懇願は効果あり!? 元教員がバラす、小学校・クラス分けの決め方

小学校の偶数年生(2、4年生)の年度末、クラス分け、ありますよね。

今回はそのクラス分けの決め方について、元担任の経験から、「小学校・クラス分けの決め方」についてお伝えします。

◆決めるのは、担任

結論から言うと、小学校の場合、担任です。

例えば学年3クラスならば、まず担任が旧クラスを3等分します。

そして、学年の教員、この例の場合だったら3人で、各々がつくった3つのグループを組み合わせて新しいクラスをつくります。これが一般的に行われているクラス分けの方法です。

このように学年の教員で結論が出た後、最終的に専科教員や管理職が助言や確認を行って正式決定、ということになります。

ですから、誰が決めているかというと、第一義的には、担任ということになります。

◆基本的な考え方は、「なるべく差が出ないように」

そもそもですが、クラス分けの基本的な考え方として、同じ学年のクラスは「なるべく差が出ないよう、少なくともスタート時には平等にする」のが基本的な考え方です。

もちろん、担任が誰になるかによって、例えば新人のクラスには配慮を要する児童・保護者を少な目にして、学年主任のクラスを多めにする、ということはありますが、基本的には平等に分けるところが多いです。

◆クラスの分け方

では、どのように旧クラスを3つに分けるのかを説明します。

これは細かいところは担任によって変わると思いますが、ほとんどの担任が最も注力するの、「配慮を要する児童・保護者の振り分け」です。要は、(複数の)問題のある児童・保護者を1つのクラスに入れないで、別々のクラスに分けるということです。

このように、担任は次年度以降子どもたちがより良く成長していけるよう(あと保護者や新担任にクレームを入れられないために)、クラス分けに頭を悩ませます。

その他にも、以下のような点を配慮して決定しています。優先順位の高いものから書いていきます。

  • 男女数、各クラス均等振り分け
  • モンスターペアレンツなどの問題のある保護者の振り分け
  • 学習障害、発達障害等特別な支援を要する児童の振り分け
  • 相性が合わない親同士の振り分け
  • 相性が合わない児童同士の振り分け
  • 学力差が出ないような振り分け
  • 運動能力差が出ないような振り分け
  • 居住地域に偏りが出ないような振り分け

こんなところでしょうか。

担任はこれらの条件すべてを考慮してクラス分けを行います。ちなみに、私は担任時代、なかなか決まらず何度も何度も分け直して、決めていました。

なお、新1年生の場合、直接的な情報が少ないためここまで細かくないですが、幼稚園・保育園・教育委員会からの書類や面談等の間接的な情報を得て、決定していきます。

◆「あの子と一緒にしないで!」―懇願は効果あり!?

年度末が近くなると、「〇〇くんとは同じクラスにしないでください、先生!」という保護者からの懇願(要求)があります。

彼らは、ウチの子は〇〇くんと合わないとか、〇〇くんは授業妨害するとか、そのような理由で担任にクラス分けについて懇願(要求)してきます。

〇〇くんが現在同じクラス(旧クラス)の場合もあるし、現在は違うクラス(同じ学年)の場合もあります。

これ、効果があるかというと、あんまりバラすと良くないかもしれませんが、効果あります

理由は、学校側はクレームを入れられたくないからです。

もしそのような懇願があった場合で、次年度同じクラスにしてトラブルが起きたらどうでしょう。想像に難くないですよね、間違いなくクレーム入れてきます、「昨年末言いましたよね、違うクラスにしてくださいって」って。

ですから学校はそれを恐れて、保護者の懇願(要求)をのむケースが私の経験では多いです。

私個人としては、そんなのおかしいと思います、言ったもん勝ちなんて。

ワガママ言う保護者もおかしいけれど、それをのむ学校もな~って感じです。

ただし、そのような懇願(要求)を行うと、職員室内で情報が共有される可能性が大です。なぜなら、担任は必ず管理職に報告するからです。ですから、学校の先生たちにあそこの保護者は程度が低いと思われてしまうリスクが大きいですからね。そのようなリスクを承知のもと、どうしても、どうしても、ということであれば懇願(要求)を行うのも(本当は良くないけれど)良いのではないでしょうか。くれぐれも気軽な気持ちで行わない方が良い、ということです。

ちなみに、私は同僚の担任が保護者から、「ウチの子は過去〇〇くんとこのようなことがあって、から始まり、もし同じクラスになったら学校に責任をとってもらいますからね!」というA4用紙3枚にびっしり書かれた、もう脅迫レベルの要求(もはや懇願ではない)を見たことがあります。

こういう懇願、担任・学校は間違いなく疲弊しますので、万が一行うときはくれぐれも丁重に。

★まとめ

  • 誰が決めているか⇒担任(+学年教員+専科教員+管理職)
  • 基本的な考え方⇒なるべく平等に分ける
  • 分け方⇒配慮事項を考慮して分ける
  • 懇願は効果ありか?⇒あり

いかがでしたか。クラス分けの決め方を知っていると、我が子にも説明できますし、クラス分け後の学年の子どもたちを見てもまた違った視点で見ることができるかと思います。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「小学校・クラス分けの決め方」でした!

関連記事:担任の先生はどうやって決められるの?元小学校教員が校長の人事(10の配慮事項)を解説します

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