上記の動画は、今年1月に放送されたテレビ番組(Youtubeにとびます)の一コマです。
記者の「どうしたら業務量が減ると思う?」という質問に対し、この先生は
「いかに効率よく本人がこなせるか」
と答えています。
量を聞かれているのもかかわらず、何ともチグハグな回答になっているわけですが、私は、これは日頃からの教育委員会・校長による教員への”教育”、もとい”洗脳”の結果だと思いました。
もちろん、これはテレビの取材ですから、この先生が本当に考えていることを回答したとは限りません。
例えば、「校長が業務を減らさないから」などと”正論”を述べてしまえば、放送後ギクシャクするでしょうから、当然自分がどう見られるかを意識しての回答だったでしょう。
しかし、いずれにせよ、私はこの回答は、教委や校長が求めている回答だろうなという印象をもちました。
本記事では、なぜこの回答が教委や校長が求めている回答なのか、日頃からの教委・校長による教員への”教育”とは何なのかについて、説明していきます。
個々の教員が自主的に残業をしているという認識
まず、前提としてなのですが、文科省や教委は教員の時間外勤務について、労働ではなく「自主的」なものと定めています。つまり、教員が勝手に残業をしている、という認識です。
彼らの認識は、個々の教員が自身の判断で勝手に残業をしている、というものなので、彼らにとっての働き方改革とは、教員の“勝手な残業”を改めさせること、という建前になっています。
実際、私の知る自治体の教委は、教員の働き方改革について、(業務削減ではなく)「業務改善」と呼んで教員に働きかけていました。
言うまでもないことですが、本当は教員たちは好き勝手で残業をしているわけではありません。どう頑張っても勤務時間内には収まらない業務量を与えられているから、残業をしているに過ぎません。
好きでしているわけはなく、「自主的」であるはずがないのです。
ですから、前提からしてちゃんちゃらおかしいわけです。
業務削減ではなく、「効率」になってしまう
ではなぜ教委や校長は、こんなちゃんちゃらおかしい前提を設定しているのかというと、こうしないと彼らが労務管理をしたり、業務削減を図ったりしなくてはならなくなるからです。
本来、それこそが働き方改革なわけですが、例えば業務削減をするとすれば保護者との軋轢や世間からのバッシングの矢面に立たなくてならなくなる可能性が高いわけです。ですから、自分達より強い立場の方々と軋轢を生むより、自分達より立場の弱い教員に矛先を向ける方が楽ということで、このようなちゃんちゃらおかしな設定となっているわけです。
そういった前提に基づいているので、教員の働き方改革においては、教委や校長による「業務削減」ではなく、個々の教員の仕事の仕方、つまり「効率」にスポットを当てることになります。(逆に言えば、彼らはここにスポットを当てておけば、自らの責任を回避できるというわけです。)
ですから私は冒頭に「いかに効率よく本人(教員)がこなせるか」という回答が、教委や校長にとっての適解だと書いたわけです。彼らの責任回避にとって、適解なのです。
校長等から会議等を通じて日頃から、働き方改革=個々の教員の仕事の仕方(効率)というように指導(洗脳)を受けている可能性も高いかと思われます。
★最後に
さて、「どうしたら業務量が減ると思う?」との質問ですが、私、正解を言っている人を見つけました。
財政審の土居委員です。
業務の削減にトップダウンで取り組むべき。
そうです。
正解は、「”トップダウン”で業務の削減を行うこと」です。
個々の教員の効率などではありません。