本日朝9時からの放送の、ラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」に出演しました。
テーマは、“教員の働き方”についてで、時間は約10分間でした。
冒頭、先日決定した残業時間上限規制のニュースに絡めて、次のようなアナウンスがあり、コーナーが始まりました。
3月に残業時間の上限を年間720時間内・月100時間未満という事が決まりましたが、この条件から外された職業があります。公立学校の先生です。ある調査報告によると、月100時間超の残業をしているのが、中学校教員の8割、月80時間超の残業をしているのが、中学では9割弱、小学校では7割強。(出典:「OH! HAPPY MORNING」)
ある調査報告というのは、↓のことで、
中学教諭6割が過労死ライン=月80時間超相当の残業-授業、部活増加・文科省調査(出典:時事通信2017年4月28日)
働き方改革「上限規制」の対象外については、↓に詳しく記載があります。
中学校教員の8割が月100時間超の残業 働き方改革「上限規制」の対象外(出典:Yahooニュース内田良准教授)
そして番組は、
・何故、こんなに残業時間が多いのか?
・どんな問題点があるのか?
お話を伺います。(出典:「OH! HAPPY MORNING」)
という感じで進み、私は大きく3点について話しました。
1.何故、こんなに残業時間が多いのか?
話せる時間が少なかったため、詳しくは話せませんでしたが、中学校は主に部活動指導、小学校は次の4点が長時間労働を生む原因なのではないかと挙げました。
- 授業時数の増加(いわゆる”脱ゆとり”学習指導要領による)
- 多過ぎる行事(しかも減らない)
- 文科省や教育委員会から要求される調査・報告書
- 内向き営業の多さ(各種研修や校内研究等)
そして、教員には残業代が出ないことによって労働時間の抑止が働かないことについても説明しました。
ここでは、放送で詳しい内容について話せなかったことについて補足をします。
1.については、2011年から実施された学習指導要領で、30年ぶりに大幅に授業時数が増えることになりました。そのため、土曜授業を復活させる自治体もあり、その分、労働時間が伸びたということです。
2.については、具体的には、運動会、学芸会、展覧会、音楽会、1年生を迎える会、6年生を送る会、謝恩会、2分の1成人式、持久走大会、陸上大会(他校との)、水泳大会(他校との)、宿泊行事、遠足、たてわり班活動などが挙げられます。このような行事は準備にも大変手間がかかり、教員はその準備に追われます。
3.については、具体的には、いじめ調査、不登校の子どもの調査、体罰・暴言調査、体力調査、学力調査(国、都道府県、市区町村)、学力テストの結果から学力向上改善案、ICT実施状況アンケート、各種研修報告書などが挙げられます。これらの調査・報告書、次から次へと文科省・教育委員会から降りてきます。なかには、議会への対応等で唐突に来るものもあります。
4.については、本来注力すべき”外向きの営業”=子ども・保護者への関わりの時間が少なく、一方で各種研修や校内研究(学校ごとに行われる勉強会のようなもの)のために指導案(授業の設計図)の作成等、”内向きの営業”に多くの時間を費やされていることについてです。
2.残業時間は年々増えているのか?
番組では、私自身の教員時代の印象、それから、先月文科省から発表された教員勤務実態調査(PDF)のデータを示して10年前との比較において、過去と比べて残業時間が増えていることについて話しました。
番組では話せなかった補足としては、この調査結果、最新の平成28年度の調査結果と10年前の平成18年(2006年)の結果を比較すると何と、
- 小学校も
- 中学校も
- 校長も
- 教頭(副校長)も
- 教諭も
- 講師も
- 養護教諭も
全員の勤務時間が増えていることが分かるのです。
この調査結果から分かることについては、先日、平日も土日も小学校も中学校もいずれの職種も勤務時間が増加!文科省「教員勤務実態調査」の集計速報値から10年前と比較する!の記事でまとめましたので、ご興味のある方はこちらでぜひ。
3.改善するのには、どうしたらよい?
話は、このままでは子どもにしわ寄せが来てしまう(来たまま)、ということで、ではこの教員の長時間労働を改善するためにはどうしたら良いのか、ということになりました。
番組では私個人の意見として、
- 仕事量を減らす
- 人を増やす
- ICT化
の3点を挙げました。
1.は、現場は前例主義を排して今までの行事等をやめること、教育委員会は調査・報告書の類を減らすことについて話しました。
2.は、一番良いのは教員を増やすことですが、それが無理でも「事務補助員」の配置を提案しました。そうすれば現場の教員は雑務から解放され、子どもに向き合うことができるからです。少ないながらも既に動いている自治体もあるようです。
過労から教員守れ 北方町教委が小中学校に補助員配置(出典:岐阜新聞2017年5月2日)
3.は、学校はまだまだ民間企業と比べるとアナログなところがあるので、ICT化して業務効率を図ること、諸外国で活用されているような「連絡帳アプリ」を導入することを説明しました。
あと、番組では話せませんでしたが、教員にも労働時間の時間外上限規制の適用するよう求めていくという方法もあります。
教員にも時間外上限を 研究者らが労働規制を求め署名募る(出典:東京新聞2017年5月2日)
★まとめ
まず、教員の働き方について取り上げていただき、情報発信の場を与えてくださったJFN系列「OH! HAPPY MORNING」さんに感謝申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
やはり、メディアの影響力は大きいですから、このようにマスコミの皆さんに取り上げていただけると、少しずつではあるものの、教育現場も変わっていかざるを得ないのではないかと私は考えています。
📻定期ポスト📻
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ちなみに、放送を聴けなかった方も、radikoプレミアムで1週間は聴くことができるようです。(5/17「FMとやま」9:00~で聴くことができます)
以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「FMラジオJFN系列「OH! HAPPY MORNING」に出演して、”教員の働き方”改善について語ったこと」でした!
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