元教員が挙げる、日本語未修得の外国籍児童・生徒の増加により、担任がより困難に陥っている3つの理由

日本語が話せない外国籍の児童・生徒が増えています。

文化庁の調査によると、日本国内の国公私立学校に在籍する外国人は、近年約8万人で推移しているが、公立学校で日本語指導を必要としている人数は2012年から14年にかけて約2千人増と、増加傾向にある。(出典:ニッケイ新聞「来日児童生徒をどう受け止めるか」2016年10月7日)

日本語が話せない外国籍などの児童生徒数が、横浜市内で増加の一途をたどる中、日本語や一般教科を教える人材の不足が深刻な問題になっている。(出典:産経新聞「横浜市で外国籍児童生徒が増加、学校や支援教室の教師足りず」2014年10月22日)

教育委員会からの支援も全くないわけではありませんが、上記記事のようにかなり不十分なので、ただでさえ困難である学校現場は非常に苦しんでいて問題は深刻です。

私も公立小学校教員時代、苦労したことがあります。


今回は、日本語の話せない外国籍の子どもが転入してくると学校現場、特に担任の仕事がより困難になるのかについて、お伝えします。

1.授業内容どころか単純な指示も通らない

日本語が話せないのですから、当然、授業にはついて来れません。

それどころか、単純な指示も通りません。そしてその責任は子どもには一切ありません。

こういう子どもにマンツーマンで対応できれば、そこまで問題にはならないですが、今の学校現場の実情は、日本語が話せても発達障害等で指示が通らない子ども、学習障害等で学習理解が困難な子どもなどを含んだ30~40人ほどの子どもを担任1人で見て、週25~30時間を回していかなければならない状態で、とてもじゃないがその外国籍の子どもにつきっきりになることはできません。

とはいえ、日本語の理解ができないのですから、どうしてもマンツーマンで対応してあげなくてはならない場面が出てきます。

つまり、その際、学級の他の子どもはおざなりになってしまうか、逆に外国籍の子どもを置いてきぼりにしてしまうかになってしまうことになるのです。

日本語の話せない子どもがクラスに入ると担任も子どもたちも本当に大変なのです。

2.文化の違いからくるトラブルへの対応も担任が

言葉が上手く通じず、文化的背景も異なる外国籍の子どもと、学級の子どもが喧嘩等のトラブルになることもしばしばあります。

例えば、日本では(良いか悪いかは別にして)喧嘩両成敗という考え方があり、喧嘩をすると双方の悪い点をそれぞれ認めて謝罪するという文化があり、特に小学校の現場ではそのような場面が多くみられます。

しかし、謝罪するという文化が希薄な文化の国の子どもは、なかなか相手には謝らず、余計関係がこじれてしまうといったケースがあります。

多くの人間(しかも文化的背景の異なる人間)が集まれば、トラブルが増えるのは必然で、そのすべてが悪いわけではなく、お互いの学習にもなる場合も多いですが、これらのトラブル対応を基本的に担任1人で行わなくてはならないことが問題です。それはもう「負担」という言葉では片づけられないレベルです。

前述したとおり、30~40人を相手に1人で、週25~30時間を回していかなければならないミッションを抱えていながらの対応になるからです。

3.保護者も日本語を話せない場合があり、その対応も担任

また子ども同様、保護者も日本語未修得のケースもあります。

その多くの場合で、親戚や知人などが間に入ってくれる場合が多いですが、やはり日本の学校文化は特殊なようで、細かいニュアンスが伝わらないことも多いです。

また、手紙一つ一つの漢字にルビをふったり、英訳した手紙を作成している担任の先生もいます。

しつこいですが、30~40人を相手に1人で、週25~30時間を回していかなければならないミッションを抱えながら、です。

行政の側が現場をもっとサポートしてあげなくては先生たちは潰れてしまいます。

★まとめ

受け入れる学校現場では、日本語も理解できないのに転入してくる子どもに対し、子どもには一切責任はないのだから、ということで、精一杯のサポートを行っています。

行政の側も様々な制約があり厳しいのでしょうが、しかし現場の教員の「無理」に甘えず、もっともっとサポートしていかなければ担任の先生は潰れてしまいます。

今後、更にこのような児童・生徒の増加が見込まれます。

この問題は、早急に対応すべき案件の一つだと思います。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「日本語未修得の外国籍児童・生徒の増加により、担任がより困難に陥っている3つの理由」でした!