14日、文部科学省より次期学習指導要領の改定案が示されました。
主なポイントは次の通りです。
学習指導要領改定案の骨子
・小学5、6年の英語を教科化し3、4年に外国語活動を前倒し
・小学校のプログラミング教育を必修化
・全教科で「主体的・対話的で深い学び」の視点による授業改善を図る
・読解力を育成するため小中の国語で語彙(ごい)指導などを拡充
・主権者教育、防災教育など現代的課題への対応も重視(出典:毎日新聞「学習指導要領 知識使う力、重視 異例の指導法言及」2017年2月14日)
今回は、この改定案に反対する3つのポイントをまとめました。
では、元公立小学校教員による、「次期学習指導要領改定案を受けて、反対する3つのポイント」です。
1.小学5・6年英語教科化+外国語活動3・4年前倒し
私は3つの理由から、小学校英語の教科化を反対します。
- 小学校担任に英語の授業は無理
- 既に授業時数はいっぱいいっぱい
- 子どもの負担増
1.については、英語専科が授業を行うのであれば反対しませんが、現状の改定案をみると、基本的には担任が授業を担当するようです。これ以上の担任への負担はもう無理で、必然的に他教科の準備・指導が疎かになります。
2.については、週1時間増加分を3つに分けて、朝の集会や読書、昼の掃除や休み時間を削り、各学校の実態に応じて行うよう発表していますが、新しく授業を増やすのであれば、何か1時間授業を減らすべきです。
3.については、今現在でさえ多くの行事や学習を要求されている子どもたちが、更に短い時間で多くのことを要求されるのではないかと危惧されます。これ以上、不登校者を出してはいけません。
私はこの英語教科化については、文科省のパブリックコメントに意見を送りました。
詳しくは、こちらの記事にまとめてあります。
2.プログラミング教育の導入
現在、生活科や総合的な学習の時間でPCやマウスの操作を学ばせる授業を行っていますが、今回の改定案でのプログラミング教育は、内容をきちんと定めていません。
小学校でもプログラミング教育を行うよう、指導要領の「総則」に定めるものの、どの学年や教科等で行うかは、特に指定しないことにしました。
(出典:ベネッセ 教育情報サイト「小学校のプログラミング教育が学校の裁量になった背景」)
学年も、教科も、内容も、決められていないのです。
例によっての「現場丸投げ」としか思えません。また現場が混乱します。
反対します。
3.主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の推進
アクティブ・ラーニング(AL)とは、
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な参加を取り入れた教授・学習法の総称。
(出典:2012年中教審答申)
のことを指します。
確かに高校生や大学生にとっては、とても有効な学習法になると思います。
しかし、小学校段階、特に公立校では最低限の学力がない児童も多く、それが必ずしも有効となるかは甚だ疑問です。
「あくまでも一つの手段」であるなら、有効である場面もあると思います。
しかし現場では、往々にしてこのように文科省が示してしまうと、教育委員会や管理職はこれ(AL)に縛られ、現場に押し付けることが想像に難くないです。
「問題解決型学習」がその良い例です。
おそらく文科省は、「あくまでも一つの手段」だと誰も教員が取り組まないだろうという算段があるのでしょうが、授業は子どもたちの発達の段階や実態、学習内容に応じて行われるべきです。
「あくまでも一つの手段」でない、上からの押し付けに反対です。
★まとめ
今回の改定案、子どもたちや現場を更に苦しめるような内容です。
本来であれば、内容の削減を行わなければいけないところを増加させているあたり、文科省は本当に現場のことを把握・理解していないのだろうと思います。(削減できないのは、「ゆとり教育」時のようなバッシングを恐れていることもあるでしょう)
私にできることは、このようにネットで意見を発信していくことと、パブリック・コメントに意見を送ること位なので、今回記事にまとめました。
以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「次期学習指導要領改定案を受けて、反対する3つのポイント」でした!
関連記事:次期学習指導要領改定案「小学校英語教科化+前倒し」を受けて、元小学校教員の私が文科省のパブリック・コメントへ送った反対意見の3つの理由