これまでの双方の主張を争点ごとに突き合わせて整理した―来週に迫った第3回埼玉県小学校教員超勤裁判―


昨年12月に始まった、埼玉県小学校・田中まさお教諭による超勤訴訟。

第1回裁判が昨年12月に、第2回裁判が今年2月に行われました。

来週、その第3回裁判が行われますので、今回はここまでの双方の主な主張について、争点ごとに突き合わせて整理しましたので、振り返りにご活用ください。

◆訴状

原告先生の主張 本訴訟は、埼玉県内の小学校教員である原告が、労働基準法に定められた時間外労働に対する割増賃金が一切支払われないのは違法であるとして、かかる時間外労働に対する未払賃金の支払いを求めるものである。
県の主張 埼玉県が原告に対して超過勤務手当等を支給しなかったことは妥当であり、何ら違法性がないものである。

◆時間外労働の有無について

原告先生の主張 ・原告は、平成29年9月から平成30年7月にかけて、少なくとも、月平均約60時間の無賃労働を強いられている。

・勤務時間内に終わらない仕事を命じることは、時間外勤務を命じているのと同じである。現在、私たち教員が携わっている業務は、7時間45分の勤務時間で処理可能な業務を「大幅に」上回るものである。

県の主張 勤務時間内において、事務作業を全て終えることが不可能な状況とは言えない。

・同じではない。本件校長から原告に対し、勤務時間内に終わらない仕事を命じたことはない。

・給食指導や清掃指導が不可欠な事は確かであるが、給食や清掃の作業は高学年になるにしたがって児童に任せられる部分が多くなり、時間中、常に児童に対する指導業務に従事する必要がなくなる。(中略)並行作業を行う事について、校長から教員に対し、並行作業を止め児童の指導に集中するよう指導したことはない。

◆給特法、労基法36条の解釈について

原告先生の主張 ・給特法第5条では、教育職員について労基法37条の適用は除外しているが、同32条、36条の適用は除外していないため、教育職員に関しても、これらの労働時間規制は適用される。

・「超勤4項目」以外の業務については、労働基準法32条に基づき、原則として時間外勤務は認められず、例外として時間外勤務をさせる場合には、労使間で話し合いを行い、労働基準法36条に基づく三六協定を締結することが必要となる。

県の主張

・「超勤4項目」以外の業務について時間外勤務命令を行う事はできず、命令に基づく時間外勤務は発生し得ない。よって、労働基準法第36条は教育職員に対して実質的に適用の余地がない

・教員の職務及び勤務態様の特殊性を正規の勤務時間の内外を問わず包括的に評価した結果として「教職調整額」を支給している趣旨からすれば、教育職員の勤務が正規の勤務時間外に及ぶことがあったとしても、そのような勤務の存在は、給特法の前提とするところであって、これを否定するものではない。

◆勤務終了の意思表示について

原告先生の主張 被告は、「校長は教員に対して時間外勤務を命じていない」と主張する。しかし、そうであれば、校長は、勤務時間終了とともに勤務を終了するよう、教員に対して明確な意思表示を行うべきである。(中略) これは、教員から退勤の意思表示がなされた時刻まで勤務を続けることを、校長が容認している、すなわち時間外勤務を命じているということに他ならない。
県の主張 第3回裁判 5月17日 答弁書で回答予定

◆求釈明

原告先生の主張 ・同じテスト採点業務であるにもかかわらず、勤務時間内であれば校長が勤務を命じているので仕事として認められることになるにもかかわらず、17時以降になると、校長が命じていないという理由で、急に仕事として認められないということになるのである。

・被告は、教員が行った業務が、校長の業務命令に基づくものか否かは、業務の内容ではなく、業務に従事した時刻によって決まると解釈しているのか。<求釈明3>

県の主張 第3回裁判 5月17日 答弁書で回答予定

★まとめ

今回は、忙しくて時間がない方のために私が抜粋して整理しましたが、教員無賃残業訴訟・田中まさおのサイトの『裁判資料』のページから訴状・意見陳述書・答弁書をダウンロードして、全文読むことができます。

また、私も本記事よりももう少し細かく、裁判ごとに要旨をまとめた記事も裁判後に書いていますので、貼っておきます。

第1回埼玉県教員超勤訴訟の原告先生と県の主張の要旨をまとめた

第2回埼玉県教員超勤訴訟の原告先生と県の主張の要旨をまとめた

来週の裁判、要注目です!

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