【地裁】第11回埼玉教員超勤裁判の証人尋問(ノーカット)①【原告先生編】

証人尋問が行われた、さいたま地裁

3月5日、さいたま地裁で教員超勤裁判の第11回目が行われました。私はこの訴訟、今後の日本の公立学校教員の超勤問題を左右する裁判だと思い、継続的に注目しています。

今回、11回目の裁判では、証人尋問が行われました。原告側は原告先生、高橋哲先生、県側は当時の校長が答弁しました。

これまで裁判資料については重要な箇所のみの抜粋でまとめてきましたが、今回はノーカットで掲載します。

そのため文量が多いので、答弁者ごと3記事に分けて、整理します。

まず、本記事(①)は原告先生の答弁です。

なお、引用元は、第11回裁判資料(埼玉教員超勤訴訟・田中まさおのサイト)です。

原告側弁護士からの尋問

Q.あなたは,1981年に埼玉県の教員に採用されて,約40年間小学校教員として現場で勤務してこられたということですね。

はい。

Q.この裁判を起こしたのは勤続38年目,59歳という定年間近の年でしたね。

はい。

Q.定年間近のあなたがどうしてこの裁判を起こそうと思ったんですか。

もう裁判しかないと思いました。私たちは,校長の指示に従って仕事をしています。休憩時間もほとんどなく、1日12時間に及ぶこともたくさんあります。それにもかかわらず,残業代は出ません。無賃労働なんです。このことを僕は次の世代,次世代の若い人たちに持ち越してはいけないと思っていました。そうしたところ,これは裁判で決着するしかないと思いました。

Q.この裁判であなたが一番主張したいこと,最初に教えていただけますか。

労働基準法は、8時間を超える労働は禁止されています。それにもかかわらず,私たちは休憩時間もなしでそれ以上の仕事をさせられてい ます。給特法で残業代は出ませんよと言われているんで,私は残業は どんどん、どんどん短くなると思っていました。それにもかかわらず いまだに増え続けています。これを司法の判断でしっかり見てほしいんです。

Q.あなたが教員になった当時と現在とでは,教員の働き方に変化はありますか。

はい。

Q.どのような点が変化ありますか。

私が教員になったとき,先ほど校長もおっしゃっていましたけど、自由でした。今は学校長により指示された仕事に追われています。勤務時間内でその仕事が終わりません。これが大きな違いです。

Q.労働時間の長さにも変化というのはあるということですか。

はい。

Q.あなた自身は、この裁判を起こした2018年頃大体何時から何時くらいまで働いていましたか。

朝7時30分あたりを目安に勤務を開始して,午後7時ぐらいまで働いていました。

Q.学校にいる間に休憩を取ることはできましたか。

ほとんどできません。

Q.この裁判では,2017年10月から2018年8月までの間について,大体月平均60時間の時間外労働があると,このように主張しているんですけれども,この間の労働時間はどのように記録していましたか。

私は,裁判で訴えようとしていましたので,ノートにいつも記録をし ていました。その日の帰る前には必ずノートに記録をして帰りました。

Q.簡単な残業内容とか,そういったものも記入していましたか。

はい。もちろんその日に,メインの仕事ですね,大体何をしたかを簡単に記録しました。

Q.そういった記録というのは,学校にも提出することは求められていましたか。

はい,学校では在勤当時間ということで毎月出すことになっていましたので,私はそれをノートを参考にして出しました。

Q.それは,この裁判でも甲第2号証として提出している証拠ということでよろしいですか。

はい。

Q.これからそのような時間外労働がなぜ発生するのか,実態について聞いていきたいと思います。まず,あなたが勤務していた小学校では、勤務開始時間は8時30分とされていましたね。
実際には何時頃に出勤していましたか。

7時30分を目安に行っていました。

Q.その時間帯は,まだ児童は登校してきていないと思いますが,どのような業 務がありましたか。

まず,学校に行って,その日の一日の予定を自分の頭の中で把握します。そして,7時50分に子供たちの登校時刻なので、大体15分しかないんです。もうそれをやっているとほぼ時間になって,「あ、子供たち来るな」と教室に向かいます。

Q.いろんな細かい事務作業とかをやっているともう児童が来ると,そういうことですか。

はい。

Q.児童が登校してくる時間帯からは,どのような業務がありますか。

児童が登校すると同時に自分は職員室から出ていきます。そうすると,児童と階段あるいは廊下で出会えるんです。非常にその瞬間が私は楽しみでした。そして,教室に行って児童の宿題を提出させ,朝マ ラソンが8時5分から10分くらいから始まりますので,それに一緒に参加しました。

Q.朝マラソンというのは,児童が基本的に全員が参加することになっていましたね。

はい。

Q.なぜあなたも一緒に参加していたんですか。

それは、近所の学校なんですが, ●●小学校という学校があります。そこで,朝マラソン中に児童が亡くなりました。もう随分前です。僕は,それ以来どこの学校でも朝マラソンは児童の様子を見ていまし た。そのうち一緒に走るようになりました。学校では,ほとんど毎日一緒に走っていました。

Q.児童に何かあったら大変だからということでしょうか。

そうですね。

Q.朝マラソンにあなたが参加することについては,校長からは何か評価はされ ていましたか。

特に評価はどうでしたかね。直接何かを言われたことはありません。

Q.朝マラソンが終わった後の業務の流れですけれども,まず曜日によって違う と思うんですが,職員朝会が行われる日,月曜日,木曜日,この日はどのような流れになりますか。

月曜日は国語タイム,木曜日は算数タイムと決められていましたの で,朝マラソンを終えたらすぐに着替えて教室に行って,朝の自習課 題を出しました。先ほど一校長先生は,ドリルでもいいみたいなことを言っていましたが,ドリルを出すことはありません。朝の自習時間には決められているんです。

Q.その上で,8時30分の職員朝会の開始に間に合うように行くということで しょうか。

はい。

Q.それから,全校児童が集まる朝会が行われる日,主に水曜日ですけれども, この日はどのような流れになりますか。

水曜日は、ふだんとちょっと違うんですが,8時20分には教室に行かなければいけません。なぜかというと,5分前には体育館に集まって、教室から体育館までは無言で移動しなければいけないと。それは,生徒指導部から提案されていまして,職員会議を通って議決されております。

Q.全校朝会も職員朝会もない日,火曜日,金曜日,この日はどのような流れになりますか。

火曜日は,読書タイムで、月に1回あるいは2か月に1回読み聞かせ という外部の人が入ってきます。その外部の人が入ってくるときは, 確実に5分前に教室にいなければいけません。なぜかというと,お客さんが来るからです。

Q.あと,金曜日ですか。 金曜日はどうですか。

金曜日は、チャレンジタイムといって,子供たちに何かテストみたいな,プリントみたいなものを配付して,それをやらせるという時間です。

Q.この朝会だとか,職員朝会,朝自習,こういった活動は,全て8時30分から開始するということでよろしいですか。

はい。

Q.それから、月に1回程度登校指導というものをやっておられていましたね。

はい。

Q.登校指導とはどのような業務でしょうか。

学校から恐らく5分,遠いところでは10分程度のところに行って, 交差点みたいなところあるいは横断歩道のようなところに,決められた場所があるんですが,そこに行って子供たちの登校の様子を指導します。

Q.登校指導が割り当てられた日は、何時頃に出勤する必要がありましたか。

7時30分です。

Q.この登校指導の実施や割当てについては,どのようにして決まるんですか。

まず,年度当初に安全部から提案され,職員会議を通って決まります。その後は,安全主任が毎月各学年ごとに枠を入れられて,こことこことここをやってくださいみたいな表を出されます。それに従って行います。

Q.登校指導の割当てというのは断ることはできないんですか。

別に小学校だけじゃないんです。どこの学校でもあったんで,断 るということはないです。もし断るんでしたら,職員会議で反対すれば断れるかもしれません。

Q.あなたは、その職員会議で登校指導に反対する意見というのを出したことありますか。

はい。裁判を起こそうと思ったときに反対しました。

Q.いつのことですか。

それは,B校長が赴任してきたとき、 A校長からB校長に代わりました。 A校長の時代に毎月1度登校指導,場合によっては交通事故があったからとか言って、月に3回ということもありました。それにもかかわらず,調整は取れません。調整時間取れないんで,これはどう見てもおかしいんで, B校長が赴任した年に裁判も起こそうとしましたので,意を決して職員会議で反対しました。登校指導はやめてほしいと。調整時間も取れないんだから、やめてほしいと言いま
した。

Q.結果としてどうなりましたか。

前年に引き続いてお願いしますと言われたんで,それだったらせめて登校指導の日に時間調整を取って、早く帰らせてくださいというふうに提案しました。

Q.そういった形で調整をすることというのはできたんですか。

いや,それは断られました。無理だと。それは、なぜかというと,登 校指導をするには7時30分に来なければいけません。1時間の調整がありますと。1時間の調整ということは,3時30分に帰るんですよ。3時30分,まだ授業をやっていますよ。どうやって帰るんです か。無理なんですよ。調整取れないのに登校指導をやりなさいと言うんで,私は反対しました。

Q.前年と同じように登校指導もやることになって,あなたは勤務時間の結局調整というものを取れたことというのはあるんですか。

取れません。今言ったように取れないんです。

Q.それから,8時30分から先ほど言ったような朝会とか,そういった業務が 始まりますけれども,それから8時50分に授業が開始しますね。

はい。

Q.その間というのは,何かほかに業務というのはありましたか。

今話したんですが,8時30分から8時40分は朝自習です。その後 職員朝会があるときは40分に職員室を出て教室に行って,教室に行 ったらまず朝の挨拶,朝の会,次,朝の健康観察というのを行いま す。一人一人の名前を呼んで,子供たちの健康状態を把握するということをしていました。そうすると,もう7時50分の授業にぎりぎりです。間に合うか間に合わないか程度です。

Q.それから,午前中には4時間の授業が基本的に行われますが,授業時間中に 授業以外の事務作業,いわゆるテストの採点だったり,書類の作成だった り,そういったことをすることというのはできましたか。

授業中に書類の作成とかする人は,僕はいないと思います。

Q.例えば児童がテストを行っている間,そういった間に事務作業を行うことと いうのはできなかったんでしょうか。

自分がまだ若い時代は,それが可能でした。今は、もうそういう時代 じゃないです。特に小学校では、A校長の前にC校長という校長がいて,その人がとても厳しい方で,僕は中の職員からテストを やっていて,校長室に呼ばれて、テストの最中に何丸をつけているんだと言われて叱られたという話を聞きました。当然私はやっていません。

Q.どうしてやっちゃいけないという話なんでしょうか。

テストのときは,児童の様子を見るんだよと,そうですよね。テスト のとき子供たちはやっています。もし先生が丸つけしていたら,子供 たちは見ますよ。隣の人のを見ちゃいますよ。やっぱりそれは,先生 がしっかり子供たちを見てテストをさせないと,正確なテストになりません。

Q.それから,授業と授業の合間の休み時間,この時間帯はどのような業務がありましたか。

まず,次の時間の準備のために休み時間があります。次の時間の準備 なんで,体育があると体育着に着替えさせて,それが体育館だとする ならば、また後ろに並ばせて、静かにさせて、無言で体育館に行かなきゃいけないみたいな指導があって,それで体育館に行かせる。ある いは,音楽の授業だったら音楽室まで同じようなことをする。もしそ ういうのがなかった場合には宿題の確認をします。ドリルの宿題を毎 日出しているんです。それは,3年生,自分は担任していたんですが,学年プラス10分の宿題を出しなさいよ学力向上委員会という のが学校にあって,ある程度宿題は学校で統一しましょうと,最低学年プラス10分の目安の宿題をみんなが出しましょうよというような ものがあったんです。ですので,宿題として一番適しているドリルの 宿題を出していました。しかもドリルは,ベネッセのドリルというの を学校で指定されて,漢字ドリルも計算ドリルもベネッセのドリルを 出すということになっていたんで,ただ,それは宿題で出さなきゃい けないという決まりはなかったです。ただ、僕は宿題はそれにさせて もらいました。

Q.そのチェックをしていたということですね。

はい,そうです。

Q.授業の合間の休み時間に休憩を取ることというのは,あなたはありましたか。

トイレには行きます。あとは,ほとんど確認で終わります。

Q.午前の授業が終わると,給食の時間になりますけれども,給食時間中に事務作業を行うことってできましたか。

無理です。

Q.それはどうしてですか。

先ほどの「校長だったかな,の関係もありますけど,まず授業が終 わったら給食なんです。給食の準備は,教員が配膳室に児童と一緒に 行かなきゃいけないんです。なぜかといったら,配膳台に乗せてある 給食を教室の前まで持っていくんです。それを落としたらもう一巻の 終わりです。ですので、担任は児童に付き添うことになっています。 これが6年生だったら分かりません。僕は3年生でした。必ず児童に 付き添いなさいよ。大食缶というのがあって,それは熱いスープとか があるんです。それは,必ず先生が今度は教室にある配膳台の上に乗 せなきゃいけないんです。もしそれで落としてやけどしたら大きなこ とになるから。そういうような細かなことがあります。その後自分の クラスは、エピペンを持っている子がいたんです。先ほど■校長 は、管理職が何か見に行っていたと言いますけど,実はですよ,間に 合わないですよ。自分ですよ。それをやって,ある何とか君という, 名前は言わないですけど,その子は別な給食なんですよ。卵アレルギーで、卵が出てきた日は別なんです。それを自分が目で確認して,その子に私が渡すんですよ。私が渡して,そうするとこのくらいちっち ゃな端紙のチェック表があって,チェックをするんです。そのチェックを管理職が紙を取りに来るんです。そのチェックの紙と本人が食べ る給食を見ながら,でも来ないときもありますよ。毎回毎回来ないですよ。遅れてくることもたくさんありますよ。それは自分ですよ。やるのは。だって,エピペンを打つのは僕ですよ。

Q.そういったいろいろ児童を見ていないといけないということがあったので, 事務作業などはできないということですね。

はい。しかも配膳中は無言にさせなきゃいけないから。無言で配膳させなさいと書いてあるから。職員会議通っているからやるんです。こ れすごく大変です。

Q.それから、給食を終えたら清掃の時間になりますけれども,清掃の時間中は事務作業を行うことってできましたか。

これも無理です。まず,清掃中も無言清掃というのを学校長が奨励していました。職員会議録にもちゃんと載っていますよ。清掃指導部からしっかり原案が出ています。それに従ってやるんで。しかも学校長 がちりとりとほうきを持って教室に来ます。廊下にも来ます。こういう状態で丸をつけていたり,事務作業をしている先生はほとんどいないです。もしどうしてもその日にやらなきゃいけないということがあったらやるかもしれないですけど、緊急じゃない限りやらないです。

Q.それから,清掃が終わったら児童は昼休みに入りますけれども,昼休み中はあなたはどのように過ごしていましたか。

昼休みがチャンスなんですよ。まず,子供たち,毎日毎日次の日の持ち物とかを書いて自分のところ に連絡帳を持ってきて、僕が判こを押しますから。連絡帳を確認したり,午前中でできなかったドリルの確 認,あと音読カードというのは,必ず毎日全員がやってこなきゃいけ ないことになっているから,その音読カードを自分に出すから,全部 を押して見て返す,そういうことで手いっぱいなんです。

Q.その昼休み中に学校の行事などが入ることってありましたか。

入るというか,入れられちゃうんです。特に水曜日は,ロングタイム って30分の枠なんです。その30分の枠のある昼休みは,特に入れられます。縦割り活動だとか,応援団の練習だとか,あと縄跳び大会があるから,大縄跳びの練習とか,そういうのが入ってきますよ。

Q.昼休み中というのは,教員は休憩時間ということですよね。平成29年度については少なくとも。

はい。

Q.その休憩時間を別に確保できるような配慮というのは,何か学校側からされたことってありますか。

休憩時間を・・・。

Q.休憩時間に特別活動などが入った場合に別に休憩を確保できる,そういった配慮というのがなされたことはありますか。

休憩時間が取れなかったからといって別なところで休憩させるということはないです。

Q.もう昼休みなのにあとどこでやるんですか。放課後。

放課後,ないです。

Q.そういったことはないということですね。

はい。

Q.昼休みが終わったら午後の5時間目,6時間目の授業になると。

はい。

Q.午後の授業が終わると,その後はどのような流れになりますか。

帰りの支度をさせる,帰りの会をやる、教室の中でさようならと言い ます。そうすると,今度は外に出て,今度外で並ぶんです。今は,教室でさようならして帰る時代じゃありません。教室でさようならしてま室ももまた外で並ぶんです。なぜかというと,外で集団下校といって,今子供たちは子供たち同士で帰りません。子供たちは集団で帰るんです。こういう危険な時代なんで,下校班というのがあって,下校班ごとに帰るので,その指導をします。

Q.児童が下校する時間帯というのは大体何時頃ですか。

16時を最終下校にしてくださいと言われています。

Q.これまでのお話からすると,児童が8時前,7時50分くらいには登校して きて16時に下校するまでの間,いわゆる事務作業,そういったことをする 時間というのは,ほとんどないということになるんでしょうか。

連絡帳を確認したり、ドリルをやったかやらないか確認というような 事務作業はしますけれども,通常何か物を書くとか,そういうことはできないです。

Q.それ以降の16時以降の時間を事務作業に充てることができるとして,あなたは17時に退勤時間になりますよね。

はい。

Q.そうすると,休憩時間がそのうち30分ぐらいあるので,残りの30分ぐら いしか勤務時間内に事務作業に充てることはできないと,そういうことにな るんでしょうか。

はい。4時15分から4時45分が30分間休憩に当たるんです。で すので,4時から4時15分まで、4時45分から5時までの30分 間が正式な勤務時間です。ですが,間を空けて休憩しません。

Q.この時間帯に事務作業以外の仕事が入ってくることというのはあったんですか。

■校長の時代はたくさんありました。

Q.例えばどういったものですか。

限りなくあります。生徒指導部会,生徒指導委員会,倫理確立委員会 ってあるんですよ。倫理確立委員会が休憩時間の中に入ってくるんで すよ。倫理どころじゃないですよ。でも,そういうのが入ってきます。あと,卒業準備委員会,入学準備委員会,学力向上委員会,学年会,いろいろありました。

Q.そういった集団で行う業務というのがいろいろと入ってくるということですね。

はい。 これは,休憩時間に限らず,夕方の時間帯というのは,校長時代もいろんな活動は入ってきますね。校長に関しては、僕は、校長が赴任したときに裁判で訴えると言いました。だから,入れないでくれと頼みました。

Q.それは,休憩時間にということですよね。

はい。だから, 休憩時間は入れないようにしました。

Q.会議自体は、夕方の時間帯に入ってくるというのはありましたか。

ありました。

Q.そういった会議が行われた日というのは,会議が終了した後にようやく個々の作業に入ることができると、そういうことでしょうか。

はい。

Q.個々に課された事務作業なんですけれども,これが勤務時間内に仮に終わら ないということになった場合にはこれはどうされるんでしょうか。

もうほとんど終わらないですよ。30分間で事務作業が終わらないか ら,休憩時間を通してやるんですよ。でも,終わらないんですよ。終 わらないから、ずっと18時になってまだ終わらないから,終わるまでやると19時ぐらいになっちゃったりするんです。

Q.同じように勤務時間を超えても作業していると,そういうことでしょうか。

はい。

Q.あなたに課されていた事務作業の具体的な内容として,この裁判では準備書面5だとか,準備書面6で,1から53までということでその他の業務を挙げていただきましたね。

はい。

Q.幾つかの業務についてちょっとお聞きしたいんですが,まず週案簿の作成という業務があったかと思いますが,これはどういう作業でしょうか。

週案簿の作成は,次の週の1週間分の授業に関して,授業の目標と内 容を書きなさいよ,どの教科を何時間やったかを書きなさいよ、それ を提出しなさいよ,ただ,1週間ごとに週案は書きますけども,提出は学期終わりだったりしていました。 これは,どれくらいの時間がかかるんですか。1時間は最低かかります。僕は、それに1時間半ぐらいはかかっていました。

Q.それは、1週間分を作るのにということでしょうか。

1週間分の授業を計画するのには,簡単じゃないですよ。

Q.1週間分の授業を作るのにあなたは1時間半とか,少なくとも1時間はかかっていただろうということですね。

かかります。

Q.次に,通知表の作成というものがあります。これは,児童ごとに所見欄の記入というものと成績欄の記入というものがあると思いますけれども、それぞれどれくらいの時間がかかるんですか。

子供の所見は,全部で3種類あるんです。学習の全部の総合の所見,道徳の時間の所見,あと総合的学習ってあるんですけど,それを言葉 にして表すと。大体1人30分はかかります。

Q.成績欄についてはどうですか。

成績欄については,1人当たりずつやるんじゃなくて,国語の中で誰々君はどうだこうだ,算数の中で誰々君はどうだどうだ,体育はどう だとやるんで,1人大体1時間で終わりにしたいけど, トータルすると1時間半かかってしまうかも。

Q.それが1クラス,あなたの場合は30人から40人ぐらい、3学期分あるということですね。

はい。

Q.合計すると,計算すると150時間以上にはなるという計算になるんですが,それぐらいかかるということでしょうか。

はい。

Q.それから,家庭訪問の計画表の作成,実施,これはどのような業務ですか。

これすごく大変なんです。家庭訪問は,基本的には5月の連休明けか ら始まるんです。ですが,4月20日過ぎから何日かぐらいの間に家 庭訪問行きますよというお手紙を出さなきゃいけないんで,家庭訪問 計画表をそれまでに作成しなければいけません。4月というのは,教 員が一番忙しいときです。その時間に,まだやっと子供たちの名前を 覚えたか覚えないかぐらいのときに子供の家を全部調べなければいけ ないんです。地図上に子供の家,誰々君はここ,誰々君はここと全部 調べて,チェックして,それから今度はどういう順番で回ったらいい かなと考えます。ですが,今の時代は親から先に来ます。私は何月何 日の何曜日にしてください。あるいは,うちは兄弟がいるんで,兄弟 同じにしてください。同じにしてくださいが一番困ります。だって, 兄弟の先生のところにどうと聞きに行かなきゃいけない。僕は、3時間と書きましたが,実際3時間じゃ終わりません。

Q.この作業を勤務時間内に行うことって可能でしたか。

それは無理です。それを想定して学校長は考えていません。

Q.それから,指導要録の作成というものがありましたけれども,これはどれくらいの時間がかかるんですか。

指導要録は3月に行いますから,それに備えて,今でももう始めていますよ。いろんなことを大体2時間ずつぐらいやっていくんです。10回ぐらいはやります。

Q.だから,2時間の10回分。 20時間かかるということですか。

はい。

Q.今お話しいただいたもののほかにも様々な事務作業があなたには課されていたということですよね。

はい。

Q.そのために時間外に働かざるを得なかったと,そういうことなんでしょうか。

そうです。

Q.このような教員の仕事というのは,主にはどのようにして発生していたと御認識していますか。

それは、職員会議で全て自分たちの仕事は提案されます。学校長が命 じるという言葉を使ったことは,僕は38年間の教員生活の中でゼロ です。だから,勤務時間外の仕事を命じるなんていうことはないんで す。普通の仕事も命じるという言葉を使われたことはありません。全 て職員会議で提案されて,提案が通ればそのことを自分たちは仕事として行うんです。そういうふうにして仕事は発生します。時折朝備集 といって,職員朝会というのがあります。そこで提案されることもま れにあります。

Q.職員会議を通過したものであなたはやらなくてもいいと,そういうように受け止めるような業務というのはあるんでしょうか。

ありません。

Q.給特法によって勤務時間外に当たる仕事として認められているのは,いわゆる超勤4項目と呼ばれている業務,校外学習だとか,修学旅行だとか,職員会議,非常災害,そういったものに当たる業務についてのみ勤務時間外いい ですよと,そういうことで規定されていますけれども,こういった超勤4項 目に当たる業務というのは,実際時間外の仕事の中でどれくらいあるんですか。

10パーセントほどでしょう。ほとんどが超勤4項目以外の仕事です。

Q.被告は,校長が時間外勤務を命じたことはないと,勤務時間内に仕事を終わらせることはできると,このような主張をしていますけれども,この点につ いてあなたはどう感じますか。

命じるという言葉を使ったことは、一度も校長はありません。しかし,勤務時間内に終わらない仕事というのは、たくさん課せられてい ます。勤務時間内に終わらない仕事というのは,時間外勤務を命じるのと僕は同じだと思います。

Q.時間外勤務をしないといけない状況にされたことによって,あなた御自身はどのような不利益を受けたと感じていますか。

いつもいつも時間外勤務は命じられていますから,それはもう不満です。何でこんなにやらなきゃいけないんだろうって。本来やらなくてもいい時間に仕事をしないといけないと、そういうことについてでしょうか。そうですね。特に●●小学校に行ったらひどかったです。 今日働き方改革ということがこの教員の世界でも言われていますけれども, 教育現場の様子に変化というのは感じていますか。働き方改革というのは、今は言葉だけです。スクラップアンドビルド とかいって,何か新しい仕事を与えるときには何かをやめなさいよと 言っています。でも,今年だけ考えてみてもコロナが問題になって,自分たちは学校に子供たちが来る前に窓を開けなさいよとか,子供たちが帰ったら消露しなさいよとか言われるようになりましたよ。あと,最近のはやりでタブレットというのを配られて,このタブレットを配られれば当然タブレットの操作を自分たちは学ばなきゃいけない,子供たちに教えなければいけない、一人一人に持たせるから,そ の7万円ぐらいするタブレットなんですけど、慎重に配らなきゃいけない。これ毎週金曜日に配るんだけど、すごく大変です。そのほか, 英語が始まったんで,英語の教材研究も増えました。あと,最近のは やりで主体的,対話的な学びとかいって、そういう授業をたくさんしなさいと言われるんで,その準備も大変です。増えています。

Q.仕事というのは,どのようにして増えていくんでしょうか。

それは,増やすほうは簡単ですよ。例えば今,朝の窓の開けをどうし ようかって学校長,考えますよね。でも,それは勤務時間前じゃない ですか。学校へ子供が来る前だから。どうするかって。そしたら,ま ず自分の今の学校でいくと,その当時じゃないですよ。今なかった。 今の学校でいくと,養護教諭に提案させるんです。朝の登校前に窓を 開けるようにみたいな。それあと職員会議に出せば,これはもう通る んです。だって,校長が決めるんだから。誰かに出させれば,職員会 議は校長が決めていいんだから,僕が幾らはいと言ってそれ勤務時間 だから無理ですと言ったって無理ですよ。だって,僕,先ほどの 校長のときに登校指導を反対したけれども,結局,だってそれは校長 が決めるから,反対しても無理なんです。そうやって幾らでも増えま す。だから,今全国でみんな勤務時間が長い、長いと言っているんで すよ。原因は,全て職員会議で提案してそれが通る今の状況なんで す。だから,僕,ここで裁判に訴えているんですよ。おかしいんです。

Q.従前は,あなたも教員は自由だったとおっしゃっていましたけれども,今日に至るまでそのようにして仕事が増えてきてしまったと,これはどういう背 景があると思いますか。

僕が教員になったときは,まだ給特法ができたばっかりだったんじゃないですかね。校長は命じませんでした。職員会議も提案しませんでした。今の学校長は,今年だけだって今言ったけれども,次から次へ どんどんどんどん提案しますよ。なぜかといったら,だって自分た ちの勤務時間外の仕事を全部自主的だとか言ってただでやらされているじゃないですか。それだったら幾らでも提案されちゃいますよ。それで、僕たちは反対できないんですよ。裁判以外ないんですよ。

Q.現状は,そういった仕事が増えていくことについて歯止めが全く利いていないと,そういう現状にあるということでしょうね。

はい。

Q.教員が勤務時間外の時間を自由に使うことができると,このような職場環境にあるとは今言えないんでしょうか。

言えません。

Q.教員にとって,本来どのような職場環境というのが望ましいとお考えですか。

教員にとって、勤務時間内で仕事が終わるようにしなければいけません。勤務時間外でやりたい仕事というのは,たくさんあるんです。この算数の授業をどうやって組み立てようかなって,こうやったら理解 してもらえるんじゃないかなとか,そういうことに時間を費やしたい んですよ。あるいは,どうにかこの授業をうまくやるために何か方法 がないかなって,そういうのを本当の自主的というと思うんです。今違います。やらされる仕事だけで手いっぱいです。新任の人なんかすごく大変です。ごめんなさい。余計なこと言いました。

Q.あなたは,学校長の責任について、労務管理者という立場に学校長はなりますけれども,どのような責任を果たすべきだとお考えですか。

労務管理をしっかりやってほしいです。教員は,労働基準法が適用さ れています。ですので,1日8時間を超える仕事を課してはいけない と思っています。それをどれだけの仕事がどれくらいかかるんだろう かって,しっかり把握してほしいです。それで,労務管理が初めてできるんじゃないですか。

Q.今の勤務時間外労働がたくさん発生しているという現状について,裁判の手 段しかないとおっしゃいましたけれども,それ以外の手段を何か実行された ことというのはあるんですか。

一番初めに裁判を起こす前には人事委員会に訴えようとしました。その前には僕は,知らないでの労働基準監督署に電話をかけまし た。こうこうこういうことなんで,どうしたらいいでしょうかって。 そしたら,そこの担当者はこうおっしゃいました。なるほど,確かに それは不当だと。では,あなたは公務員なんで,それは人事院に言い なさいと。人事院ってどこですかと聞いたら,埼玉県の教育委員会に 行ったら分かりますよって。僕は,そのときにえっと思いました。仲間じゃんって。仲間に訴えても無理ですよ。ですので,自分は裁判に 訴えるしかないと思いました。最近なんですが,僕は市の公平委員会 に訴えに行きました。何を訴えに行ったかというと,自分が8時半の 勤務時間開始なのに子供が8時に来るのはおかしいだろうって。どち らかをすり合わせてほしいと,教員の勤務時間を8時にするか,児童 の登校を教員の勤務時間に合わせて8時半にするか,どちらかに変え てくださいって。あと,休憩時間に仕事を入れられるので,これをや めてください。あと,教員の仕事は明らかにされていません。先ほど も学校長が言っていましたけれども,何が命じられた仕事で何がやっ てもやらなくてもというお願いの仕事,全く僕はいまだに理解できません。ですので,それをはっきりさせてくださいって,3点を公平委 員会に頼みに行きました。でも,公平委員会って実は僕は何か訴える 場なのかなと思ったら違います。僕の訴えを聞いて,公平委員会にか けるかどうかが決まります。そしたら,まずかけてくれました。かけ てくれたら次何が行われるかというと,教育委員会に調査をするんで す。こういう人がこういうふうに訴えているんだけどって。それをうまく公平委員の人が僕の意見と教育委員会の人たちとの調整役,あと校長も含めて調整役をやってくれるんです。それでおしまいです。やっぱりこれ意味ないなと思いました。

Q.職場環境を抜本的に変えると,そういう効果というのは、なかなか期待でき ないということなんですか。変わんないですから。ただ、学校長が休憩時間に関しては相当神経を使っています。

Q.これまでお話しいただいた現状も踏まえて,この裁判で裁判所にはどのようなことを求めたいですか。

今の繰り返しになりますけど,自分たち教員は仕事を減らすことできないんです。先ほど学校長は,教員の工夫で仕事を減らしてほしいと かいうふうに望んでいましたけど,減らすどころか自分たちは学校長 が職員会議でどんどん、どんどんいろんな仕事を提案してくるので,それをやるだけで精いっぱいです。

Q.つまり労働基準法32条ですか。

8時間を超える労働はさせてはいけないとなっているのが守られないんですよ。この守られない,特に恐らく僕は初めてだと思うんですけど,労働基準法に違反しているじゃないかと訴えて,今回恐らく初めてだと思います。僕の調べている中では。教員の時間外勤務,超勤4項目ではない仕事に対して、労働基準法32条が適用されるのかどうかを判断してもらえる唯一の裁判だと思っているんです。この裁判が日本の教員の運命がかかっています。それを理解していただきたい。もし僕が言う仕事として認められるんだったら,僕は校長は相当考えると思います。この仕事が本当に適しているのかどうか,今はそ んなこと考えません。仕事を減らそうなんて考えません。必要だった ら入れるんです。それが労働基準法32条が適用されて8時間以内に しなさいとなったら,校長は考えます。考えて,どうしよう,これが 大事か,これが大事かって,それは自由な競争の中で校長先生が決め ればいいんです。僕は、今の文部省の考え方は正しいと思っています よ。日本の流れはいい流れなんです。ただ,間違っているのは,教員 の仕事があまりにも多過ぎるんです。これだけはどうにかしなきゃい けないし,次の世代には引き継いじゃいけないんです。その判断を僕は司法の判断がしっかりなされてほしいなって,それを望んでいま
す。

県側弁護士からの尋問

Q.平成29年度,平成30年度だけのことでいいんですけれども,あなたが職員会議で教職員の業務について反対したという、の時代に登校指導について反対したと,それは聞きました。そのほかにはあったのですか。

記憶上あまりないです。

牧野裁判官からの尋問

Q.ちょっとまず最初は細かい話で恐縮ですが,授業時間中,児童がテストを受けている間に事務作業ができるかどうかというふうな質問が先ほど原告代理人からありまして,あなたのお答えとしては,児童の様子を見ていないとい けないということのほかにそういうのは若い頃はできたけれども、今はそう いう時代じゃないというふうな御発言をされたと思うんですけれども,若い 頃ができて今はそういう時代じゃないというのは,具体的に言うとどういうことなんですか。

まず、僕の若い時代は,学校長が教員の様子を見に来ることはなかっ たです。つまり無関心な状態だったんです。今は,非常に一つ一つの 授業に対して関心があります。ですので、テストだろうが何だろうが 関係ありません。ふだんから1日1回は学校長が見に来ます。そうい う状態です。なぜかというと,ニーズがもうしっかり1時間の授業をやりなさいというニーズなんです。

Q.じゃ,言い換えると,あなたがお若い頃は授業をどのぐらいきっちりやるかとか,あるいはテストのときにきっちり児童を見張っておくかどうかみたいなことは,要は各教員の個々の判断や考え方に委ねられていたと。だけど,一方で今はもう校長がテストの時間中なんだから,しっかり見張っていない と駄目じゃないかというふうなことを言ったら,それはもう各教員はそうい う方針でやらざるを得ないと,そんな感じになってきているというイメージですか。

もちろんそうです。

Q.それから,もう一つ別の話で,陳述書とか,準備書面で午後5時以降に行っ た業務,たくさん挙げてもらっているんですけれども,その中で被告のほう から教員の本来的業務だというふうに主張されている業務ありますよね。全 部じゃないですけど,ちょっと具体的に幾つか挙げさせてもらうと,教室の 整理整頓だとか,掃除用具の確認とか,落とし物の整理,掲示物の管理と か,作文のペン入れとか、掲示物の作成とか,こういうものは教員の本来的な業務だというふうに言われているわけですよね。こういう教員の本来的な 業務だというふうに被告から言われているものについては,基本的には校長 とか,職員会議のほうで指示があるとないとにもかかわらず,やらなくちゃ : いけない業務だということは,それはそういうことでいいんですか。

僕は,全部が全部本来的業務だどうだというのがあまり38年やっているのに意味が分かっていないです。

Q.そもそもそこの主張があまりぴんときていないですか。

はい。何でそれが本来的業務と言ってこれは命じられた業務なのかと いうその区別が僕が分かんないだけなのか,ほかの先生も分かんない んじゃないですかね。

Q.じゃ,今言った教室の整理整頓とか,掃除用具の確認とか,落とし物の整理というのも,本来であれば各教員が自分でやるべきかどうか判断してやるか どうかを決める業務だというふうな御認識ということですか。

それは,職員会議で提案されているかどうかなんです。職員会議で提案されているから,自分たちはやります。

Q.あなたのお若い頃は,職員会議で要はこういうこと,整理整頓をちゃんとや りなさいとか,掃除用具の確認とか、落とし物の整理をちゃんとやりなさい って,こういうふうな指示は,あなたがお若い頃はされていなかった・・

ないです。 そのときはどうだったんですか。あなた自身とか、ほかの先生というのは, こういう作業・・・。いや自分はやっていません。

Q.だから,そこは昔は自主的な判断ができていたということなんですか。本来 的業務と被告が言っているようなものについても自主的にやるかどうかの判 断ができたということですか。

そうですよ。

Q.それから,別の話を聞きます。今回いろいろお話ししていただきましたけれ ども,私が理解したところで言うと,昔と比べて今の教員の仕事が増えてい る問題というのは,どういうところにあるのかというと,昔は休み時間とか,空いた時間とかに事務作業をしたりすることができたけど、今は職員会議を通してあれをやれとか,これをやれとか,こういうやり方でやれという のが細かく決められちゃっているせいでもうそもそも空き時間にやれる作業 というのがどんどん少なくなってきて,どんどんそれが後ろ倒しになってき ちゃうと。要は職員会議とかであれやれ,これやれというふうな指導が多くなってきちゃっているというのがやっぱり問題ということなんですか。

はい。

Q.そういうさっき聞いていたと思うけど,職員会議での提案量というのが増え てきたというのは、 校長もおっしゃっていたじゃないですか。

はい。

Q.そういうのの背景にはやっぱり社会や保護者からの教員に対する見方とか, ニーズみたいなものが変わってきている,教員に対する要求というのがどう しても多くなってきているんだというふうなことをさっき、校長はおっし やっていましたけど,その御見解については,あなたの今までの経験から見てそう見られ方とか、それが教員の仕事に与える影響みたいなことの変
化についてはどう思いますか。

僕は、 校長とちょっと違います。何が違うかというと,学校長は 恐らく学校長の立場で親の意見を聞くんです。そうすると,学校運営 者としてこうしたらいいというのはあって,自分たちは学級担任で す。自分のクラスの子供の親のニーズの話を聞くわけですよ。学校長 は全体を,学校をきれいにしようとか、学校を統一しようとか,宿題 はみんな同じようにさせようとか,そういうことを考え,恐らく言わ れると思います。自分は,学級担任なんで,自分のうちの子はこうい う性格なんだ,こういうところがあるから,ちょっとこういうところ を見てくださいよ,そういうニーズに応えようとするんです。でも, どちらが勝つと思いますか。学校長が運営者だから,学校長の指示に 従います。したがって,僕が親から聞いてこうしたい、一人一人に合わせて何かをさせたいというのは後回しにされます。

Q.つまりあなたとしては,先ほど反対ができないみたいな話もありましたけ ど,自分が親や周りの地域社会から聞いていてこうしたいというふうに思う ことはあるけれども,それを職員会議の中で反映させていくことができない というところも問題としてあるんじゃないかと考えているということですか。

もちろんあります。 それを全部職員会議に提案して各教員に割り振ることがいいかどうかという のは別にしてですよ,

Q.今からの質問は,そういう職員会議を通して全部割り 振ることがいいかどうかは別にしてですけれども,実際に学校とか,教員に 求められているものというのは,やっぱりここ最近で増えているというの は,それは感覚としてはどうなんですか。そう思われますか。

増えているのは思います。

Q.そこは間違いないけど、増えているということを要は取捨選択しないで何でもかんでも職員会議に通して各教員にやらせるというのが問題であって,そこは本当に必要なことなのかどうかを見極めてほしいというのが結局最後あなたがおっしゃったことですか。

そうです。

玉本裁判官からの尋問

Q.あなたの陳述書の9ページに載っている「教員の自主的自発的な仕事は命じられた仕事に変化した」とおっしゃっておられるところについて伺いたいと 思います。あなた,陳述書の中で,自主的自発的な仕事と命じられた仕事の 違いについて,「学校長が仕事の発生に関与したか否かです」というふうに言っておられて,「その典型例が職員会議です」というふうにおっしゃっておられるんですけれども,職員会議への提案というのは,主には委員会など から提案されることが多いんでしょうか。

それは、僕は分からないんです。学校長じゃないから,その元が委員会から来ているのかどうかというのは分かりません。

Q.じゃ,提案のされ方というのは,学校長からこういう提案がありましたとい うことで一括で提案されて、どこが提案先かというのは、分からない形で提 案されるということなんですか。

先ほど言ったんですが,学校長が例えば掲示物に関して言うならば掲示担当者に提案させます。それは,恐らく掲示担当者という名前がないんで,多くは教務主任だと思います。教務主任が年度当初掲示物 はこういうふうにしてください, ここは算数コーナーにしてくださ い,ここは国語コーナーにしてくださいとか,全部指定します。それ を原案として出します。あるいは,図工で作品を書いたら赤ペンで何 か入れてくださいとか,そういうのが提案されます。僕が若い頃は, そういうことは提案されていませんでした。最近は、そういう細かい ことが職員会議の中で提案されるんです。これが大きな違いです。で すので,職員会議で提案されたら,それは反対しようがないから,職 員会議が必ず通りますから,原案が。反対しても通ります。校長がや らせたかったら。もともと校長がやらせたいから,教務主任に提案す るように言うわけだから。なので,外部の僕なんかが反対してもそれ は通りません。はい、そうですか,意見として伺わせてもらいます,やってくださいでおしまいですから。

Q.あなたは、そういうものとして提案されているというふうに理解されておら れるんですね。職員会議の提案というのは。

そうです。

Q.それで,協力依頼である場合はそのことが明示されますというふうに陳述書の中で,例えば指示に従わなくてもよい場合・・・。相撲の例を書きました。相撲大会。

そうですね。相撲大会は,初めから日曜日に行われるんで,もう言います。これは自主的なものですからって。

Q.それは,相撲大会に限らず,協力依頼であることがあらかじめ明示される形 で提示されるということになるんですか。相撲大会に限らず,例えばこれはあくまでも目安あるいは協力依頼であって,指示ではありませんよというのは,相撲大会に限らず。

ほとんどないですよ。ほとんどないけども,あと例えば僕のは、まつりってあって,それも協力依頼です。全員出なさいじゃな いです。それは,できる限りPTAの人も協力して出ているんで,先 生方もどこか1個枠の中に名前を入れてくださいよって,どこか行け る時間帯でいいですから,自分の名前を入れてくださいよって,日曜 日だからそれは強制できないんでと言いつつ入れてくださいよ。でも,調整時間くれますからって,よく分からないんですけど,そういうふうな特別なそういう協力依頼はあります。ほとんどないですよ。

Q.なので,そういった協力依頼であることが明示されていないものについて . は,それはもう指示されたものとして職員会議を通ったらやらざるを得ない ということで,それは命じられて仕事をしているというふうに考えておられ ると,そういうことになるんですか。

はい。口頭じゃないんですよ。口で言われるんじゃなくて,文書で明 記されているんで,僕,残るんです。会議といっても口でやらないです。文書で見せてはいと言われるんで,通ればそれをやります。

【裁判長】

Q.お話伺っていて,実情としては児童さんが登校してから下校するまでの間は 児童の対応に付きっきりの状態で,もう事務仕事は基本的にはできないと,できるのは5時過ぎてからというのが実情だということですね。事務仕事の内容としてもいろんな状況からだんだんその量が増えていって,結局本当はやりたかったという仕事もできない,本当は教育,児童に対する教え方とか,どういうふうな形でやったらいいのかとか,本当はやりたかった,以 前はできたことがそちらにも影響が出て,時間的になかなか取れないという 状況になってきたというのが現状だということですね。

はい。

Q.先ほど校長のお考えとしては、御自身の中の時間の取り方の工夫のやりくりでできる限り効率よく仕事をしてほしいというのが、校長の理想のよ うですけども、現実問題としては職員会議で決まったことの内容について, 優先順位とか軽重は御自身ではもうつけられないと,そこで決まったことは 必ず実施しなければならないと,そういう・・・。

はい。やらなければいけない仕事が多過ぎて, 校長の時代,若い 時代はそうだったんです。僕も分かります。ただ,今はやらなければ いけない仕事だけで手いっぱいで,もう12時間になっちゃうんです。

Q.だから,理想は理想として分かるけど,現実は違いますよということですよね。

そうです。

Q.先ほど校長のお話の中に一部の教員の方の中には時間を,家庭の御事情 もあるのかもしれないけども,8時半で5時ぴったりで帰るという方もいら っしゃるというふうには言っていましたけども,そういう方はどうやってや りくりをされているのか。

まず1つ,よく調査をしてください。それはどういう人なのか。まず,学級担任かどうかを調査してください。学級担任と,言い方は悪いけど、違う人と違うんです。

Q.条件が違うということ?

違うんです。そういう人かどうかをまず調査をしてください。そうすると,その結果が出ますから。あと,もう一つは、早く帰る,早く帰 ると言っていましたよね。例えば今5時で帰る人,僕,知っていま す。 小学校で。その人は朝6時に来ます。そういうことを言わないです。でも,僕は分かります。大体何先生かな。そういうことを言わないでさもそういう人がいますよと言っているところがちょっと僕は質問したかったです。

★まとめ

以上が、まず原告先生への尋問でした。高橋哲先生、校長編と続きます。

【地裁】第11回埼玉教員超勤裁判の証人尋問(ノーカット)②【高橋哲先生編】

【地裁】第11回埼玉教員超勤裁判の証人尋問(ノーカット)③【被告校長編】