
新年度が近づくと、保護者や子どもにとって気になるのが「クラス分け」です。
「誰がクラスを決めているの?」「仲の悪い子とは別のクラスにしてもらえる?」「学力や男女比も考慮されている?」など、学校の外からは分かりにくいことも多いと思います。
私は公立小学校で担任をしていたとき、実際に次年度のクラス編成に何度も関わりました。
この記事では、その経験をもとに、小学校のクラス分けがどのように行われるのか、学校がどのような点を考慮するのか、保護者から希望を伝える場合はどうすればよいのかを解説します。
なお、クラス編成の具体的な方法は学校や自治体によって異なります。以下は、私が勤務した学校での経験を中心に、一般的な考え方として紹介するものです。
小学校のクラス分けは誰が決める?
私が勤務していた小学校では、まず現在その学年を担当している教員が中心となって、新しいクラスの案を作っていました。
例えば3クラスある学年であれば、それぞれの担任が自分のクラスの児童について情報を整理し、新しい3クラスにできるだけ偏りが出ないよう振り分けていきます。
その後、学年の教員同士で案を持ち寄り、何度も調整します。
さらに、専科教員や養護教諭などから情報を得たり、管理職が確認したりして最終的な編成を決めていく、という流れでした。
したがって、単純に「現在の担任一人が自由に決める」というものではありません。
学年の教員を中心に、学校全体で情報を確認しながら決めていくと考えた方が実態に近いと思います。
クラス分けの基本は「できるだけ偏りを少なくする」こと
クラス編成で最も基本になる考え方は、新しいクラス同士に大きな偏りが生じないようにすることです。
例えば、一つのクラスだけ学習面で大きな負担があったり、一つのクラスだけ人間関係上の課題を多く抱えたりする状態は、子どもにとっても担任にとっても望ましくありません。
そのため、学校では複数の条件を見ながら、何度も組み合わせを変更していきます。
私自身も担任時代、いったんクラス案を作ったものの、「こちらを動かすと別の条件が崩れる」ということが何度もあり、何度も作り直した経験があります。
クラス分けで考慮される主なポイント
学校や学年によって違いはありますが、私がクラス編成に関わった際には、主に次のような点を考慮していました。
- 児童数のバランス
- 男女の人数のバランス
- 学習面のバランス
- 生活面や行動面の状況
- 特別な支援や配慮が必要な児童の状況
- 児童同士の人間関係
- 過去に大きなトラブルがあった児童同士の組み合わせ
- リーダーシップを取れる児童などの配置
- 運動面など学校生活全体のバランス
- 登校班や居住地域などの事情
すべてを完全に均等にすることはできません。
例えば、人間関係を優先すると学習面のバランスが崩れ、学習面を調整すると別の条件が合わなくなることもあります。
そのため学校では、何を優先すべきかを話し合いながら調整していきます。
友達関係はクラス分けで考慮される?
これもよく聞かれる質問です。
私が勤務した学校では、児童同士の人間関係も重要な情報の一つでした。
ただし、単純に「仲の良い友達を必ず同じクラスにする」という考え方ではありません。
むしろ、特定の友達に依存しすぎている場合などには、あえて別のクラスにすることが子どもの成長につながると判断されることもあります。
反対に、新しい環境への適応に強い不安がある児童などについては、安心できる友達との関係を考慮する場合もあります。
つまり、友達関係そのものより「その子が次年度を安心して過ごし、成長できるか」という観点で考えられることが多いと思います。
「この子とは別のクラスにしてください」とお願いできる?
保護者から学校へ、
「○○さんとは別のクラスにしてほしい」
という相談が寄せられることがあります。
旧版の記事では「お願いすれば効果がある」とかなり強く書きましたが、現在はもう少し丁寧に説明した方がよいと思っています。
希望を伝えたからといって、その通りになるとは限りません。
学校は学年全体の状況を見ながらクラスを決めるため、一人の保護者の希望だけで編成を決めることはできないからです。
ただし、単なる好き嫌いではなく、
- 継続的ないじめがあった
- 過去に深刻なトラブルがあった
- 一緒になることで強い心理的不安が生じる
- 安全面で心配がある
など、子どもの学校生活に大きく関わる事情がある場合は、担任や管理職へ相談しておいた方がよいでしょう。
学校側も、その情報をクラス編成を考える際の一つの材料として扱う可能性があります。
クラス分けの希望を伝えるなら、いつ・どう伝える?
もし学校へ伝える必要がある事情があるなら、クラスが決まった後ではなく、年度末のクラス編成作業が始まる前に相談する方が現実的です。
ただし、学校によって編成作業を始める時期は異なります。
「○○さんと絶対に別にしてください」と要求するよりも、
「昨年このような出来事があり、本人が非常に不安を感じています。クラス編成の際に事情として知っておいていただけると助かります」
というように、事実と子どもの状態を伝える方が学校側も対応しやすいと思います。
重要なのは、希望を押し通すことではなく、学校が判断するために必要な情報を伝えることです。
新1年生のクラス分けはどうする?
新1年生の場合、小学校の教員はまだ子どもたちを直接教えていません。
そのため、在校生のクラス替えとは少し事情が異なります。
私が経験した学校では、幼稚園・保育園等から引き継がれる情報、就学に関する資料、事前の面談などを参考にしながらクラス編成を行っていました。
学校によっては出身園や居住地域なども参考にすることがあります。
もちろん、個々の情報の扱いや編成方法は学校・自治体によって異なります。
クラス替えは毎年あるとは限らない
「クラス替えは2年に1回」と思っている方もいるかもしれませんが、これは全国共通のルールではありません。
毎年クラス替えをする学校もあれば、2年ごとに行う学校もあります。
また、児童数や学級数の変化などによって、予定していなかった学年でクラス替えが必要になる場合もあります。
クラス替えを行う学年や頻度は、学校ごとに確認するのが確実です。
2026年現在、公立小学校は原則35人学級
クラス分けと関係する制度として知っておきたいのが、1学級あたりの人数です。
国は小学校の35人学級を段階的に進め、2025年度に公立小学校の全学年で35人学級が完成しました。
そのため2026年度現在、公立小学校では同学年で編成する学級について、35人が国の標準となっています。
ただし、自治体独自の少人数学級や加配、児童数の状況などによって、実際には35人より少ないクラスもあります。
なぜクラス分けはこんなに難しいのか
外から見ると、児童の名前を均等に分ければ済むように思えるかもしれません。
しかし実際には、人間関係、学習面、生活面、支援の必要性など、多くの条件を同時に考えなければなりません。
一つの条件を直すと、別の条件が崩れることもあります。
私も担任時代、一覧表を見ながら何度も児童を移動させ、学年の教員と「こちらの方がいいのではないか」と長時間話し合った記憶があります。
新年度にクラスが発表されたとき、子どもや保護者からは結果しか見えません。
しかし、その裏では教員がかなり細かい調整を行っていることが多いということは知っておいていただければと思います。
まとめ:小学校のクラス分けで大切なこと
- クラス編成は学年の教員を中心に、学校全体で確認しながら決めることが多い
- 基本は、各クラスに大きな偏りが生じないようにすること
- 学習面、生活面、人間関係、必要な支援など複数の条件を考慮する
- 仲の良い友達が必ず同じクラスになるわけではない
- 保護者の希望がそのまま通るとは限らない
- いじめや安全面など重要な事情がある場合は、クラス編成前に学校へ相談する
- クラス替えの時期や頻度は学校によって異なる
クラス分けは、単なる人数合わせではありません。
学校側は、子どもたちが新しい学年でできるだけ安心して学校生活を始められるよう、多くの情報をもとに編成を考えています。
もちろん、どれだけ慎重に決めても、新しいクラスで予想外の人間関係や問題が起きることはあります。
クラス発表の結果だけを見るのではなく、「この環境で子どもがどう成長していけるか」という視点で見ていくことも大切だと思います。