「えがおーーー!!!」という教員の怒号から透けて見える運動会の目的

今年も春の運動会シーズンが終わった。

小学校の運動会は、ダンスや演舞、組体操などに力が入れられる。運動会に向けた練習の7〜8割の時間は、この表現運動に充てられるのだ。

◆「えがおーーー!!!」という怒号

練習では先生たちから怒号が飛び交うことも少なくない。

  • 広い校庭で、
  • 3人の教員で100人ほどの子どもたちを(3クラスならば)、
  • 炎天下のなか(雨で時間がなくなることもある)、
  • 限られた時間で(校庭の割り当てが決められている)、

動かさなくてはならないからだ。先生たちもギリギリで必死なのだ。

なかでも私が気になる先生方の指導(怒号)は、「えがおーー!!」というものである。

運動会当日に、演技を見に来た保護者を意識した指導を行うのだ。

私なんかは、楽しくもないのになぜ笑える!??と思うのだが、ここに先生方の意識が透けて見える。

教員たちは、子どもが「どう見えるか」について、非常にナーバスになっているのである。

なぜか。

運動後に配られる「保護者アンケート」を意識しているのだ。

昨今は、ダンスや演舞の完成度について辛辣な意見を寄せる保護者も少なくない。教員たちはそのような批判を恐れている。

高学年になると、「見ている人を感動させよう」という指導もある。もちろんこれも「どう見えるか」を意識するものである。

◆運動会の目的を考えるべきでは?

運動会は、「日頃の成果を発表する場」である。にもかかわらず現状は多くの学校で、「発表する場に合わせて練習を行う」ような逆転現象が起きている。

「えがおーーー!!!」という指導は、その逆転現象を象徴するものだと思う。

誰のため、何のための運動会なのか。

保護者に質の高い演技を見せることが目的なのか。表現運動を通じて子どもを成長させることが目的なのか。

後者が目的ならば、「えがおーーー!!!」などという指導が必要なのか。判を押したようにすべての学校が表現運動に注力する必要はあるのか。

保護者は表現運動の質を教師に問うべきなのか。

運動会、今一度、しっかりと目的を考えなくてはならないのではないか。