「なぜ労働組合なのに、直接労働とは関係のない護憲運動や辺野古、原発、慰安婦問題ばかりに取り組むのか?」
数か月前、某大手教職員組合がこのような批判に対してどう考えているのか知りたく、取材を申し込んだのですが、断られました。
そんな折、私の疑問に答えてくれる教職員組合の方が現れました。
一宮市教職員労働組合のTwitterアカウントの運用担当者です。
あくまでも担当者の方は一組合員であり、必ずしも組合の総意ではないと思いますが、参考になるツイートをたくさんしてくださったので、記事にまとめました。
◆東和誠×一宮市教組
当然のことを言っているだけなのに、それが特殊に見えてしまう日本の無反応・無関心な社会状況の方がむしろ危機的です。なお私たちは、個々の組合員への寄り添いを徹底的に行った上で、憲法を守る戦い等も展開しています。by中の人
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 6, 2019
前にもお答えしたように、組合運動では大会等の場で議論を尽くした上で運動方針を決めていきます。そこでは、改憲をよしとする結論はおそらく出ないでしょう。したがって組合としては護憲運動を展開しつつ、労働問題の分野では組合員に寄り添うという対応を取ることになると思います。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
組織によってはそういう実態があったかもしれませんね。愛教労の場合、憲法ではなく予算や規約を巡る問題で議論が紛糾し、険悪な雰囲気になったこともありますが、だからといって排除しようということにはなりません。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
護憲という方針を捨ててまで組合運動をやっても意味がないと思いますので、残念ながら別々の道を歩むしかないでしょうね。中の人個人としてはそういう考え方です。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
労働問題が先ですよ。でも、護憲抜きで労働問題だけということがあってはならないというのが中の人個人のスタンスです。ただし、母体の組合があった上で、労働問題に特化したライトな組合があってもいいかなとは思います。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
あくまで個人的な思いでしか語れませんが、憲法の視点を抜きに労働運動を進めていくと、遅かれ早かれきっと行き詰まるだろうと思うからです。運動の方向性を見失ったり、組織の求心力が低下したりするのではないかと思います。そうならない実例が出てきたら考えを改めます。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
中の人個人の感覚ですが、そのようにはとらえていません。組合の組織率低下には複合的な要因があります。反戦平和を手放せば、逆に組織は瓦解し、もう元には戻らないでしょう。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
これは思想の違いに関係なく、関連性を認めてもらわなければなりません。労働権を保証しているのは憲法ですから。ただ、労働権の依拠するところの憲法を含めて守ろうとするのか、労働権のみを扱うのか、その点は方針が分かれるところでしょう。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
戦争というブラックホールにあらゆる人権が飲み込まれていきます。様々な人権を守っていく必要がありますが、その根本は反戦平和です。9条は、日本軍国主義という魔物に打ち付けた大きな釘です。抜いてくれ抜いてくれと魔物は叫びますが、ますます強く打ち込まなければなりません。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
違いますね。労働運動だけでもやっていけないことはありませんよ。でも、それまでのような熱意とか、絆とか、そういうものは生まれにくい気がします。そんなもの求めていない、と言われればそれまでです。
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
そもそも政治団体であってはいけないんですか?教職員組合以外にも、いろいろな分野の団体が憲法や平和を語り合っていますが、それは全部政治団体ですか?市民が幅広く政治を語り合うことはいいことだと思いますが。by中の人
— 一宮市教職員労働組合(一宮市教組) (@138shikyoso) September 7, 2019
◆一宮市教組さんのお考え
一宮市教組の担当者の方はあくまでも一組合員の方であり、必ずしも組合の総意ではないと思いますが、話を整理すると次のとおりです。
- 護憲という方針を捨ててまで組合運動をやっても意味がない
- 労働権を保証しているのは憲法なので、護憲抜きで労働問題だけということがあってはならない
- 憲法の視点を抜きに労働運動を進めていくと、遅かれ早かれきっと行き詰まるだろうと思う
- 憲法のなかでも、労働権のみを扱うのか、その点は方針が分かれるところ
- 労働運動だけでもやっていけないことはないが、それまでのような熱意・絆は生まれにくい
★まとめ
まず、一宮市教組担当者の方ですが、某大手教職員組合本部と異なり、批判に対して正々堂々と答える姿勢に対して、(偉そうですが)評価できると個人的に思います。
また、憲法のなかでも「労働権のみを扱うのかどうかは方針が分かれるところ」と他の組合の可能性について否定していない点も共感できました。
ただし、やはり私の印象としては、労働組合なのに政治的立場の違いで共闘できない=労働問題を最優先にしてはしていないということを再確認した感じです。
このあたりは、上記のやりとりを見ていただいた方、一人ひとりが判断されることなんだろうと思います。
以上、お読みいただきありがとうございました!