山崎正恭議員(公明党)
修正案による新不足第3条第1項第1号に規定される、公立の義務教育諸学校等の教職員1人当たりの担当する授業実数を削減することについては、教師の負担軽減と子供たちの学びの充実の観点から、教師1人当たりの持ち時間数を縮減することを目指すという趣旨であると承知しています。この改正案が成立した際には、政府はどのように教師の持ち時間数の縮減に取り組んでいくつもりなのか、見解をお伺いします。
あべ文部科学大臣
教師の持ち時間、持ち授業時間数に関しましては、特に持ち授業時間が多い小学校におきましては、その軽減を図る必要があると考えております。そのため文部科学省といたしましては、小学校における教科担任制の拡充にかかる定数改善を計画的に推進しており、小学校高学年に加え4年生への教科担任制の拡充などのため定数改善を計上するなど、今後数年間での改善を予定しているところでございます。
また、国が一律に教師の持ち時間数に上限を設けることに関しましては、持ち授業時間数のみで教師の勤務負担を捉えることは十分ではないという課題があるなど、慎重な検討が必要であると認識しているところでございますが、標準授業時間数を大幅に上回って教育課程を編成している場合には点検を行い、指導体制に見合った計画とするよう引き続き促してまいります。
これらの取り組みを通じまして、教師の持ち授業時間数の縮減に取り組んでまいります。
山崎正恭議員(公明党)
先ほどの大臣の答弁では、国が一律に教師の持ち時間数に上限を設けることは、持ち時間数のみで教師の勤務負担を捉えることが十分ではないという、慎重な検討が必要という趣旨だったと思います。
現場にいた人間として、それはよく分かります。私も、荒れている学校で3年生の学級担任と生徒指導の手助けを兼ねてやってほしいと校長先生に言われまして、その時は持ち時間数を削減してもらいましたが、実質的にはそれ以上にしんどいと感じることがありましたので、持ち授業時間数だけで教師の勤務負担を捉えることは十分ではないという考え方も理解できます。
しかしながら、先ほどの時間外在校等時間を30時間以内に目標設定するということとの関係性、バランスで言えば、本来は1人当たりの授業実数の上限を定めていくことも重要だと思います。
一方で、前回の質問でも言いましたが、教員不足が深刻な現状では、すぐに厳密に1人当たりの授業実数の上限を設定した場合、その上限を超える授業が出た際に、例えば中学校の音楽などで、そのために非常勤講師の先生等を配置しなければならないといったケースも出てくると思います。
現段階ではそこまで厳密な個人の上限設定はしないけれども、先ほど大臣からもありましたように、しっかり今回の法案の趣旨――教師の負担軽減と子供たちの学びの充実の観点からは、厳密ではなくても極端に持ち時間が多いケースを作らないようにして、教師1人1人当たりの持ち時間数の縮減に取り組んでもらいたいと思います。
そうやって取り組んでいかないと、今回提出されている法案の意味がないと思いますので、何卒、将来的なことも含めて、持ち時間数についてはしっかりと取り組んでもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、質問の順番を入れ替えてお伺いします。教員の働き方改革の中で持ち時間数の削減と共に議論されているのが、教職員の定数改善です。
修正案による新不足第3条第1項第3号に規定される、公立義務教育小学校の学級編成および教職員定数の標準に関する法律に規定する教職員定数の標準を改定することについては、1人1人の子供たちにきめ細やかな教育を行うための、学校の望ましい指導体制の構築へ向けて、義務教育標準法の改正案を時期通常国会に提出することを、立法府の意思として明確化している趣旨であると考えます。
公明党としても、直近の提言全てで定数改善と、これまで我が党が長きに渡り取り組んできた少人数学級の実現を政府に対して求めてきたところであります。そこでこの改正案が成立した際には、政府はどのように教職員定数の改善に取り組んでいくのか、改めてご答弁をお願いします。
あべ文部科学大臣
おっしゃるように、複雑化・難化する教育課題への対応を図る上で、誰1人取り残されることなく、子供たち1人1人に応じたきめ細かい指導を可能とする指導体制を整備することは、大変重要だと私どもは考えております。
このため、小学校における教科担任制の拡充や、中学校における生徒指導担当教員の配置拡充など、今後数年間で計画的に改善を進めていくこととしており、予算も含めて、改善総数は数千人を予定しているところでございます。
加えまして、少人数学級が完成する小学校に続き、ご提案も踏まえて、財源確保と合わせて中学校における少人数学級への定数改善を行うこととし、義務標準法の改正案の提出に向け、準備をしっかりと進めてまいります。
山崎正恭議員(公明党)
月あたりの時間外在校等時間の30時間目標の設定に踏み込んだことは大きな第一歩だと思います。ただし、それに対しては「表面上減らしても中身が変わらなければ意味がない」という厳しい見方もあります。
やはり、定数改善と持ち時間数の削減、教員の仕事の3分類等をしっかりと一体的に、計画的に進めていただきながら、教員の働き方改革が本法案の趣旨でもある「子供たちの学びの充実」に直結するよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に教育課程の編成についてお伺いします。修正案による新不足第3条第1項第2号に規定される教育課程の編成のあり方について検討を行うことについては、標準授業数を削減することを念頭においたものではなく、例えば我々公明党が提唱する「子供たちが集団の学びと個別学習を生かす中で、1人1人に光が当たり、子供たちがいきいきと輝いていける『輝き教育』」の推進も視野に入れ、今後そういった時代の変化に即した新たな学びの方法を表現していくことも含め、学習指導要領の改定にかかる検討を進めていくという趣旨であると考えています。
この改正案が成立した際には、政府はどのように教育課程の編成のあり方の検討を進めていくつもりなのか、見解をお伺いします。
あべ文部科学大臣
委員長、時期の学者、多様な子供たちを包摂し、子供一人一人の可能性が輝く柔軟な教育課程を実現することが重要でございまして、その上でも過度な負担が生じにくいあり方を検討することが、私ども重要だというふうに考えております。
標準授業時数を含めました教育課程のあり方につきましては、引き続き検討させていただきますが、これまで、例えば一定の要件のもとで、各校の標準授業を裁量的な時間に当てることの適用、また、学習指導要領の複雑で重なった記載のスリム化に関しましても、教師と子供の双方に余白を生み出し、教育の質の向上につながるものとして、中教審の部会で議論を行っているところでございまして、方向性については概ねご理解いただいているところでございます。
詳細は今後さらに検討していきますが、教育の改善と働き方改革を両立させ、全体として教育の向上につながるよう、引き続き慎重に審議を進めていきます。
山崎正恭議員(公明党)
答弁の中にいくつか重要なキーワードがあったと思います。多様な子供たちを包摂し、子供一人一人の可能性が輝く柔軟な教育課程の実現。この「柔軟」というところが非常に重要かなというふうに思います。柔軟で弾力のある課程ということで、例えば私の地元四国で、FC今治といいまして、サッカーの岡田監督がこの4月から開校しましたけれども、非常に柔軟な教育課程の中で、多様な講師を呼んで、子供たちが生き生きと勉強を始めているというところがございます。しっかりと新しい時代に即した教育課程の編成をお願いしたいと思います。
最後の質問になります。少し細部のところになりますけれども、最近現場を歩いていまして、校長先生に頼まれました。それは教員の働き方に直結するところで、現場の方では定期テスト等の自動採点補助システムが非常に進んでいるということで、これが先生方の働き方改革に非常に貢献している。教科にもよりますが、作業量が大体3分の1ぐらいに削減されるということがありまして、学校現場におけるテストの自動採点補助システムの現状と今後の展開についてお伺いします。
初等中等教育局長
文部科学省としましては、今先生ご指摘の定期テストのデジタル化によりまして、採点時間の短縮に加え、成績処理に関わる教員の負担の軽減につながっている実際の例もあると承知しております。これらの取組は、教職員の働き方改革にも資すると考えられることから、引き続き自治体に対してこのような好事例を紹介してまいりたいと思っております。
また、文部科学省では、公務DXを推進する際に取り組むことが望ましい項目を整理した「GIGAスクール構想下での公務DXチェックリスト」を作成してございますが、この中でも小テストなどへCBT(Computer Based Testing)を取り入れることについても推奨してございます。
この取り組みによりまして、テストの配布・集計・採点等にかかる時間を短縮することも可能となることから、まさに教職員の負担軽減も期待されるところでございます。
いわゆる先生ご指摘の自動補助のようなシステムの活用、あるいは小テストなどのCBTを含め、引き続き教職員の働き方改革に対して効果的な公務DXを推進してまいります。
山崎正恭議員(公明党)
先ほどの校長先生が言っていたのは、産休や育休で教員が出ても、なかなか代わりの先生が来なかったり、見つけられなかったり、加配も張れない中、唯一教員にやってあげられることなので、国も働き方改革の中でぜひ支援してもらえないかと。現場の教員も、今やこのシステムはなくてはならないと。実は市の予算が切られる中で、自分たちでお金を出し合ってでも続けていきたいと言われています。
そんな中で、市町村ごとに仕様が違ったりして、移動したら全く使えないということもあるので、ぜひそういった一体的な整備も考えて、何らかの支援ができないかと検討していただけたらと思います。時間が来ましたので、以上で質問を終わります。
大石あきこ議員(れいわ新選組)
給特法の改正の修正案について申し上げます。給特法というのは、公立学校の先生の給与に関する法律です。これまでたくさんの時間をかけて質疑を行ってまいりまして、本日はその修正案について審議が行われています。
まずこの修正案に関してですが、分かりにくいという方が外部にもいらっしゃるので整理しますと、この修正案というのは「附則」という、法律には「本則」と「附則」があり、本則は一切変えずに附則を付け加えるというものです。附則というのは法律の一部ですが、本則に付随して必要になる事項を補うために付け加えられる規定というものです。
今回の法律、元々の給特法の改正案、これは自公政権が出したものですが、それには手を加えず、それを前提として附則というものを書き加えるのが今回の修正案となります。しかし、これでは問題が全く解決しません。元々給特法の改正の背景には、現在の凄まじい学校教育現場の人手不足と過労死問題があります。これが全く解決しないのが、政府の出してきた原案・修正案です。
現在の学校の状況で言いますと、質疑でも出されましたが、過労死の認定件数、小学校の先生で言えば過去9年で38件。これは氷山の一角です。このような学校現場の地獄を解決しなければならない。それが政府、そして国会の使命です。
しかしながら、政府の改正案・修正案ではそれが全く解決しないどころか、教職調整額を4%から10%に引き上げるといっても、1%あたりたったの月3000円ですので、10%になっても全くこの過労死レベルの残業問題は解決しません。
そして、労基法に基づいて労働時間であるにも関わらず、それを労働時間としてカウントせずに、ただ働きをさせられているというこの不法・違法な問題を解決しない。そのようなことをこれまでも質疑で申し上げてまいりました。
今回の修正案というのがどの会派が出してきたかというと、報道では立憲と維新が提出者であると言われていますが、現在、共同提出者として自民党、公明党、立憲、維新、国民民主党と、つまりこの文科委員会に所属している政党のうち、私の所属する令和新選組以外のすべての政党がこの修正案に賛成しているという構図です。本日、給特法の改正案と修正案が、数の力で採決されようとしている。そういう状況です。
ご質問したいのは、共同提出者のどなたでもいいのですが、まずは立憲の委員の方にご質問します。配布しました資料1ですが、今回の修正案で出されている附則の中に、時間外在校等時間について記述があります。この修正案の附則には、政府は令和11年度までに、1か月の時間外在校等時間を平均30時間程度に削減することを目標とする、と書かれています。今は令和7年ですから、今後5年間、時間外在校等時間を平均30時間程度にすることを認めるということが書かれているわけです。私はこれを非常に問題だと感じています。
そこで伺いますが、修正案では時間外在校等時間の定義として、「1か月の学校の教育活動に関する業務を行っている時間から、休日や正規の勤務時間を引いたもの」とされています。この定義通り、教育活動に関する業務である時間外在校等時間は、厚労省のガイドライン、すなわち労基法32条で定義されている労働時間に該当するのではないでしょうか。お答えください。
津村啓介議員(立憲民主党)
通告と少し内容が違うように思うんですけれども、えっと私の理解の範囲でお答えさせていただきます。時間外在校等時間のうち、時間外勤務命令に基づきいわゆる「超勤4項目」に該当する業務を行う時間は、労働基準法上の労働時間に該当するものと認識しております。
公立の義務教育諸学校等の教育職員に関する給与その他の勤務状況権についての特別法である特法でございますが、その仕組みのもとでは、教育職員がいわゆる「超勤4項目」以外の業務を所定の勤務時間外に行った時間は、時間外勤務命令に基づくものではないと整理され、管理職による命令下に置かれているとは言えず、労働基準法上の労働時間には当たらないという認識でございます。
大石あきこ議員(れいわ新選組)
つまりは今お答えになった立憲の委員は、今のお答えは文科大臣と一緒のお答えなんですよね。すなわち、現状、公立学校の先生は、例えば土日の部活動・公式戦、これは業務ですし公務ですと、文科省も認めていますけれども、これは労基法上の労働時間には当てはまらないと。当てはまる可能性はゼロであるとおっしゃってるんですね。確認します。
津村啓介議員(立憲民主党)
「当てはまる可能性はゼロである」という表現は私は取らなかったと思いますが、現在ある実法の解釈について、与党と野党でそんなに見解が違うことの方がおかしいと思います。法律の理解を述べたまででございます。
大石あきこ議員(れいわ新選組)
この質疑の中でも立憲の委員ご自身が、「これは法律違反ではないか」「訴訟リスクもあるのではないか」とおっしゃっていましたけれども、それらは整理した結果、労基法違反には当たらないということでよろしいですか?
津村啓介議員(立憲民主党)
労基法違反になるようなケースがあってはならないというのはその通りだと思いますし、個別の事案についてこれはどうかという議論は、ぜひ建設的に交わされればいいと思いますが、ご質問がちょっと抽象的すぎて、どうお答えしてよいのか戸惑っております。
大石あきこ議員(れいわ新選組)
具体的に聞いております。大阪府においては、土日の部活動の公式戦は公務と見なされております。そのような公務と見なされているもの、文科省も公務と見なしているものについては、労基法32条が適用されている公立学校の先生において、これは労基法で定める労働時間ではないですかと申し上げているんです。でも文科省が「それは労働時間、いわゆる労基法上の労働時間ではない」と言ってるので、それは労基法違反の答えではないかということをずっと言ってたんですよ。だから超具体的に聞いております。もう1回聞きますね。大阪府において土日の部活動・公式戦、これは公務とされているんですけれども、公務ではないんですか?
立憲の方、こうやって字を入れるのは何か都合の悪いことでもあるんですか? 「労基法違反ではないですか」って。「労基法の労働時間ではないですか」って聞いてるんです。
津村啓介議員(立憲民主党)
通告外の大阪府の事例について私はよく承知しておりません。申し訳ございません。
大石あきこ議員(れいわ新選組)
先ほど「抽象的に言われても答えられない」とおっしゃったので具体的に申し上げたんですけれども、どっちみち答えられないという答えだったかと思います。立憲の委員がおっしゃったんですよね、「今回の質疑の中で、私たち政治家は理想を見つめつつ現実に一歩ずつ近づくことだ」と。その言葉が、ここにいる多くの皆さんの認識なんじゃないかなって思うんですよ。
どこがですか? 現実に一歩ずつ近づく? 現実、知ってるんですか? 過労死、何人知ってるんですか? 過労死認定の件数を考えても、今、教育現場は地獄でしょう。なのに私の言ってることって理想ですか? 私はせめて労基法ぐらい守ってくださいってことをずっと申し上げてるんですけど、これは理想で、5年かけても達成されないものなんですか? 達成されなかったら、教育現場どうなりますか? 私はそのことをずっと申し上げているんです。
学校の先生の味方だって、前回も皆さんがおっしゃってたじゃないですか。私以外の皆さんがこの修正案を合意してるんですよね。でもこの修正案は、時間外在校等時間という労基法違反の先生の働きを固定化して、だから先生方が一番困っていて、過労死につながって、子どもたちの目の前で倒れて亡くなるということを、これを続けるということを皆さんがやろうとしているんですよ。
私がそれに「ダメだ」と言ってる。これ、理想主義者ですか? せめて労基法を守ってください。抽象ではなく、そうなっていない、固定化するものです。時間が来たので終わります。
これにて原案及び修正案に対する質疑は終わりました。提出者が席に戻るまでしばらくお待ちください。
(中略)
これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。討論の申し出がありますので、これを許します。
大石あきこ議員(れいわ新選組)
先ほども申し上げましたが、今回の法の改正案、そして修正案、これは今、令和以外のすべての会派が賛成するという状況です。すなわち、自民党、公明党、立憲民主党、維新、国民民主党が賛成し、令和のみが反対するというような異常な状況の中で行われるということで、これは私は反対しなければならない、反対の討論を行います。
先ほども申し上げましたけれども、質疑で立憲民主党の委員が「私たち政治家は理想を見つめつつ現実に一歩近づくことなんだ」とおっしゃいました。これはあまりにも、教育現場——これは教育現場だけではないかもしれません——国会の外の現場が地獄になっているということへのギャップを表すものだと考えます。
少なくともこの法、そして他の法案においても、令和新選組は理想を掲げているわけではなくて、国会の外の窮状、今すぐ何とかしなければならない問題を、せめてこうするべきだと言っているだけです。法に関しては何度も申し上げましたけれども、理想ではなくて、学校の先生をこれ以上殺さないために必要なものとして申し上げてきました。
教員予算を国費で増やす。学校の先生を増やさなければいけません。これは財源にして、令和が見積もれば年間2兆から3兆円になります。これは現在、払い残業、公立学校の先生の不払いが年間1兆円ということが中央教育審議会の特別部会長も2018年に言っていましたので、おそらくその1兆円というのは本来必要な額の一部をなすものであろうと考えます。
こういった教員予算を増やすということなしに、地獄の出口はないと考えております。そして、速やかに先生の数を増やすまでの間、現実に行われている時間外手当を払う、労基法違反の解消ですね。これを行わなければなりません。
このことは、立憲民主党が修正案を出すと4月上旬にはおっしゃっていたので、私も修正案に乗りたいんだと。だからまずこの不払い残業の解消、法違反を解消することが絶対であり、そういう修正案にしてほしい、一緒に考えたいと申し上げましたが、全く違うものになって大変残念です。
給特法の改正ですが、本来であれば廃止というのもあるでしょうけれども、やはり国立大学附属ですでに適用されている給与規則等で教職調整額の差額部分の残業部分、これを支払えるような体制になっていますので、そのような法改正をすれば進んだものを、このような政府の労基法違反、習得法違反を塗り固めるような、固定化するような修正案になっているということは大変残念で許しがたいものです。
そしてですね、このこと、どう考えたらいいのかなっていうのが、やっぱり国会全体を見渡す必要があるなと思いました。
日野さりあ議員(国民民主党)
私は提出者を代表いたしまして本議についてご説明申し上げます。案文を朗読して説明に代えさせていただきます。
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案。
政府及び関係者は本法の趣旨に立っては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
教育職員の時間外在校時間を、令和11年度までに1ヶ月あたり平均30時間程度に縮減するという本改正法附則第3条第1項に規定する目標を達成するため、地方公共団体の裁量にも留意しつつ、その実現に向けた工程表の策定を行うこと。
教育職員の勤務条件のさらなる改善のための措置について検討するため、本改正法附則第6条に規定する教育職員の勤務の状況を調査するにあたっては、これまで教育職員に対して行われた勤務実態調査にも留意し、その方法について十分に検討すること。また教育職員の勤務条件のさらなる改善のための措置を講ずるにあたっては、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法における教育職員の健康及び福祉の確保という理念と、教育職員の勤務の状況との差を埋めることができるよう、必要な措置を講ずること。
教育委員会は、時間外在校時間が上限時間を超える学校に対して、当該学校の業務や環境整備等の状況を十分に検証し、在校時間の長時間化を防ぐための取り組みに万全を期すこと。
時間外在校時間を形式的に上限の範囲内とするために、休日を含めて実際の時間外在校時間より短い時間を記録することのないよう周知徹底すること。また校長等が虚偽の時間外在校時間を記録させることがあった場合には、信用失墜行為として懲戒処分等の対象となり得ることについても周知すること。
時間外在校時間の上限時間を遵守することのみを目的として、自宅等への持ち帰り業務を増加させることがあってはならないことについて周知徹底すること。また、本来業務の持ち帰りは行わないことが原則であることから、持ち帰りが行われている実態がある場合には、校長及び教育委員会はその状況を適切に把握するとともに、国はフォローアップを行うこと。
学校における働き方改革の目的は、子供一人一人の特性や関心に応じた学びの実現であり、その目的のため教育課程の編成のあり方について専門的な議論を深めるとともに、教職員定数の改善などの教育条件の整備も一体として同時に進めること。
学校における働き方改革については、単に教育委員会や学校のみの責務とするのではなく、地方公共団体の関係部署が一体となって取り組みを強力に推進すること。また、教育委員会は教師不足の解消を図るための対策に万全を期すこと。
労働基準監督機関の権限を行使する人事委員会及び人事委員会を置かない場合の地方公共団体の長は、教育委員会が教育職員の業務を適切に管理し、健康と福祉の確保を図るよう、その役割を十分に果たすこと。その際、社会保険労務士や法律家など外部の専門家の知見も活用し、教育職員が働き方について相談できる体制の構築に努めること。
教育職員の過労死等の公務災害が疑われる事案が発生した際には、所管監督権者である教育委員会及び校長は速やかに調査を行い、再発防止に向けた取り組みを講ずること。
国及び地方公共団体は、学校における働き方改革を円滑に推進できるよう、いわゆる学校教師が担う業務にかかる分類に基づく取り組みが確実に実施されるような財政措置等の条件整備を講ずること。また国は、教員が担うべきではない業務を明確に示すとともに、教育委員会及び学校段階において、教育課程上の工夫を含めた業務改善の取り組みを整理・共有すること。さらに、こうした改革の趣旨について、国が主体的に保護者や地域に対して理解を促す広報や発信に取り組むこと。
教員の配置による教員の職務内容の変化がないことを踏まえ、配置のために教員の給与を下げることのないよう、地方公共団体に周知徹底すること。また、教員の配置によって学校内外で円滑に協力・共同体制が構築できるよう周知すること。合わせて、教員の配置が地方公共団体による任意設置となっていることから、その配置人数分の義務教育費国庫負担金を確実に措置すること。
義務教育等教員特別手当を公務内容に応じて支給するにあたっては、現在行われている一律支給分について、その支給ができないとの誤解が生じないよう周知すること。合わせて、学級担任に義務教育等教員特別手当の支給を加算することについて、複数担任制を取っている場合にも支給が可能であることを周知すること。
子供・子育て支援制度の枠組において措置されている幼稚園教員の処遇改善について、財政措置とその効果について継続的にフォローアップを行うこと。
国は教育職員の業務の縮減のため、教育職員の担当事業自体を軽減するための教育課程とその実施、及び抜本的な教職員定数の改善に努めること。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教員業務支援等の学校における専門スタッフの配置の一層の拡充及び処遇改善に努め、地方公共団体の財政力に起因した配置の格差が生じることのないよう、必要な財政措置を講ずること。合わせて、国及び地方公共団体は、部活動の地域展開等を確実に進めるための措置を講ずるとともに、全国規模の学校人材バンクの構築などを講ずること。
令和の日本型学校教育を担う専門職としての教育職員の専門性の向上、キャリア形成のため、研修や教員養成への支援に加え、事業実践が共有できるプラットフォームの形成と教育データベースを整備し、多様な子供への効果的な事業実践やその支援とその成果を科学的に分析・共有する仕組みを構築すること。その際、現場の教育職員の負担とならないよう配慮すること。
教育職員のメンタルヘルスを良好なものとする前提として、学校における労働安全衛生管理体制の整備が不可欠であることを踏まえ、産業医や健康管理担当者の選任等、教員の健康確保措置の環境整備に際し、地方公共団体間で格差が生じることのないよう、国が必要な支援を行うこと。また、学校における勤務間インターバルの取り組みを進めるため、国は必要な支援を行うこと。
教育職員の安定的な確保及び質の向上のため、教育職員の免許制度及び養成・採用のあり方について検討を行い、その結果に基づき法制上の措置その他必要な措置を講ずること。また、教育職員の専門性・多様性の確保のため、教育職員の採用選考の実施時期及び回数等について、教育委員会による工夫・改善の取り組みの促進を図ること。
以上であります。何卒ご賛同くださいますようお願い申し上げます。
議長
これにて趣旨の説明は終わりました。採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。起立多数。よって本案に対し附帯決議をすることに決しました。
あべ文部科学大臣
ただ今のご決議につきましては、そのご趣旨に十分留意いたしまして対処してまいりたいと存じます。