小中学校が予算なしで明日からできる業務削減を3つ挙げる―校長の覚悟次第―

働き方改革待ったなしの教育現場。

しかし、よくいわれるのが、「新たな予算はつけられない」。

であれば、今ある業務を減らす・なくすしかありません。

今回は、予算がなくても削減可能な業務を3点挙げていきます。

1.卒業式練習をやめる

3月に入ると、小中学校では卒業式に向けての練習を毎日のように行うことが慣例になっています。

合唱の練習、歩き方の練習、立ち方・座り方の練習、呼びかけの練習・・・・・。

しかし、その練習、本当に必要なのでしょうか。

そんな練習、高校や大学ではやりませんよね?

先日、2月9日放送の東京MXTV『田村淳の訊きたい放題』のなかでも、憲法学者の木村草太教授がこの点を指摘していました。

ロンブーの淳さんも練習する意味に疑問を呈していました。

私も同感です。

学校現場では毎年当然のように練習しているので、負担軽減を考えたこともない学校が多いかと思われますが、このように「絶対に必要ではない」学習については、軽減していくことが可能なのではないでしょうか。

予算ゼロで実現できる業務削減です。

2.留守電を設置する

報道によると、川崎市では来年度から小学校と特別支援学校の全校で留守番電話を設置するようです。

川崎市教委は、教職員の長時間勤務の解消に向けて、学校現場の負担を軽減する具体的な取り組みをまとめた。小学校と特別支援学校の全校に留守番電話を新たに設置する(中略)中学校への導入も今後検討する。夜間などの電話対応を減らして、授業準備に専念できるようにするとともに、勤務にひと区切りをつける教職員の意識づけが狙いだ。

(出典:東京新聞「過労死ライン」ゼロ目指す 市教委 教職員の働き方改革2019年2月14日

私も教員時代、勤務時間後にもひっきりなしにかかってくる電話に対応して、帰れないばかりか、授業の準備も進まないという経験をしました。

しかし、留守電により、緊急時以外は時間外での保護者や地域住民からの電話への対応がなくなるので、そういった事態からの脱却を図ることができます。

川崎市ができるのですから、他の自治体ができない理由はありません

厳密にいえば予算がかかるのかもしれませんが、留守電設置の予算などたかが知れているでしょう。

3.通知表所見を年1回にする

ある小学校教員は、Buzzfeed Newsの取材に通知表の負担について、次のように答えています。

特に文章で評価する『所見』はすごく時間がかかりましたね。保護者から説明を求められたら答えられるようにしないといけませんし、いい加減にはできない。」

「1クラスが35人を超えると、その作業はすごく大変で。1人1人の特徴を考えて、文章で書かないといけないのは辛かったです」

土日も出ないと、とてもじゃないと間に合いませんでした。中学で部活を持っている非正規の人たちは、もっともっと、大変だと思います」

「道徳も、文章評価ですよ。ニュースで聞いたときに、学期末はさらに大変になるんだろうなあと思いました。現場はこれ以上疲弊してしまう。地方とか、1クラスあたり40人近い生徒がいる場合、倒れる先生も出てくるかもしれない」

(出典:Buzzfeed News「このままじゃ公教育は破綻する」ブラック勤務の実態2017年12月1日

私も小学校教員時代、毎学期の所見は大きな負担となっていました。

この方同様、土日も休日出勤して所見を書いていました。

これが年に1回になればだいぶ違います。

その時間を授業の準備に充てられます。

実は、学習指導要領に所見必須とは書かれておらず、その裁量は校長にあります。

実際、所見を年1回にしている(た)学校もあるようです。

個人面談で伝えているのだから、通知表で二重に行う「絶対の」必要はないですね。

これも予算なしでの業務削減が可能そうです。

★まとめ

  1. 卒業式練習をやめる
  2. 留守電を設置する
  3. 通知表所見を年1回にする

この業務削減なら(ほとんど)予算はかからないし、明日からでも実施できます。

校長の覚悟次第です。

こういうところから業務を削減していかないと、人員増など予算の必要な要求は世論にも議会にも通用しないと私は思っています。

この程度のこと、とっとと実現させましょう。

これだけでも担任の先生方はだいぶ負担軽減になるはずです。

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