過労死教員は1970代から断続的にいた―過労死された先生方の新聞記事を集めた―

昨年、毎日新聞より、2006~2016年度において少なくとも63人の教職員が過労死されているとの報道がありました。

過労死と認定された公立校の教職員が2016年度までの10年間で63人に上ることが、地方公務員災害補償基金(地公災)への取材で明らかになった。

(出典:毎日新聞『公立校 過労死教職員63人 専門家「認定、氷山の一角]』2018年4月21日 )

記事中の専門家の話によると、この63人は氷山の一角に過ぎないとのことです。勤務記録がなかったり、公務災害申請において校長の決済が必要だったりすることから、遺族が泣き寝入りしているケースが少なくないためです。

私はこの報道を知り、この10年間だけに限らなかったら、一体どれほどの先生が過労死をされてきたのだろうと思い、調べてみることにしました。

すると、過労死で亡くなられていた先生が1978年から断続的に存在していた事実が分かりました。

今回は、彼らの死を風化させないために、それらの新聞記事を亡くなられた年次順に整理しました。

※既にリンク切れしている記事については魚拓を作成しました

◆1978年 京都府 50代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1978年 愛知県 30代男性 小学校教諭

◆1981年 大阪府 40代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1983年 愛知県 50代男性 中学教諭【公務災害認定済】

◆1983年 岩手県 20代男性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆1984年 静岡県 40代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1986年 岡山県 40代男性 私立高校教諭【損害賠償認定済】

◆1987年 千葉県 30代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1987年 長野県 30代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1987年 愛知県 50代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1988年 千葉県 50代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1988年 北海道 40代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1989年 京都府 30代男性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆1989年 福井県 40代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1990年 大阪府 30代男性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆1990年 兵庫県 30代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1990年 東京都 50代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1991年 東京都 40代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1991年 新潟県 40代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1991年 茨城県 高校教諭

◆1992年 宮城県 50代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1993年 大分県 40代男性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆1993年 新潟県 40代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1994年 京都府 40代女性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆1996年 東京都 30代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1996年 群馬県 40代男性 中学校教諭

◆1996年 北海道 50代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆1998年 京都府 40代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1998年 宮城県 30代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1998年 大阪府 50代女性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆1999年 大阪府 50代男性 小学校校長【公務災害認定済】

◆1999年 埼玉県 50代男性 養護(特別支援)学校教諭【公務災害認定済】

◆1999年 北海道 50代男性 中学校教諭

◆2000年 広島県 40代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆2000年 宮城県 30代男性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆2000年 静岡県 40代女性 養護(特別支援)学校教諭

◆2001年 長野県 30代男性 高校教諭

◆2002年 東京都 30代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆2002年 岩手県 30代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆2002年 広島県 50代男性 中学校教諭

◆2002年 東京都 40代男性 小学校教諭

◆2004年 静岡県 20代女性(初任者) 小学校教諭【公務災害認定済】

◆2005年 埼玉県 20代男性(初任者) 小学校教諭

◆2005年 長崎県 40代男性 小学校教諭

◆2005年 愛知県 50代男性 小学校教諭

◆2006年 東京都 20代女性(初任者) 小学校教諭【公務災害認定済】

◆2006年 東京都 20代女性(初任者) 小学校教諭【公務災害認定済】

◆2006年 山梨県 40代男性 高校教諭

◆2006年 鹿児島県 30代女性 中学校教諭【パワハラ認定】

◆2006年 千葉県 50代男性 中学校教諭

◆2007年 神奈川県 40代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆2008年 宮城県 40代男性 中学校教諭

◆2009年 京都府 50代女性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆2009年 京都府 30代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆2009年 愛知県 40代男性 高校教諭【公務災害認定済】

◆2010年 兵庫県 30代男性 私立高校教諭【和解済】

◆2011年 大阪府 20代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆2012年 岩手県 40代女性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆2012年 岐阜県 20代男性 高校講師【和解済】

◆2014年 福井県 20代男性(初任者) 中学校教諭

◆2014年 大分県 40代女性 小学校教諭【公務災害認定済】

◆2015年 北海道 30代男性 高校教諭

◆2016年 富山県 40代男性 中学校教諭【公務災害認定済】

◆2017年 大分県 50代男性 中学校教諭

◆2018年 大阪府 男性 私立高校教頭

★まとめ

こうやって新聞記事を読むと、当然ですが、一人ひとりの人生があったこと、そしてそれが失われたことを改めて直視させられます。

そしてマクロ的な視点で俯瞰すると、

  • 教員の過労死はここ10年で始まったものではなく、1970年代から断続的に続いている
  • 年齢・性別・校種に大きな偏りはない
  • 一方で管理職の過労死は圧倒的に少ない
  • 地方では少なく都市圏に偏りがある

こと等が分かります。

彼らの死を決して無駄にすることのないよう、政治家、文部科学省・各教育委員会・学校管理職は、職場環境の改善に努めなくてはなりません。

コメント

  1. 倉田 ひとみ より:

    私の主人も、当時31歳の若さで自らの命を断ちました。当時、息子は3歳にもなっていませんでした。私も教員。自死の事実は息子にはもちろん、周囲にわかると私が働きにくいということになり、ふせて、これまで親一人子一人で、懸命に暮らしてきました。当時の話は、記憶でしかないですが、明らかにうつ病を発症しての自死のはずです。葬儀は800人も来ていただくほどの、人でしたから。
    しかし、もうじき死後10年になる今、私はうつ病を発病してしまい、休職しています。主人の死が、何も活かされていないとも思います。この記事で、その思いが強くなりました。息苦しいです。通院もしていますし、リワークにも通っていますが、このまま、職場に戻れるのか、と、不安な毎日です。

  2. makomako108 より:

    それは大変でしたね。
    あまり無理されぬよう・・・。