『林先生の初耳学!(TBS)』や『田村淳の訊きたい放題(東京MX)』などテレビでも、学校教員には残業代が出ないとして取り上げられるようになった給特法。
給特法、正しくは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」。
昭和46(1971)年、教員の勤務態様の特殊性をふまえ公立学校の教員について、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を支給することを定めた法律です。
この給特法、制定当時に想定されていた残業は週2時間程度だったのですが、現状学校教員はその10倍以上残業しているとの調査もあります。
また、教職調整額4%は「超勤4項目」といって、本来、残業は自然災害や修学旅行、職員会議など4項目に対してのみに限り支給されているはずなのですが、現実には「超勤4項目」以外の残業が増大している実態があります。給特法が正しく運用されているとはいえない現実があるのです。
この給特法に対し、学校教員の労働環境改善を考える人々は、大きく次の3つの立場に分かれているといえます。
- 給特法廃止を訴える立場<廃止派>
- 正しい運用を訴える立場<運用派>
- 改正を訴える立場<改正派>
それぞれの主な主張は、以下のとおりです。
◆廃止を訴える立場<廃止派>の主張
給特法廃止を訴える立場の主な主張は、
- 給特法により残業代が支払われないことから、民間企業と異なり、残業に対する抑制が効かなくなっている
- 給特法が廃止され、残業代が支払われるようになれば、これまでのように無尽蔵に仕事が増えていくことはなくなる
- 「教育は特殊だ」ということで制定された法律であるが、教員も労働者にかわりはない
というものです。
子どもたちに教育の質を保障する為 ブラック残業の抑制を! 教員の残業代ゼロ法「給特法」を改正して下さい!(change.org)
という署名活動も行っているようです。
◆正しい運用を訴える立場<運用派>の主張
逆に、給特法はそのままで、「正しい運用」を訴える立場の主な主張は次のとおりです。
- 給特法自体が悪いのではなく、正しく運用していない側の問題
- 正しく運用すれば、超勤4項目以外の残業はそもそも存在しない
- 給特法が存在しない私学でも無賃残業が生まれており、廃止したところで問題は解決するとは言いきれない
- 給特法の制定趣旨にあるように、教育は特殊であり、廃止してしまうと、教材研究など(本当の意味での)自発的な残業ができなくなってしまう可能性がある
- 廃止してしまうと、残業代が出る代わりに基本給が下げられる恐れがある
◆改正を訴える立場<改正派>の主張
改正を訴える立場は、正しい運用を訴える立場に近い立場なのですが、運用派との違いは、現状のまま(運用派の主張)ではいつまで経っても給特法が正しく運用されないとして、正しく運用されなかったときに管理者(学校長や教育委員会)に罰則を与える条文を加えるなどの改正が必要との主張です。
正しく運用するための「改正」というわけです。
★まとめ
立場に違いはありますが、いずれの立場も、学校教員の長時間労働に対して、決してこのままで良いとは考えていないことについては一致しています。
複雑な問題ではありますが、それぞれの立場の主張が分かったうえで、支持する立場を決めたいものです。
※それぞれの主張のなかで誤っている主張、不足している主張等があれば教えてください。