元教員が教える、小学校の時間割が”あって無いようなもの”である5つの理由

年度の始めに配られる、時間割表。

中学・高校のように教科担任制であれば、原則この時間割にのっとって授業が行われますが、ほとんどの教科を担任一人が担当する小学校はそうはならないことが多いです。

つまり、小学校の場合、専科教員がいる音楽や場所の割り振りのある体育を除けば、時間割表を”あって無いようなもの”として扱う担任がほとんどなのです。

私も小学校教員時代、そのように時間割から柔軟に変えて授業を進めたことがありますが、そのことで保護者からクレームを受けたことがあります。

その際、小学校の時間割についてあまり理解されていない方もいるんだなと感じました。

そこで今回は、小学校の担任が時間割表から変えて授業を行うことが多い理由について、説明していきます。

.欠席の子への配慮

学習内容によっては、「ここは外せない」というポイントがあります。そこで、休みの子が出てしまったとします。(人数にもよります)

そのときに、小学校の教員は一人でほとんどの教科を担当するメリットを活かして、強引に授業を進めるのではなく、時間割とは異なる他の教科に差し替える判断を行うことがあります。

なぜなら、休んだ子もきちんと授業を受けられるようにするためです。また、もし授業を進めたら二度手間になってしまう場合もあります。(逆に、進めておきつつ、休んだ子のために復習がてらもう一度教えるという方法もありますが、ケースによって使い分けます)

このように欠席した子どもへの配慮により、急きょ時間割を変えることがあります。

2.モジュール学習

小学校の授業は原則1コマ=45分ですが、低学年の子どもたちにとって(実態によっては高学年の子どもも)、45分間集中が続かない場合があります。

そういうときに小学校教員は先に挙げたメリットを活かし、モジュールで授業を進めることがあります。

モジュールというのは、45分の授業を小分けにして学習を進める方法です。

例えば、45分を3つに分けて、15分は計算(算数)、15分は漢字(国語)、15分は文章読解(国語)というように授業を進めることがあるのです。

3.アクシデント

教科担任と学級担任が分かれていない日本の小学校では、アクシデントにより計画的に授業を進められなくなる場合もあります。

最も多いのは、子どもたちの怪我・病気、喧嘩です。

例えば、具合が悪い子どもが出た場合、他の子どもたちには自習を指示して保健室に連れていかなければないないことがあります。

怪我や喧嘩の対応も同様です。

アクシデントがあるからといって学習を進めなくても良いわけではありませんが、相手が子どもたちなので、このようなアクシデントは結構頻繁に起きます。

4.子どもの学習状況

子どもの学習状況によっても当初の計画から変更する場合があります。

例えば国語はよくできているから、その分あまり理解が深まっていない算数に変更する、こういうことは担任の判断によってある程度の時数までは認められています。

あるいは、1時間目に社会を行っていて、本当は2時間目は国語だけれど、子どもたちの議論が想定以上に活発になり、ここで思考を一旦切るのは良くないと判断し、2時間目も社会を行うという場合もあります。(この場合、担任の想定が甘いといえば甘いともいうことができますが・・・)

このように子どもたちの学習の出来や意欲によって、時間割を急遽変更することもあります。

5.学年で揃える

保護者からのクレームが多い昨今、「学年で揃える」ことが管理職から求められます。

例えば、自分のクラスがその単元、スムーズに学習が進んでも、学年のクラスに進捗状況を合わせるために一旦その教科の学習を止めて、代わりに他の教科を進めることもあります。

★まとめ

この他にも、

  • 行事前などの特別時程
  • 他学級との校庭や体育館の使用時間交換
  • 毎日連絡帳で翌日の連絡帳を伝えることことが可能
  • 担任が忙しすぎて授業の準備ができていない(本当は良くないことだが実際ある)
  • 担任の出張、病休

等の理由があります。

このような理由により、小学校の担任は一人でほとんどの教科を担当するメリットを活かして(あるいは柔軟に動かしていかないときちんと授業を進めていくことが難しいため)、時間割表に縛られることなく授業を進めるのです。

そのため保護者にとっては不安に思うこともあるかもしれませんが、上記の理由を理解していただき、少し長いスパンで子どもの学習を見守っていただければと思います。

以上、元小学校教員トウワマコトによる、「小学校の時間割が”あって無いようなもの”である5つの理由」でした!

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