6月20日放送の中京テレビの報道によると、全国の約半数の自治体で「教員不足」に陥っているという報道がありました。
また、NHK独自の調査によると、その不足人数は2800人にのぼるようです。
学校現場で課題となっている「教員不足」。その実態をNHKが調査したところ、ことし5月時点で2800人不足していることがわかりました。同じ基準で国が行った去年の調査結果から36%増えて深刻化していて、子どもの学びにも影響が出ています。
さて、このように「教員不足」がマスコミによって報道されているわけですが、本当なのでしょうか。
◆教員不足の要因
上記NHKの報道では、その要因について次のように説明されていました。
いったいなぜ?要因は?「教員不足」が生じている主な要因を複数回答で尋ねたところ、
①「不足が出たときに臨時で教員になることを希望して名簿に登録する人が減少した」という回答が88%と最も多く、
②次に「特別支援学級が見込みより増えたこと」が59%、
③「産休・育休を取る教員が見込みより増えたこと」が53%、
④「病気で休職する教員が見込みより増えたこと」が43%となりました。
最も多い88%の回答を得た①の「不足が出たときに臨時で教員になることを希望して名簿に登録する人が減少した」、これは臨時的任用講師=非正規常勤教員のことを指します。
③と④についても、育休や病休の代わりに入るのは、臨時的任用講師です。
つまり、この臨時的任用講師が足りないのです。
◆教員採用試験の倍率
一方で、倍率低下が叫ばれている教員採用試験(正規採用)については、倍率が落ち込んでいるとはいえ、3.7倍の倍率があるようです。
今年度、全国で採用された公立の小中学校や高校などの教員の採用倍率は3.7倍で過去最低となり、このうち小学校の採用倍率は4年連続で過去最低となったことが文部科学省の調査でわかりました。(中略)中でも小学校は2.5倍と4年連続で過去最低となり、自治体別にみると秋田県と福岡県で1.3倍、佐賀県と大分県で1.4倍など18の自治体で2倍を下回りました。
低い自治体でも1倍は切っていないようです。
つまり、応募者は減少してきているとはいえ、正規の教員については、不足していないわけです。
◆臨時的任用講師が不足している理由
では、なぜ正規の教員は不足しておらず、臨時的任用講師は不足しているのか。
それは臨時的任用講師が非正規だから、これにつきます。
非正規、しかも場合によってはその契約は年単位ではなく、病休者の代替の場合などいつ契約が終わるか分からないのです。
誰がそんな不安定な職に就きたいと思いますかね?
誰もいませんよね。
しかし、これまでは足りていたのではないか?という疑問もあるかもしれません。
確かに教員採用試験の倍率が高かった時代には、正規教員になるまでの修行的な意味合いがあり、充足していました。
しかし、劣悪な労働環境など教員自体に魅力が失われてしまったので、そんな意味のない”修行”を受ける若い人が減ってしまったのではないかと私は考えます。
★まとめ
教員不足、教員不足と報道されますが、より正確には臨時的任用(非正規)教員不足です。
要は都合よく使える”調整弁”が足りないということなのです。
そのことについて現場の教員は当然きちんと理解しているとは思いますが、一般の方は正確には分かっていない方もいるはずです。そこを勘違いしないでいただきたいです。
そして、個人的には、この臨時的任用教員の制度自体に無理があるとしか思えません。
せめて制度を維持したいのであれば、
- 中高は担任、部活指導をもたせない
- 小学校は担任以外の校務分掌をもたせない
- 正規教員よりも高い報酬
- 民間労働者と同じように、臨時的任用講師として5年同じ自治体で働いたら正規採用とする
などの思い切った措置が必要なのではないかと個人的には考えます。
そのまま何も手を打たないのであれば、今風にいえば、臨任オワコンです。