【都教委から回答】教職調整額4%出さない根拠を問い合わせたら「一般の教育職員とは著しく異なる」との回答された件

昨今、残業代が出ない教員の給与体系が問題視されています。

教員にはその業務の特殊性から、残業代を出さない代替措置として「教職調整額」が給与の4%支給されることが給特法によって定められているのです。

にもかかわらず、先日埼玉大学のシンポジウムで高橋哲准教授から聞いた話によると、東京都は2005年から以下の教員に対してはその4%さえ支払っていないというのです。

このツイートに対し、Twitterの教員アカウントからも「知らなかった」「ひどい」などの反響がありました。

◆Twitterでの反応

◆都教委への質問状

この措置に対し、疑問をもった私は東京都教育委員会に質問状を送りました。

その内容は、次のとおりです。

ご担当者様

東京都の学校教員の給与について教えていただきたく、連絡差し上げました。全国の学校教員には残業代が出ない代替措置として教職調整額4%が支払われています。先日、埼玉大学のシンポジウムに行ったところ、大学の先生から、東京都は2005年より以下の教員は、

  • 都教委の定める研修を受講する者⇒2%
  • 指導力不足教員に該当すると認定された者⇒1%

しか出していないという話をききました。

そこで5点質問させていただきます。

  1. まずこの話は事実か。
  2. 事実なら、どのような法律・条令にもとづいているのか。
  3. それはどのような趣旨のもと制定されたのか。
  4. 教職調整額は残業代を出さない代替措置にもかかわらず、なぜ指導力とリンクさせているのか。
  5. なぜ全国で東京だけが実施しているのか。そこに地域的・財政的根拠があるのか。

メールにご返答いただきたく存じます。宜しくお願い致します。

◆都教委からの回答

質問を送ってから7日経過した本日。東京都教育庁人事部勤労課計画の担当者から回答がきました。

以下のとおりです。

東和 誠 様

日頃より東京都の教育行政に御理解、御協力をいただき、ありがとうございます。

平成31年3月4日に都民の声総合窓口にお問い合わせいただいた件について、御連絡させていただきます。

お問合せの内容は、東京都の公立学校に勤務する教員に支給される教職調整額に関するものと思われます。

教職調整額については、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第3条において、「教育職員(中略)には、その者の給料月額の100分の4に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない」と規定されています。

これを受けて、東京都では義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例、教職調整額に関する規則を定め、教職調整額について給料月額の4%の額を基本としつつ、一定の研修を受講する者は給料月額の2%の額、指導力不足等教員と認定され指導改善研修を受講したにもかかわらず改善が見られず、指導不適切と認定された者は給料月額の1%の額とすることとしています。

学校現場を離れて長期の研修を受講している者や、研修等必要な措置が講じられたとしてもなお児童等に対する指導を適切に行うことができない者(教育公務員特例法第25条の2に基づく「免職その他の必要な措置」が必要な者)については、職務や勤務態様が、一般の教育職員とは著しく異なることから、上記のような取扱いを東京都としては定めているところです。

御回答としては以上となります。よろしくお願いします。

平成31年3月11日 東京都教育庁人事部勤労課計画担当
電話03-5321-1111(代)

◆個人的雑感

一言でいうと、「一般の教育職員と著しく異なるから」ということだそうです。

う~ん。

何がどう著しく異なるのでしょうか?

そもそも東京都は、一つひとつの質問に対し答えるでのはなく、5つの質問を一括して回答してきました。

私の質問2,4,5に対しては、回答していまぜん。

なかでも特に2の質問、この取扱いの根拠となる法令・条令に対して一切答えられていない点について納得がいきません。

・・・ということで、再質問を行いました。

◆再質問

  1. 教職調整額4パーセントを支給していない取り扱いについて、どのような法律・条令にもとづいていて実施しているのか。【再質問】
  2. 教職調整額は残業代を出さない代替措置にもかかわらず、なぜ指導力とリンクさせているのか。【再質問】
  3. なぜ全国で東京だけが実施しているのか。そこに地域的・財政的根拠があるのか。【再質問】
  4. 取扱いの趣旨として、「一般の教育職員と著しく異なる」と前回の回答でお答えいただいたが、具体的にどのように異なるのか。
  5. 「一般の教育職員と著しく異なる」のであれば、教職調整額を一切支給せず、一般公務員と同様残業代を支給する方法もあると思うが、なぜ教職調整額1パーセント(あるいは2パーセント)の支給という取扱いなのか。
  6. 教職調整額1パーセント(あるいは2パーセント)という数字は何を根拠としているのか。
  7. 当該する教員が在籍する学校の校長は、残業が出ないようにする等、他の教員とは異なる特別な配慮をされているのか。

◆都教委からの再回答

都教委から再回答がきましたので、掲載いたします。

東和 誠 様

日頃より東京都の教育行政に御理解、御協力をいただき、ありがとうございます。平成31年3月16日に都民の声総合窓口にお問い合わせいただいた件について、御連絡させていただきます。

1 質問「1」、「2」、「3」及び「5」について

前回の回答(平成31年3月11日に当課より東和様宛てに電子メールでお送りしたものです。)のとおりです。

2 質問「4」、「6」及び「7」について

教職調整額について、長期の研修を受講している者は、教員としての資質能力の向上を図ることを目的として、研修受講期間中は学校現場を離れて研修に専念していることから、給料月額の2%の額としています。また、研修等必要な措置が講じられたとしてもなお児童等に対する指導を適切に行うことができない者は、その認定後、「免職その他の必要な措置」が講じられるまでの間、教員として任用はされていますが、研修を受講するなど、学校で児童等に対する指導等を行うことはないことから、給料月額の1%の額としています。

このような職務や勤務実態の一般の教育職員との違いを踏まえて、法令の定めるところにより、東京都として取扱いを定めています。

3 参考

関係法令のうち、東京都教育委員会が所管する条例及び規則が掲載されている東京都教育例規集を東京都教育委員会のホームページで公開しており、以下のリンク先から閲覧可能です(あるいは、インターネットの検索サイトで「東京都教育例規集」と入力して検索してください。)。

(http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/static/reiki_int/reiki_menu.html)

御回答としては以上となります。よろしくお願いします。

平成31年3月27日

東京都教育庁人事部勤労課計画担当 電話03-5321-1111(代)

★まとめ

都教委の回答によると、教職調整額を4%支給しない根拠については、該当する教職員が「学校現場を離れて研修に専念していること」だそうです。

当該教職員は学校現場に出ていないので、「特殊な」勤務形態ではないので給特法をそのまま適用しない、という理屈なのだと思います。

しかし、であれば逆になぜ1%(2%)支給するのかという疑問が残ります。上記の通り、この1%(2%)という数字への質問も行いましたが、URL貼り付けられただけで、真摯な回答は得られませんでした。

正面から正当に回答できる理屈がないのではないかと勘ぐるレベルの回答だと、個人的には感じました。

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