【文字起こし】5月28日国会(参院)文部科学委「人たるに値する生活を営む権利を引き続き5年以上奪う改正案」

大石あきこ(れいわ新選組)

公立学校の先生のお給料と労働時間について伺います。まず、厚労省に伺います。法律学校の先生にも適用されている労働基準法第32条が労働時間の上限を設けている趣旨は何ですか。

厚生労働省 小田大臣官房審議官

労働時間は賃金と並んで最も代表的な労働条件であり、国際的にも長年における歴史の中で労働時間の短縮が図られ、1日8時間、週40時間が到達すべき社会的基準とされてまいりました。
我が国の労働基準法は、労働者の労働条件が人たるに値する生活を営むための必要を満たすものとなるよう、その最低基準を定めるものでございまして、第32条に定める週40時間、1日8時間の時間につきましても、原則として全ての関係の当事者に遵守されるべき最低基準として規定されております。

大石あきこ(れいわ新選組)

今のね、「人たるに値する生活を営む」っていう言葉を学校の先生に聞かせたいですよ。この日に衆議院で通過してしまいました改正法案、これはね、公立学校の先生から、先ほどおっしゃられた「人たるに値する生活を営む」権利を引き続き5年以上奪うものだっていう、そういうものを皆さんで賛成してしまったんです。れいわ新選組と日本共産党は反対しましたが、衆議院で賛成されて通過してしまい、今参議院で審議されています。

「時間外在校等時間」というのがこの給特法の改正というものですね。これで月平均で30時間やっていいんだということが容認されてしまう。しかしこの「時間外在校等時間」というのは、何度も言いましたけれども、違法な働き方、労基法違反です。

ですからこれはもう速やかに、当然許せるものではないので、抜本的に国が1兆円レベルの国費を措置して教員を増やさなければいけないんです。

そして同時に、給特法の改正の議論で給特法をまともに変えなければいけないんですよ。この不払い残業、違法な働き方を解消するために、簡単なことだったんです。給特法の第3条第2項と第5条を変えて、労基法を守って残業代を払うことですね。このゴールは明快であったにもかかわらず、違うことをやって、それが単に国の予算をケチるためであった。これは絶対に許されることではありません。

今後も先生が学校で子供たちの目の前で倒れる、亡くなるというこのような過労死が続くということです。これは生徒たちにとって、もし目の前で起きたらどう思うでしょうか。トラウマになりますよ。

そしてこれは公立学校の先生のためだけに言っているのではありません。このような働き方を文科省が許し、そして立法府、国会がそれを容認してしまう、賛成するということは、これは公立学校の先生だけではなくて、民間労働者や経営者にも大きな影響があります。

こうやって違法な働き方、労働基準法、先ほど32条の趣旨を読み上げられましたが、8時間以内労働を守らなくていいんだっていう、「守らんでええやろ」っていう、そういう日本社会の風土をさらに固定化してしまうということは、これは民間の労働者、そして経営者にも影響があります。

どこでも当たり前にサービス残業、不払い労働やっているというこの日本社会において、たった一社だけが「うちは32条守ります」と言っても、そういうところもあるでしょうけれども、それができるのは非常に特殊な条件が重なった一部の企業ですよね。

そうすると、自分がどんなにホワイトな、32条はせめて守りたいとしたとしても、他の製品と競争してるわけですから、商品だったりサービスだったり、そういうものが通常の場合、負けてしまうわけですね。

ですから、みんなで規制を、労働者が人たるに値する生活をするための最低限の規制というのを、まず全体がみんなで守って、そこで維持される商品やサービスの価格というものをちゃんと国が責任を持っていかなければいけないんです。

それをですね、こうやって違法な働き方を固定化させるということをこの日にやってしまったということは、絶対に許せないし、あらゆる手を尽くして変えていかなければなりません。

さて、厚労省に引き続き伺います。文科省にも次、聞きますので安倍大臣、よく聞いておいてください。参議院でも今、法案が審議されているのでそれについて伺います。

厚労省に確認したいと思うんですけど、労働基準法の労働時間についてです。

文科大臣は「超勤4項目」以外は職務命令がないから労働時間じゃないということを言っていると思うんですけれども、この労働基準法上の労働時間というのは、明示的な指示がなくても、黙示的な指示があれば労働時間に該当するということでよろしいかということ。

そしてその労働基準法上の労働時間の考えというのは、基本的には公立学校の教員にも適用されるということでよろしいか。お答えください。

厚生労働省 小田大臣官房審議官

労働基準法における労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであり、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、個別具体的に判断されるものでございます。

すなわち、たとえ明示的な指示がなくとも、客観的に見て黙示的な指示に基づき業務を行ったものと判断されれば、労働基準法における労働時間に該当するものと評価されることとなります。

労働基準法における労働時間は、公立学校の教育職員も含め、労働基準法が適用される労働者には基本的に同じ考え方で適用されるものと考えております。

大石あきこ(れいわ新選組)

では文科大臣に伺います。先ほどの私の質問、それから厚労省の答弁がありました。厚労省の答弁と文科大臣も同じ見解ですか?

あべ文部科学大臣

労働基準法上でございますが、所定の勤務時間外に業務を行う時間が労働時間に当たるかについては、指揮命令下に置かれているかどうかで判断されると認識しているところでございます。

その上で給特法におきましては、公立学校の教師に対して時間外勤務命令では、いわゆる「超勤4項目」以外について出せない仕組みとなっておりまして、所定の勤務時間外に時間外勤務命令によらず、教師がいわゆる「超勤4項目」以外の業務を行う時間は、労働基準法の労働時間とは言えないものと考えます。

大石あきこ(れいわ新選組)

私の質問は先ほどの厚労省の答弁とあべ大臣は同じ見解かと聞いたんです。え、じゃあもう一度。いえいえ、あの、もう一度聞きますけど、違う見解なんですか?

あべ文科大臣

厚生労働省のガイドラインにございますが、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、またはこれを余儀なくされていた等の状況から個別具体的に判断されるものであると認識しているところでございます。

大石あきこ(れいわ新選組)

ちゃんと答えて欲しいんですね。先ほどの厚労省の答弁と今あべ大臣がおっしゃったことは、同じか違うかはちょっと分からないんです。私は聞いてるのは、先ほど厚労省が言った答弁と文科省は見解が違うことがあるんですかって聞いてるんです。同じですよね? 同じですよね。同じなのか違うのかでお答えください。

あべ文部科学大臣

繰り返しになりますが…厚生労働省のするものではございませんが、客観的に見て厚生労働省にある通りの使用者の命令に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられて、またはこれを余儀なくされていた等の状況から個別具体的に判断されるものと認識しておりまして、労働基準法の適用にあたっての考え…

大石あきこ(れいわ新選組)

だから見解が同じなのかどうか聞いてるんですよ。今あなたがおっしゃったことはどっちでもいいですけれども、聞いてないことだから違います。答えるのは、厚労省の先ほど私に答弁したこととあべ文科大臣の見解は同じなのか違うのか。それ以外は答えないでください。委員長、それ以外は答えないように指示してください。

安倍文部科学大臣

はい。この労働基準法の適用の考え方を否定するものではございません。

大石あきこ(れいわ新選組)

同じでいいんですね? つまりこの部分、いいですか? 否定しないんですね。同じなのか…もう一回読み上げますね。この部分。「たとえ明示的な指示がなくとも、客観的に目次的な指示に基づき行ったものと判断されれば、労働基準法における労働時間に該当するものと評価される。」この部分は否定しない、同じでよろしいですね?

あべ文部科学大臣

労働基準法の適用にあたっての考え方を否定するものではございません。

大石あきこ(れいわ新選組)

はい。つまり、公立学校の先生においてもその考えが適用されるでよろしいですね? もうYES以外ないんですけど。

あべ文部科学大臣

その通りでございます。

大石あきこ(れいわ新選組)

ありがとうございます。問7伺いますね。同じだということで。そうしますと、公立学校において、学校の先生が定時以降の部活動の指導を行ったときに、たとえ校長の明示的な指示がなくとも、客観的に見て目次的な指示に基づき業務を行ったものと判断された場合には、当該指導時間は労働基準法における労働時間に該当しますか?

はい、あ、ちょっと待ってください。その際に、これは法律の解釈なんです。なので「個別具体的判断とかのお答えはできません」という答弁はやめてください。どうぞ。

あべ文部科学大臣

指揮命令に置かれているとの評価に関しましては、厚生労働省のガイドラインにありますので、ガイドラインを説明させていただきますと、個別具体的に判断されるものでございます。

委員ご指摘の「客観的に見て目次的な指示に基づいて業務を行ったものと判断された場合」という一般論に対してはお答えすることは困難でございますが、法におきましては、いわゆる超勤4項目以外の業務に関しましては、時間外勤務命令を出せない仕組みとなっております。

またその上で、公立学校の教師に関しましては、法の仕組みにおきましては、所定の勤務時間外に部活動指導など、いわゆる超勤4項目以外の業務を行った時間に関しましては、時間外勤務命令に基づくものではないとされておりまして、労働基準法上の労働時間には当たりません。

大石あきこ(れいわ新選組)

問7で通告した通りなんですよね。この問7で通告した通りの労働時間というのは、これ、校長の明示的な指示がなくとも客観的に見て判断、個別具体的に判断されるんですよね。そうしますと、個別具体的に判断して労働基準法における労働時間に該当しうる可能性はゼロではないということを文科大臣はお認めになったと考えますが、それでいいですね?

あべ文部科学大臣

公立学校の教師についてでございますが、特例法の仕組みにおきましては、所定の勤務時間外に部活動指導など、いわゆる超勤4項目以外の業務を行った時間は、時間外勤務命令に基づくものではないというふうに整理されておりまして、労働基準法上の労働時間には当たりません。

大石あきこ(れいわ新選組)

その整理で行きますとね、法は労基法に矛盾してますね。変えなきゃいけないんじゃないですか、その部分。文科大臣。

あべ文部科学大臣

労働基準法32条は、公立学校の教師にも適用はございます。そうした労働基準法上では、一定の場合におきましては、労働基準法32条の労働時間を延長し、労働させることができる旨を定めているところでございまして、法令の根拠に基づきまして時間外勤務命令を行った場合においては、所定の勤務時間を超えて教師を勤務させることができるものと承知しております。

この特例法の仕組みにおきましては、所定の勤務時間外に時間外勤務命令によらず教師が業務を行う時間は、労働基準法の労働時間には当たりませんが、在校等時間が1日8時間や週40時間を超えた場合、そのことが労働基準法に照らして違法になるとは言えないというふうに考えているところでございます。

大石あきこ(れいわ新選組)

ごちゃごちゃ言ってもね、労基法との矛盾を暴露してるんですよ。これね、別にもうごちゃごちゃ言ってるとかどうでもいいですよ。でも最後はね、人たるに値する生活を営めるかどうかでしょ、公立学校の先生が、日本の労働者が。だからこの問題は終われませんよ。今日は質疑の時間が来たので終わりますが、引き続き扱います。終わります。