元教員が挙げる、初任者研修をやめるべき5つの理由

先日、過去10年で新人教員の自殺者が少なくとも20人(出典:NHK)という報道がありました。

新人教員を追い込む大きな原因の一つ、それが初任者研修です。

今回は、「元公立小学校教員が挙げる、初任者研修をやめるべき(あるいは大幅に削減すべき)5つの理由」です。

1.現場を離れることは子どものためにも担任のためにもならない

何といっても初任者研修の最大のデメリットは、現場を離れることです。およそ月2~3日程度、午後から現場を離れることになります。

補教の教員は入りますが、特に低学年の子どもは不安になる子どももいます。

また、担任不在の間に子どもたち同士のトラブルが起きることも珍しくありません。

学年の教員がフォローしてくれることもありますが、彼らも自身の学級がありますので、あまり期待はできません。(初任者研修時は学年教員の負担も増えます)

私も初任者のときに、不在時にトラブルがあり、翌日対応するのですが、不在だったため詳しい経緯が把握できず、難しい対応になることもありました。

このように初任者研修は、教員の負担も増えますし、何より子どもたちにとって担任が頻繁に教室を空けることが良いことだとは思えません。

2.初任者一人ひとりの課題は異なるので時間の無駄

初任者研修は、「一斉授業」の形式をとる自治体が多いと思います。壇上から、指導主事や特別支援の専門家などの講師の先生が講義する形式です。

しかし、同じ初任者といっても小学校・中学校・特別支援学校と校種も違えば、持つ学年・教科、子どもや保護者の実態、初任者の経験値もそれぞれ異なるわけです。

そうなると結局、研修の内容は最大公約数を狙ったものになるので、形式的なものにならざるを得なく、現場で役立つ研修になっているかは甚だ疑問です。(その証拠に研修中寝てしまう初任者が多く、寝たら所属校の校長に連絡するなんて”脅し”から研修がスタート場合もあります)

つまり、同じ初任者でも一人ひとりが抱える課題は異なるわけで、講義による「一斉授業」が必ずしもためになるとは限りません。

私自身も初任者研修で、「そんなこと知ってるよ、時間の無駄だよ」ということが何度もありました。

そもそも仮にも新人といえど、一人の教員免許の資格者です。人にものを教える教育者です。自分の勉強くらい自分ですべきです。

ですから初任者研修は大幅に内容を減らしたり、選択制の研修にしたりすべきです。

3.空ける授業の準備、打ち合わせ等の「余計な」仕事が増える

研修で学級を空ける場合、担任は自習のプリントの印刷等その時間の準備をする必要があります。

初任者の場合、補充で入る教員が充てられているところもありますが、その場合も打ち合わせ等が必要になります。

つまり、「余計な」仕事が増えるのです。

月に2~3回もあると負担になります。

4.当日までの課題、報告書等の「余計な」仕事が増える

ひどい研修、ひどい自治体の場合は、研修当日までに指導案等の課題を提出させたり、研修終了後に報告書を書かせたりする場合も結構あります。

これも「余計な」仕事でしかありません。

締め切りに追われるため、精神的にもストレスになります。

5.初任者は初任者研修がなくても困らない

教員は赴任直後からいきなり教壇に立たなくてはならないから、それでは大変。だから研修が必要、という流れで始まった初任者研修ですが、教員が一般の民間企業と異なるのは、教員免許という資格保持者であるということです。

ずぶの素人ではないわけです。

月に2~3回も教室を離れなくてならない、今の研修の量は多すぎです。

そもそも、初任者は初任者研修を本当に必要としているのでしょうか。

私は多くの初任者が必要としていないどころか、ない方が良いと考えているのではないかと推測しています。

少なくとも私は大学や教育実習で勉強してきたので初任者研修などなくても何も困らなかったし、初任者研修は「余計な」仕事が増える邪魔なものでしかありませんでした。

結局、初任者研修がなくて困るのは、「初任者研修やってます!」とアピールしたい偉い人やそこで恋人探しをしたい教員(初任者研修で出会って付き合い始める人結構います)だけです。

もう、やめましょう。

★まとめ

いかがでしたか。

上記が「初任者研修をやめるべき5つの理由」ですが、仮にやるとしても、

  • 研修の内容と量の大幅な削減
  • 長期休業中にまとめて行う
  • その分校務分掌(校内の仕事)の負担を減らす

等の配慮が必要だと私は思います。

自殺者を出す労働環境は改善すべきです。

以上、元小学校教員トウワマコトが挙げる、「初任者研修をやめるべき(あるいは大幅に削減すべき)5つの理由」でした!

関連記事:元教員が教える、教育委員会が教育の邪魔でしかない理由~5選~

コメント

  1. 現場教師 より:

    初めまして。
    全くその通りだと思います。
    採用試験に合格した大卒教師は初任研地獄に、
    採用試験に合格しなかった大卒講師は初任研無しにクラス担任となります。

    これも大きな大きな矛盾だと思います。

    初任研など要らない。
    それよりも、大卒教師は必ず大規模校へ赴任してもらい、サポート体制を取るとか、一学期中は加配をつけるとか、初任教師がいつでも頼れる人をそばに置く方が良いと思います。

  2. 現場教師 より:

    時期もそうですね。

    そもそも、こんなに長い間同じ事が問題点として挙げられているにも関わらず、改善されるどころか、悪化していく一方の初任研。

    トップの方々の無駄仕事っぷりを証明していると思います。

    大卒の初任ならば、まずは現場に慣れることが最優先。学校を離れ息抜きも大事って言い放つ主事も居ますが、初任研の為に自習計画やら後始末やらをすることこそ、息抜きすら出来ないような日々にしている要因でもあります。

    初任と組むときは、とにかく一学期の間は、学級以外の仕事をさせず、少しでも学級に専念してもらえるようにしてます。それでも、初任研のための出張や、研究授業の為に疲れ果ててます。本当に気の毒です。