのね、命令ができないっていう意味だけで言うとね、ある意味アナーキーな世界なんだっていうふうにもポジティブに捉えればそう言えるんだけど、「じゃあ命令してませんけどお願いです」ってなってしまうわけですよね。命令はできないので「お願いです」って言って仕方ない、やろうってなってしまう。なので弱い立場である教員がボランティアで善意のもとにやっていってしまうからには、この給特法というのはまさに定額働かせ放題になっているという点で、改めないといけないなって。

それ、結局働いてたら労働だよね。労基法だったらそれはもう明らかに労働だっていうふうに裁判になればね、認めてもらえるわけですよ。ところが労働にならない。対価が支払われないっていうのが法の現状だということですね。

【弁】

今回この改正案では、この給特法の部分を少しずつ引き上げていって最終的に引き上げますよと。これで働き方改革って進むと思われますか?

【内田】

いや私は大いに疑問で、これ根本的にずっと分からないことがあってね。改善という意味では良いですよ。今よりは多めにもらえるので。確かに待遇改善だけど、教員が望んでるのはまずは「早く帰りたい」「仕事を減らしてくれ」っていうところなんですよね。「これが増えたら仕事減りますか?」っていうことなんですよね。そこがよくわからない。

例えば何か学校の設備を良くしたり、それは例えば学校って未だに古い機器とか使ってるんですよ。

パンを作って、それをそのガチャガチャガチャって言ってあの増やすようなコピー機。高性能のコピー機じゃなくって、ものすごい古い機器をもういろいろ使い回ししているということを含めて、学校の設備って非常にICT化とはかなりかけ離れた状況にあって、それだけでも教員って勤務時間が増えてくわけですよね。

そういうふうに設備投資だとか、あるいは人に投資する、人を増やすっていう方向にその分を使った方がいいんじゃないのかなって思うんですよね。

それを単に増やしただけだと「手持ちの給料が増えました」「もう少し悪い見方をすれば、その分頑張ってね」…そうです、そう。非常に疑問ですね。

これがだから「増やしたら仕事が減る」っていう仕組みになるかって、全くそれリンクしてないので私は大いに疑問だと思いますね。

【弁】

その中で新聞が報じたところによりますと、この改正案の中に「平均残業時間を月あたりで抑制することを法案に明記する」という方向で話が進んでるというのを読みましたけれども、こうやって法案に「ここまで減らしなさいよ」っていうふうにもしも記されたとしたら、その効果があると思われますか?

【内田】

私が非常に疑問なのは、これ法律に何らかの形で関連づけられるのであれば、それなりに勤務時間の抑制効果はあるのかなと思います。

ただ、そこまで考えるんだったらもう本当に労基法でやったらいいじゃんって。労働基準法はね、いくつかの基準があって、それを破った場合には法律違反になるわけですよ。

その仕組みがしっかりと準備されている労基法でやればいいのに、なんでこの労働として残業として法的には認めていない中で、枠を作ったり、もう立て付けがよくわからない。本当になんでこんな法律があるのかなと素人ながらに分からないんですよね。

残業時間がない、法的には残業は命令されていないのに、また枠がついてきて、それが法律に何かの形で関連づけられると…もう意味が分からない。もうだったら労基法でいいじゃんかっていうのは率直に思うところです。その上でこの30時間っていう枠があることによって、それは法的に何か罰則あるわけではないので、どういうふうに現場が動くかわかんないですけれども、何らかのプレッシャーが現場に高まることは、よく言えば勤務時間削減につながるとは思います。

ただその時に本当に考えなきゃいけないのは、教員の仕事を減らす仕掛けを文科省はもっともっとやってほしいなって。単に早く帰りなさいだけではこんなに業務があるのに帰れない。30時間を超えてしまいましたっていうことで、何らかの形で管理職から責められるという、これ非常にまずいので。

文科省はこれから先も「これだけ仕事を減らしたんだから30時間で帰れるでしょ」っていうふうな、そういったメッセージがあるとさらにいいなって思います。

例えば、これから学習指導要領の改定っていう議論が少しずつ進んでいるんですけど、その時に教員が教えるべき授業の内容が少し減ったりだとか、いわゆる「持ちコマ数」って言うんだけれども、1日の間で何時間持ってるのか。

もう小学校も中学校も、特に小学校の先生は1日中ある中で1コマしか空きがなかったりするんですよね。そんな1コマしかない中でいろんな準備ができるわけがない。そう考えても先生たち、明らかに授業の負担がそもそも大きい。

であれば先生を増やして授業をもう少しみんなで均等に分けていくと。そうすれば授業の空きコマっていうのもできるんだけれども、そういった設計には実はなかなかいかないんじゃないのかと。

つまり指導で教員のコマ数を減らす、あるいは標準授業時数と呼ばれるものを減らす動きは実は全然聞こえてこないんですね。そういう中で「早く帰ってね」っていう…うーんっていう気はしますね。

【弁】

そもそも今、教員不足も結構議論されてるじゃないですか。どこでしたっけ?どこかの自治体でしたっけ?なんか辞退者が続出したって。そもそも人いないのに持ちコマを減らせないだろうっていう感じもします。

【内田】

これ、痛いとこ突きますね。実はいつも毎回、正直言うと困っちゃうんですよ。もう教員の授業負担が大きいことは間違いがなくて。ってことは持ちコマ数を減らさなきゃいけない。てことは人を増やす。でも今、人がいないよねっていう危機の危機です。

だから、そうなった時にはもう何が後先じゃなくて、とにかくまずは長時間労働の解消。そのためにできることを次々と手を打っていく。そして少しでも改善すれば「あ、やってもいいかもな」と思う人たちが少しずつ増えていけば、それによって教員不足もなんとか穴埋めしていってね。で、持ちコマ数も結果的に減っていくということになるかなと思うんですね。

本当に今、教員がいないという危機の危機ですね。教師不足の問題って、最近になって統計が出てきて、文科省の調査など数字が具体的に出てきて、教師不足っていうのは大きなトピックなんです。

それまではほとんど議論されていなくて、むしろ議論されていたのは教員の長時間労働。教員の問題として議論されていたんですね。

でも教師不足っていうことは、つまり子どもが授業を受けられないっていう意味では、もう実害が子どもに生じてると。教育サービスが回っていないっていう

長時間労働はまだ、ギリギリ教育サービスを回してるって話だったんだけど、もう回ってないっていう現状なんです。だからもう危機は確実に発生しているんだという意味で、教員不足は非常に大きい。

人を集めようと思っても集まらないとなった時には、できることを先にやっていく。長時間労働の解消っていうのは最優先の課題だと思いますね。

【弁】

長時間労働の解消というところでは、この改正案っていうのも不安はやっぱり大きいって感じなんですかね?

【内田】

これは全然とは言わないにしても、ものすごい不安だらけですね。なんで労基法でね、民間企業あるいは国立の学校もそうですけれども、もう労基法で動いてるんですね。

そしてその中でしっかりと管理していくという動きになる中で、なんで公立の先生だけが非常に特殊な法律を使って、そしてそれに法的に正しいのかどうかよくわからない改正をしていって、「30時間上限をつけます」とかですね。その上限っていうのは一体何の上限なのかよくわかんないけれども、なぜ公立校の先生だけこんなに小難しい議論をし続けなければいけないのかというほど、民間企業と同じ働き方のベースに乗っていけばいいんじゃないのかなっていうのは私の思いですね。

やっぱり私も、少し前までそういう分野で働かせていただいたんで、学生に話を聞くこともあったんですけれども、やっぱりその学生の方で「なりたい」「やりがいはある」んだけれども、職場環境、労働環境が不安で足踏みしてしまったっていう子は、やっぱり少なからずいるんですよね。

国とか特に自治体ですね、人を集めたいと。その時のもう決まったセリフが「やりがいを伝えましょう」って言ってるんですよ。

教員免許を取ろうとしてる人、あるいは教員養成系の大学に入った人は、教職って素敵だなと思って入ってるんですよ。やりがいなり魅力は感じて入って、でも「ちょっときついよね」って言って諦めてくんですよね。

きつさを減らすっていうことが大事であって、もう「ポジティブにいこうぜ」ではないんですよ。

【弁】

この調査ってやっぱ内田先生的にすごく重要なものとお考えなんでしょうか。

【内田】

ものすごく、ものすごく重要です。非常に細かい調査をやっていて、教員の勤務実態を知るには本当に完璧な調査だというふうに思いますね。

で、これはね、元々の元をたどっていくと、教員の勤務調査が行われていて、それが給特法の調整額の根拠とされたんですね。そしてその結果、もう残業っていう概念がなくなったので、働かせ放題になっていったわけですけれども、その結果、実は教員の勤務調査もその後ずっと行われていなかったんですよ。なぜなら残業がないからね、勤務自体調べる必要ないよね、なぜなら時間外がない職業だからってなっちゃったけど、その中でズブズブと残業が増えていったわけですね。

そして、教員の給料にメリハリをつけた方がいいんじゃないっていう、いわゆる評価の文脈です。一律にみんな同じ給料じゃなくて、メリハリつけましょうかっていう議論の中で、まあ一回どれだけ働いてるか調べてみましょうかと。

で、教員調査をしたら、どひゃーってなったわけですよね。これは評価とか言ってる場合じゃないレベルの働き方だと。

そしてその後、もう一度調査をしてみたところ、もっと悪くなっていたということで、本当にこの働き方、元々は評価の文脈だったんだけど、極めて重要な調査が行われて、「マジかよ」となって、その後もう一回やってみたらもっとひどくなっていて、「これは働き方を変えなきゃいけない」っていうことになったんですね。

そしてその後に、また勤務調査をやりましょうってことで調査をして、少しだけ改善されたと。ただ、持ち帰り仕事はまだまだたくさんあって、過労死越えもしているということで、まだまだやばいということが見えてきたわけですよね。

で、そのたびに給特法をどうするかって議論も起きてきて、やはりね、私リスク研究やっていて常に思うのは、リスク、何が起きてるかっていうこのことを見える化して初めて世の中って動いてくんですよね。数字でこういうことが起きてますよ、あ、これは考えなきゃいけないと。単に「大変だ、大変だ」ではどれくらい大変かがよくわからない。だからこそ数字で把握して、どういうふうな対策が必要だという議論が起きてくるんですね。

だから調査、特にこの勤務実態調査は教員の働き方改革を進める上で本当に重要な調査になってきたわけですよ。それがね、今回もうやりませんと。

で、それまでは法改正の時は「また3年後に勤務調査しますから」っていう。改正の時には「3年後にまた何らかのしっかりと勤務調査をします、また法の見直しも考えます」っていうのが、実はその時にあったんですよ。

ところが今回ね、そういった未来にどうするかっていう話をほとんど聞こえてこないんですよ。あれ?いよいよ法改正も勤務実態調査もなくなるんじゃないのかな。つまり「頑張るぞ」「働き方改革するぞ」っていう国の温度がなくなるんじゃないのかっていう、非常に私、大きな危機感を持ってます。

調査をしないっていうことは、リスクを見える化しないってことなんですよね。ものすごくまずい状況。もうそれではどんだけか分からないし、私は極めて深刻な未来が待ってるんじゃないのかなっていうふうに危惧します。

で、まあそういった危惧の声が高まってきて、ようやくこの本当にこの数週間の動きですけどね、勤務調査を、まあやりましょうかって動きに少しずつなっています。最終的にどういう未来が待ってるか分からないけれども、何らかの調査が行われることを期待します。

で、確かに勤務実態調査は精度が高い分、それを回答するのにね、結構大変なんです。精度が高いので、ある程度調査の仕方を変えるってことは、私も一定の説得力はあるかなと。でも調査のやり方変えると、前との比較はできないんですよね。

だから基本は変えないのが一番いいです。でも先生の負担を気にして変えるんだとすれば、今度変えたやつで絶対に継続的にやっていくと。そうしないと本当に連続性は断たれたわけです。1回だけやって終わりでは、本当に意味のない調査になるので、変えたら変えたなりに、負荷の小さい調査を毎年やっていって、そして変化を調べるってことをやらないと本当に意味のない調査になっちゃうので、変えるんだったら毎年するというところもね、文科省としては取り組んでほしいなと思いますね。

【弁】

こういった調査をやらないということは、もう今回の改正をもって教員の働き方改革は区切りをつけますよっていうふうに聞こえますよね。

【内田】

聞こえますよね。本当にまずいです。今なんとかね、文科省も「いや、もう少しは調査をやるようにします」みたいな感じで、少し前向きな答えを出すようになったけど、そもそもやらないっていう話だったので、「いや、国は何を考えてんのかな」と、ものすごい危機感を抱いてます。

それ本当ね、教員調査行われない間にズブズブ仕事が増えていったっていうこの歴史を、文科は理解してるんだろうかと。調査をやらなかったら実態が分からないわけで。そん時に勤務時間が増えてもわからないし、そして減ったなら減ったなりに、それって見えたらすごくいいことですよ。「あ、去年よりもこんだけ減った。もしかして5年後にはもっと減ってるかもしれない」っていう意味でも、リスクを見える化するためにも必要だし、あるいは改革の成果を見るためにも必要なので、ぜひ調査を継続すると。そして調査のやり方を変えるんだったら、変えたもので継続するってことをね、考えないといけないかなと。

調査をやめたら、本当に昔と同じ、またまた残業がもしかして拡大していっても誰も分からないということになりかねないので、ぜひ調査の継続願いますね。

【弁】

それでは改めて、教員の働き方改革、そしてこの教員不足っていうのを解消していくために必要と思われる対策、どのように考えますか。

【内田】

まずは今回の法改正で全てを終わらせてはならないということですね。そしてぜひ動画をご覧の皆さんに知ってほしいのは、今、教師不足っていう形で授業が回らない事態になってるわけですね。そしてそれは、子供に実害が生じてしまっているという点含めて、この教師不足、あるいは教育の長時間労働っていうのは、それぞれ子供にも実害が生じる社会的な問題なんだっていうことなんですよね。そういうふうに理解してほしいなと。

そして実はこの社会の側も行政の側も、先生の全員に任せてきた側面が多々ある。先生だったら子供が待っていたら頑張ってしまうわけですよね。部活動ってのはその最たるものですけれども、平日の放課後、あるいは土日、部活に出て、子供が頑張ってくれれば、親としても多少子供が手から離れてる分楽なわけですよね。

そういう意味でも、保護者も、そして地域住民、あるいは行政全体も、先生に結構依存してきたんじゃないのかなって。私、これを「学校依存社会」と呼んでるんだけれども、そういった学校依存のあり方を社会全体で考えていくってことが必要かなと。そうしないと、本当に教員になり手がいなくなって、授業が回らないということに現在すでになっているので、ぜひこれ、それぞれ先生のことだからって距離を置くんじゃなくって、もうこの自分の子供の問題、そしてこの社会の問題として、皆さんに引き続き考えてほしいなと思います。