勤務時間が8~17時だとして、授業が15時過ぎまで。
仮に会議、保護者対応、研修等が一切ないとしても(そんな日は珍しいですが)休憩時間を差し引いて残りは約1時間。
今回は、この1時間では終わるわけのない仕事を5つ挙げます。
では、元公立小学校教員が挙げる、「サービス残業しなくては終わるわけのない5つの仕事」です。
1.通知票作成
一般的に「あゆみ」といわれている通知票。
小学校の場合、学校にもよりますが、20~40人の児童の、
- 担任は一教科3~4項目×7教科の評定(ABC)
- 100~300文字程度の所見×2~3箇所(総合所見、総合的な学習の時間所見、外国語活動所見)
を作成、チェック、印刷、押印(こんなのいる?)しなくてはなりません。
仮に毎日、他の仕事がまったくなく放課後の一時間丸々使えたとしても2週間以上はかかります。
勤務時間内に収まるわけがありません。
よって、現実は担任は夜遅くまで、また休日を使って、残業代ゼロで行うのです。
これが年に3回(3学期制の場合、2期制は2回)あります。
通知票作成の時期が近づくと職員室は皆、憂うつで、どこまで終わったかどうかの話題でもちきりになります。
2.授業の準備
授業の準備は、教材研究から始まり、発問の用意、板書計画、ワークシートの作成・印刷等が必要で、1時間の授業を行うにあたって最低でも(本当に最低レベルでも)30分は必要です。
小学校でいえば担任は1日5~6時間、週25~30時間程度の授業があります。
つまり、最低でも1日3時間、週15時間は授業の準備にかかるということです。
しかし学校の世界では、本来最も大切にしなくてはいけない授業の準備は、最も優先順位の低いもの、最後に行うものとされています。
よって、心ある教員は子どもたちのために勤務時間外に行い、心ない教員は授業の準備を行わずに授業に臨むことになります。
3.校内研究の指導案
学校には校内研究という教員が学校ごとに教科・テーマを決めて行う勉強会のようなものがあります。
そしてその勉強会では学年に一クラス(あるいは2学年に一クラス)研究授業という校内の教員が集まる授業が行われるのですが、その授業者になると「指導案」というものを書かなくてはなりません。
指導案が完成するまでには
- 研究の方向性や授業の仕方についての話し合い
- それをもとに児童の実態のアンケートの実施・集計
- 児童の実態や指導の方針、授業の流れをA4・5~6枚程度にまとめ、チェックを受ける
- 印刷し、配布する
ことが必要です。
これが児童下校後の1時間で終わるわけがありません。
よって、強制的にサービス残業しなくてはならないことになります。
4.宿題の用意
授業の準備同様、宿題の印刷などのクラスの業務も最も優先順位が低い仕事とされています。
なぜか。
そもそも宿題(家庭学習)は、学習指導要領に定められているわけではなく、元々は完全に担任の「サービス」によって成り立っているものだからです。
しかし現状は、宿題を出すことが当たり前になってしまっているにも関わらず、基本的に担任の「サービス」であることはそのままであるので、職員室では最後に行うべきとされる仕事なのです。
勤務時間内に宿題を用意(印刷)できることもありますが、毎日のことなので大変で、勤務時間外に行われることの方が多い仕事の一つです。
5.卒業・進学関係の仕事
小学校の場合、6年担任は卒業間際の時期になると、卒業式の練習等で忙しくなります。
なかでも、卒業アルバムの文集づくりや進学のための私学進学者のための願書づくり等は、児童下校後1時間では終わらない仕事量です。
よって多くの6年担任は、勤務時間外に学習指導要領に定められていない卒業アルバムの作成を行ったり、本来教員が行うべき仕事なのか疑わしい願書づくりを行ったりすることになります。
★まとめ
たまにネット上には「教員は仕事の効率が悪いから終わらないだけ」という書きこみがありますが、決してそうではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
そして、教員はこれらの他にも、部活やPTAイベントへの参加等「そもそも明らかに業務ではないもの」も行わなくてはなりません。
勤務時間外のサービス残業を前提にした現状の労働環境のまままでは、授業の準備に注力できない、教員志望者の減少等、子どもたちのためにもなりません。
以上、元公立小学校教員トウワマコトが挙げる、「サービス残業しなくては終わるわけのない5つの仕事」でした!
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