都教委に土曜授業の法的根拠を尋ねてみたら、かなり曖昧な解釈を可能とした法律だった

先日アップした『東京都教採が低倍率なのは6つの教員施策が原因』の記事のなかで、土曜授業の話をしたところ、埼玉教員超勤訴訟の田中先生から「振替休日無しで週に6日間働く法律的根拠を知りたい」との投稿をいただきました。

確かにそうだよなと思いました。

労基法では週に40時間を限度に勤務時間を設定する必要があるにもかかわらず、土曜授業にあたる週については40時間を超えるわけです。

ここのところ、法的にはどうなっているのか。もっともな疑問です。個人的には、灯台下暗しでした。

早速、都教委に尋ねてみました。

質問

以下が私が都教委に送付した質問です。

先日、今年度の東京都教員採用試験において倍率が1.1倍との報道を見ました。東京都は他の道府県に比較し、土曜授業を実施している自治体が多いのがその一因なのではないかと思っているのですが、それはさておき、江戸川区、足立区、葛飾区等の土曜授業においては振替休日がなく。実施されています。

教員においては長期休業等に代休の措置が取られていると思いますが、そもそも勤務時間は労働基準法において週40時間までと定められております。しかし、上記の区では土曜授業が実施される週において42.5時間の勤務時間となっているかと思われます。この2.5時間分においては、労働基準法の違反にはならないのでしょうか。どのような法的根拠において、教員に40時間を超える労働をさせているのか、教えていただきたく存じます。

都教委による回答

学校職員の正規の勤務時間は、休憩時間を除き、1週間(日曜日から土曜日の7日間)について、38時間45分となっております。また、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第61条第2号において、公立学校は日曜日及び土曜日を休業日としていることから、週休日に正規の授業を実施することは原則として想定されておりません。

しかし、学校経営上必要があって、週休日に授業を行うなど、校長が教育職員に勤務を命じた場合には、必要最小限度の範囲内において週休日を変更することができます。週休日の変更等は、当該週休日の属する週に行うこととしていますが、やむを得ない場合、教育職員の週休日変更については、当該週休日の前2月又は後4月の範囲内で行うことができます。

<根拠条文>

・正規の勤務時間⇒学校職員の勤務時間・休日・休暇等に関する条例第3条
・週休日⇒学校職員の勤務時間・休日・休暇等に関する条例第5条
・週休日の変更等⇒学校職員の勤務時間・休日・休暇等に関する条例第6条

学校職員の勤務時間・休日・休暇等に関する条例第6条とは…

(週休日の変更等)

第六条 教育委員会は、職員に前条の規定により週休日とされた日において特に勤務することを命ずる必要がある場合には、教育委員会規則の定めるところにより、第四条第一項又は第二項の規定により正規の勤務時間が割り振られた日(以下この条において「勤務日」という。)のうち教育委員会規則で定める期間内にある勤務日を週休日に変更して、当該勤務日に割り振られた正規の勤務時間を当該勤務することを命ずる必要がある日に割り振ることができる。

○学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例

曖昧なのでは?

土曜授業を勤務させる法的根拠は、端的に言うと、「学校職員の勤務時間・休日・休暇等に関する条例第6条」だそうです。ただ、その場合にあっても、

  1. 学校経営上必要があること、
  2. 必要最小限度の範囲内であること、

の2点が求められるようです。

ただ、個人的な印象としては、2点とも非常に曖昧だなと思います。

①の「学校経営上必要」といっても、(土曜授業の実施においては「授業時数の確保」がいわれることが多いわけですが)これは校長が学校経営上必要といえば必要になるわけで、一方で土曜授業を実施していない自治体のほうが多く、不必要なのではないかという指摘もできるわけです。また、②の「必要最小限度」においても、月に一度の土曜授業は「必要最小限度」なのか。それは主観でしかない気がします。どこまでが必要最小限度なのかとても曖昧です。

★まとめ

土曜授業の勤務において、週に40時間を超える労働時間を可能にする法的根拠は、『学校職員の勤務時間・休日・休暇等に関する条例第6条』でした。

学校経営上必要があって、週休日に授業を行うなど、校長が教育職員に勤務を命じた場合には、必要最小限度の範囲内において週休日を変更することができる、とのことです。

ただ、個人的には非常に曖昧な解釈が可能な条文であり、先の記事でも書いたとおり、劣悪な労働環境を生み出している土曜授業は即刻廃止すべきだと思います。