
新年度が近づくと、子どもや保護者にとって気になるのが「次の担任の先生は誰になるのか」ということです。
「担任は誰が決めるの?」「今の先生がそのまま持ち上がる?」「先生本人の希望は通る?」など、学校の外からは分かりにくいことも多いと思います。
私は公立小学校で勤務していた際、毎年のように校内人事が決まっていく過程を見てきました。
この記事では、その経験をもとに、小学校の担任がどのように決められるのか、校長がどのような点を考慮するのか、持ち上がりはどう決まるのかを解説します。
なお、具体的な人事の決め方は学校や自治体、校長によって異なります。以下は私が勤務した学校での経験を中心に、一般的な考え方として紹介するものです。
小学校の担任は誰が決める?
校内の担任配置を最終的に決めるのは、基本的に校長です。
学校教育法では、校長は校務をつかさどり、所属職員を監督するとされています。
ただし、実際の学校では校長が一人で突然決めるとは限りません。
私が勤務した学校では、教頭などの管理職と相談したり、教員本人から希望を聞いたりしながら、学校全体の配置を考えていました。
そのうえで最終的な担任・専科・校務分掌などを校長が決定する、という形です。
担任はいつごろ決まる?
担任人事は一般に、年度末に向けて検討が進みます。
ただし、異動する教員や新しく赴任する教員がいるため、かなり早い時期から完全に決められるわけではありません。
人事異動の状況、新年度の学級数、教員数などが見えてくるにつれて、具体的な配置が固まっていきます。
学校によっては教員本人に希望する学年や校務分掌を尋ねることもあります。
ただし、希望を書いたからといって、その通りになるとは限りません。
担任を決めるときに考慮される主なポイント
私が勤務した学校では、担任配置を考える際にさまざまな要素が考慮されていました。
主なものを挙げると、次のようなものです。
- 前年度からの持ち上がり
- 学年主任を誰にするか
- 教員の経験年数
- それぞれの教員の得意分野や力量
- 学年・学級の児童の状況
- 初任者や若手教員を支える体制
- 教員同士の組み合わせ
- 健康状態など勤務上必要な配慮
- 校務分掌とのバランス
- 学校全体の男女・年齢・経験のバランス
つまり、担任人事は「一番人気のある先生をこの学年にする」といった単純なものではありません。
学校全体が一年間安定して運営できるように、複数の条件を組み合わせて決めることになります。
今の担任がそのまま持ち上がることは多い?
現在の担任が、子どもたちと一緒に次の学年へ持ち上がることがあります。
例えば1年生を担任した教員が、そのまま2年生を担当するといったケースです。
持ち上がりにはメリットがあります。
- 児童の性格や学習状況をすでに把握している
- 保護者との関係ができている
- 年度当初から学級運営を始めやすい
- 継続的な指導ができる
一方で、必ず持ち上がるわけではありません。
学校全体の人事バランスや教員の異動、新年度の学級数、学年の状況などによって配置は変わります。
また、同じ担任との関係を継続するよりも、別の教員が担当した方が子どもにとってよいと判断される場合もあります。
まず「学年主任」を考えることが多い
複数学級がある学校では、学年全体をまとめる役割を担う教員が必要です。
そのため、担任配置を考える際には「この学年を誰が中心になってまとめるか」が重要になります。
私が勤務した学校でも、経験のある教員を各学年に配置し、その教員を軸に他の担任を組み合わせていくことがありました。
例えば若手教員がいる場合には、相談しやすい経験者を同じ学年に配置することもあります。
担任一人だけを見るのではなく、学年チーム全体のバランスを考えるわけです。
初任者や若手教員の配置も考慮される
新任の教員をどの学年に配置するかも重要です。
初めて担任をする教員に、学校内でも特に対応が難しい学級を一人で任せれば、本人だけでなく子どもたちにも負担が生じる可能性があります。
そのため、同じ学年に経験豊富な教員を配置したり、管理職や校内の指導担当者が支援しやすい体制を考えたりします。
もちろん、学校の教員数に余裕がなければ理想どおりには配置できません。
「大変な学年」には経験のある先生が配置される?
これも一概には言えませんが、学校側が児童の状況を見て配置を考えることはあります。
例えば前年度に学級運営上の大きな課題があった学年や、特に丁寧な対応が必要な児童が多い学年では、経験のある教員を配置することがあります。
私が勤務していた学校でも、児童の状況と教員の経験を照らし合わせながら配置を考えることがありました。
ただし、「経験豊富な教員なら必ずうまくいく」「若い教員だから難しい」という単純な話ではありません。
子どもとの相性や教員それぞれの得意分野もあるためです。
教員同士の組み合わせも重要
同じ学年を担当する教員同士の組み合わせも、人事では重要になります。
学年の教員は、授業の進め方、行事、児童対応、保護者対応などについて日常的に相談します。
そのため、経験年数や得意分野が偏りすぎないように配置することがあります。
例えば、
- 経験豊富な教員と若手教員
- ICTが得意な教員と授業づくりに強い教員
- 学年運営をまとめられる教員と新任教員
といった形で、互いに補える組み合わせを考えることがあります。
学校は担任一人だけで運営されるわけではありません。
そのため、「誰が担任になるか」と同じくらい「誰と同じ学年を組むか」も重要です。
教員本人の希望は通る?
学校によっては、年度末に教員へ希望調査をすることがあります。
例えば、
- 低学年を担当したい
- 高学年を経験したい
- 現在の学年を持ち上がりたい
- 専科を担当したい
といった希望です。
校長がこうした希望を参考にすることはあります。
しかし、学校全体の人事が優先されるため、希望どおりになるとは限りません。
全員が希望する学年へ行けるわけではないため、最終的には学校全体の配置を見て決めることになります。
健康状態や家庭事情などが考慮されることもある
人事を決める際には、教員の健康状態など、勤務上必要な配慮が行われることもあります。
例えば長期間の休職から復帰したばかりの教員などについては、学校側が業務負担を考える場合があります。
ただし、こうした事情は個人情報でもあります。
外から見て「なぜあの先生はこの配置なのだろう」と思っても、保護者や児童には分からない事情がある可能性があります。
保護者の希望で担任を変えてもらえる?
「○○先生を担任にしてほしい」
「○○先生だけは避けてほしい」
と学校へ希望を伝えたい保護者もいると思います。
しかし、通常は保護者が担任を指定することはできません。
学校全体の人事を一家庭の希望だけで決めることはできないからです。
ただし、過去に重大なトラブルがあったなど、子どもの安全や心理状態に関わる事情がある場合は、年度末を待たずに管理職へ相談しておくことには意味があります。
その場合も「この先生を担任にしてください」と指定するより、子どもにどのような事情があるのかを具体的に伝える方がよいでしょう。
担任発表まで教えてもらえないのはなぜ?
学校によっては、新年度の始業式まで担任を公表しません。
その理由の一つは、人事異動や学級数の変更などにより、年度末ぎりぎりまで配置が変わる可能性があるためです。
また、正式に決まる前の情報が広がると、児童・保護者・教員の間で混乱が生じることもあります。
そのため、内部ではある程度決まっていても、学校が正式に発表するまでは公表しないことがあります。
「良い担任」は子どもによって違う
保護者から人気のある先生が、すべての子どもにとって最適とは限りません。
厳しく指導してくれる先生が合う子もいれば、ゆっくり話を聞いてくれる先生の方が力を発揮できる子もいます。
また、担任一人の力量だけで一年間が決まるわけでもありません。
同じ学年の教員、専科教員、養護教諭、管理職など、学校全体で子どもを支えています。
新しい担任の名前を聞いた瞬間だけで判断せず、まずは子どもと担任の関係を見ていくことも大切だと思います。
まとめ:小学校の担任はこうして決まる
- 担任などの校内配置は最終的に校長が決める
- 年度末に新年度の人事を検討することが多い
- 持ち上がりになる場合もあれば、担任が変わる場合もある
- 学年主任や経験年数など学年全体のバランスを考える
- 児童の状況と教員の経験・得意分野も考慮される
- 若手教員を支援できる組み合わせを考えることもある
- 教員本人の希望が必ず通るわけではない
- 保護者が担任を指定することは基本的にできない
担任人事は、子どもから見ると「先生が一人決まる」だけに見えます。
しかし学校側では、全学年・全教員を並べながら、さまざまな条件を考えて配置を決めています。
私自身、教員時代には「なぜこの人事になったのだろう」と思うこともありました。
一方で学校全体を見る立場になると、一つの学年だけでなく全体を成立させなければならない難しさもあります。
新年度の担任発表は子どもにとって大きな出来事ですが、誰が担任になるかだけで一年を判断せず、新しい関係を作っていくことも大切だと思います。