【文字起こし】4月18日の国会・文部科学委、参考人「在校等時間は労働時間」

4月18日 文部科学委員会 参考人質疑

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

質問ですが、まず中央教育審議会に参加された青木先生と佐田博先生に伺います。

青木先生にお伺いします。この「時間外在校時間」は、自発的で曖昧な面があると思います。特に日本の学校では先生が非常に自発的であり、時間外でも勤務してしまう傾向があります。この時間は労働と考えるべきでしょうか、それともそうではないのでしょうか。あるいは別の概念でしょうか。先生のご見解を伺います。

A.青木栄一(東北大学大学院教授) 参考人

時間外在校等時間については、「労働している時間」と考えることができると思います。ただし、委員がおっしゃった「自発的・創造的」という点についてですが、先ほども他の委員にお答えしましたように、もともと教職調整額が制度として考えられた際には、教員の高い専門性に注目し、「自発的・創造的な時間」と位置づける傾向が強かったと思います。

しかし現在は、そのような自発的・創造的時間とは言い切れず、さまざまな議論があると思います。本来は第1層の「自発的・創造的な活動」を想定して制度設計されたのが教職調整額だと理解しています。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

また、貞広先生にも同様の質問です。この「時間外在校時間」は労働と捉えるべきかどうかに加えて、今日のご説明で「時間外勤務に見合った教職調整額」とおっしゃっていました。この「時間外勤務」とは、授業準備や部活動、保護者対応なども含まれるのでしょうか。2点、お答えください。

A.貞広齊子(千葉大学教授)参考人

「時間外在校時間」は労働時間であると考えます。

ただし、それがいわゆる「画一的な労働者の労働時間」としての解釈が成り立つかというと、審議会ではそのような議論はしてこなかったと記憶しています。つまり、「労働者か、自己犠牲をしてしまう聖職者か」という区分ではなく、むしろ「学びの専門職」としての教員の働き方について議論してきたからです。ですので、いわゆる「勤務命令に基づく労働時間」とは異なる形の労働ということになると思います。

また、授業準備や部活動などについてですが、たとえば授業準備は先生方の核心的な業務だと思います。命令された勤務というよりも、「良い授業をしたい」という思いで自主的に取り組むことが多いのが現実です。その性質や深さは様々で、短時間で済む準備もあれば、時間をかけて取り組む場合もあります。

よって、「これは勤務である」「勤務ではない」と0か1かで割り切ることは難しく、実態に即した判断が求められると考えています。ただし、授業準備の時間をしっかり確保することは極めて重要です。子どもたちの理解を深め、教員のやりがいにも直結します。

ちなみにイギリスでは、週の中で授業準備の時間を教員に確保することが校長に義務付けられているという制度もあります。学びの専門職としての専門性を発揮するためにも、自発的な準備の時間の確保は非常に重要だと考えています。

Q.大石あきこ議員(れいわ新選組)

続いて、佐久間先生にお伺いします。今回の法改正で導入される「主任教諭制度」についてですが、私は少し懐疑的に思っています。本当に長時間労働が解消するのか、労働環境や給与が本当に改善されるのか、疑問に思っています。

今回の主任教諭制度は、東京都の制度をモデルにしていると聞いていますが、その制度についてご見解を伺えればと思います。

A.佐久間亜紀(慶応大学教授)参考人

確かに様々な自治体によって共有、あるいは前回「主幹教諭」という制度が導入された時も同じだったんですけれども、給料が上がるかと思ったら報酬全体が改定になって、基礎が下がることで結局上がっていない、むしろ切り下げになっていたというような事例もいくつもの自治体で聞きました。

ですので、総額が変わらない中で階層をいくつ作っても、なかなか末端の教員に処遇改善が及んでいるかどうかというのは難しいところかもしれません。

ですので、教員の人件費のうち3分の1は国負担で国が出してくださいますけれども、3分の2は各自治体が手当てしなければなりません。最終的にどのような効果があったのかということを、ぜひ導入された際には、国も責任を持って処遇改善になっているかというところを調査していただきたいというふうに希望しています。

それぞれの都道府県によって財政状況が大きく異なっています。ですので、今問題になっているのは教員給与やその他の都道府県格差です。

東京都の場合は、全国の都道府県の中で唯一、義務標準法で定められた標準の数よりも多いフルタイムの先生が正規雇用として雇われています。逆に言えば、ほとんどの自治体では、義務標準法で定められた標準の数以下の先生しかいないということになっています。

その分、何があるかというと、非正規雇用の先生方で賄っている。つまり、正規雇用の先生方の給与を切り下げることで財源を捻出して、補助的についた非正規雇用の先生の給与の財源に回すというようなことも行われています。

ですので、義務教育については本当に処遇改善につながるかどうかは都道府県による、という点をぜひ委員会でもご確認いただいて、最後まで処遇改善につなげていただきたいというふうに希望いたします。