古賀千景議員(立憲)
令和6年度教員採用試験において、小・中・高等学校教員の採用倍率がいずれも過去最低となりました。宮崎県の小学校では0.9倍、中高などを含めた全体倍率も2.1倍と過去最低を記録しています。このことについての認識、そして改善に向けた取り組み状況について、大臣お願いします。
あべ文科大臣
令和6年度教員採用選考での採用倍率でございますが、小学校で2.2倍、中学校で4.0倍、高等学校で4.3倍と、それぞれ過去最低でございまして、この採用倍率の低下、また受験者数減少の傾向が続いている状況につきまして、私ども強い危機感を持って受け止めているところでございます。
採用倍率低下の要因といたしましては、教師の年齢構成に起因いたします大量退職等に伴う採用者数の増加、それに伴います基礎的な受験者数の減少によるところが大きくございます。文部科学省といたしましては、意欲ある教員志望者を確保するために、社会人経験等を加味した特別選考、教員採用選考試験の早期化、複数回実施等の工夫改善を、引き続き各教育委員会に促します。
また、学校における働き方改革、処遇改善、学校の指導運営体制の充実も含めまして、教職の魅力向上に向けた取り組みを進めてまいりたいと思います。
古賀千景議員(立憲)
今、年齢構成という話がありましたが、実は年齢構成、私が教員をしていた頃は「ワイングラス」と言われていました。高齢者が多い、真ん中が少ない、そして若い人が多い。なぜかというと、この細いところは総額裁量制に入ったからです。あの時、同じお金で正規1人の給与で2人正規が雇えたんです。だからあの時に非正規をガーッと自治体は雇っていきました。正規の採用数を減らしていきました。だから細くなった。正規の採用数が減ったあの時に、すでに管理職は「この時期困るだろうな」「これから若い人が増えていって産育休は増えていくだろうな」と。これは政府として予想ができたことです。
私はこのように少ないのは、欠員になる状況は、政府は分かっていたと考えていますが、大臣いかがでしょうか。
あべ文科大臣
お答え申し上げます。文科省としては、教師不足の問題について非常に心を痛めておりまして実際に採用する都道府県教育委員会と共に取り組みを進めているところでございます。これだけをやれば解決するという問題ではないと思っております。
先ほど大臣から答弁申し上げましたように、様々な取り組みを複合的に、総合的に組み立てながら取り組む必要があると考えております。今ご指摘のございました「将来的に教師が減るのではないか」という予測が立っていたのではないかという点についてですが、文科省としては、各都道府県の年齢構成をシミュレーションしまして、これまでも都道府県教育委員会と連携しながら取り組みを進めてきたところでございます。ただ、結果としてこういう状況を招いたわけでございますので、今申し上げたように、いろんな施策を複合的・総合的に重ねながら、しっかりと取り組みを進めてまいりたいと思います。
古賀千景議員(立憲)
今、試験を早めたというお話も大臣からいただきました。大学3年生から受験ができるようになりました。そして元々7月にあっていた受験を6月に、今年は5月という形にされていましたよね。
辞めてるのは、なってからなんです。教員になろうとしても、なった後に辞めているということは、早めても意味がないということです。
そして5月に。私は正規20年やっておりましたが、7月まで教職をせずに勉強していた友達もたくさんいました。是非受かりたいと。でも4か月給与が入らないのはとてもきつかった。5月にしたら2か月しか給与がない。だったら4月から勉強しますよ。2か月ぐらいの給与で6月から働くことができる、そんな人、4月から、特にベテランになったら働きませんよ。早くなったということが本当にいいことなのかどうか、そこはしっかりと考えていただきたいと思っております。
自治体も頑張っています。春と秋と2回採用試験をしたりとか。それでも他県で、うちの県の採用試験を他県でも受験できるように、会場を変えたりしてるんですよ。そこまでして自治体も頑張っています。
しかし昨年、高知県では教員採用試験の合格者280人のうち、辞退者204人。他所に流れているんですよ。全部。だから、そうやって自治体は精一杯「他県でも受験できるように」とやってるけど、結局それが自治体としてはマイナスになってしまった。このような状況で欠員状態がいっぱい発生しているということです。
政策が逆になっていっていると私は思っています。担任がいない学校はみんなで力を出し合って、どうにかして補っていこうと頑張っています。困るのは子どもだから、子どものために精一杯やってきましたが、もう学校は限界です。業務を減らすところがありません。バタバタと教職員が倒れています。
学校や自治体ではなく、国が業務減、定数増、教育課程の見直しをしなければなりません。給特法の改正案も今、審議されていますが、より突っ込んだ国の政策が必要だと思っています。
そしてこのような状況の中、令和5年度、公立学校教員の精神疾患による休職数が7119人で、過去最多を更新しました。このことに関する認識を、大臣お願いします。
あべ文科大臣
委員ご指摘のとおり、近年、精神疾患によって休職する教師が増加しているところでございまして、大変重大な課題であると私ども認識しているところでございます。
こうした中にありまして、教員のメンタルヘルス対策は喫緊の課題でございまして、教師が心身の健康を害することなく、子どもたちと向き合いながら、生き生きと働ける環境の整備に向けまして、国、教育委員会、学校をはじめとする関係者が一丸となって取り組んでいくことが、まさに必要不可欠であると考えております。
古賀千景議員(立憲)
知っていただきたいのは、この7119人は氷山の一角だということです。その下に予備軍の方がたくさんいらっしゃいます。休職せずにギリギリで頑張っている教職員がいる。同僚に申し訳ないと思いながら病院に通いながら働いている教職員も、この下にたくさんいるんです。過労死もあります。教職員の命が奪われています。
しかし「給特法」という法律があり、勤務時間外の業務は教職員の自主的・自発的な業務と位置づけられ、過労死さえも認められない。文科省はこの認識がありますか? そして、そんな教職員を救わなければならないと思いませんか? 過労死された教職員の家族の思いが分かりますか? 大臣お願いします。
あべ文科大臣
子どもたちのためにと教育活動に従事していた教師の方々が過労死に至ってしまうということは、本人はもとより、そのご家族にとっても計り知れない苦痛であるとともに、児童生徒にも重要な影響を及ぼすものであり、あってはならないと考えています。
教師の過労死を未然に防ぐためにも、今国会に提出いたしました法等の改正法案の内容も踏まえまして、学校における働き方改革のさらなる加速化を図るとともに、学校における指導運営体制の充実も含め、総合的に取り組みを進めてまいりたいと思います。
また、令和5年度から教員のメンタルヘルス対策に対しまして、調査研究事業を実施しておりまして、専門家等と協力しながら、効果的な取り組みの研究、事例の創出などにも取り組んでまいります。文科省といたしましては、引き続き教師が健康な状態で、生き生きと児童生徒と向き合うことができるよう、全力で取り組んでまいります。
古賀千景議員(立憲)
今、言われた法は、4項目以外は残業がないと決められています。ですので、私が一番法の問題だと思うのは、教職員から時間の概念を奪ったんです。この50年間。いくら働いても時間外手当てはない。そして労基法だったら会社が時間外勤務をさせた時に残業代として払わなければならない。給特法はいくら多くなっても払わなくていい。だからすごく都合のいい法律なんです。
だから他のところでは、残業させないように業務を減らそう、減らそう、残業代払わないように頑張ろうとしますが、給特法は誰もその業務削減をしてくれない。お金払わなくていいから。
そのようなことをきちんと頭に入れておいていただきたい。まるまる教育、英語など、そんなことがたくさん入ってきて、副教材で学校には配っていますと言われますが、副教材が来て、それをどう子どもたちに理解させ、どう授業を組み立てるか。そこで私たちは勝負をしているんです。与えられるだけではありません。
いろんなものを入れるだけ入れて、何も減らさない。そのことを是非やめていただきたい。私は今、検討されている学習指導要領の内容や授業時数を、ぜひ削減していただきたいと思っております。理由は、先日大臣にも聞いていただいたと思っております。お金もかかりません。大臣、いかがですか?
あべ文科大臣
現在、中央教育審議会で次期教育課程の見直しが行われております。いろいろなご指摘をいただいているところでございます。そうしたことを踏まえて、専門家の皆様方でご検討いただいているところでございます。
古賀千景議員(立憲)
授業の時数と子どもの学力は比例しません。教師が教材研究をする時間を与えてください。そのために指導量を減らしてほしい。強く要望します。終わります。