国によっては逆効果だとして禁止されている宿題。
最近、ネット上には宿題が多すぎるという保護者の悲痛な訴えが上がっています。
(宿題代行業者が生まれるような状況ですからね)
ではそもそも、なぜ学校の先生たちはなぜたくさんの宿題を出したがるのでしょうか。
この記事では元小学校教員の著者が、その理由を5つから説明していきます。
1.保護者の要求がある
「宿題をたくさん出してほしい」という保護者の要求がある場合が結構あります。
私も実際担任時代、そういう要望を1学級2~3人の保護者から受けていました。
そのような親たちに理由を聞くと、
- 私が勉強しろと言っても聞かない、宿題なら強制的にやらせることができる
というものです。
私は異端教員で家庭の学習は家庭でが基本だと考えていたので「検討します」とだけ言って完全スルーしましたが、多くの教員は保護者からクレームを受けないようにするために、要求を受け入れることが多いようです。
だから、担任は宿題をたくさん出します。
2.保護者の要求があると思い込んでいる
この件に限らず、保護者より圧倒的に立場の弱い今の学校にありがちなのが、「勝手な思い込み」です。
忖度というか、「保護者はたくさん宿題を出してほしいはずだ」という認識から、先回りしてたくさんの宿題を出している先生もいる、ということです。
根底に、宿題の量が少ないというクレームを未然に防止したい(あるいは熱心でないと思われたくない)という心理もあるはずです。
3.校長の学校経営計画にある
校長が学校経営計画に記載しているケースもあります。
私の勤務校がそうでした。
教育委員会から学力向上の取り組みを求められて、書いていました。
(教育委員会・校長ともに宿題が学力向上につながるという前提があるようでしたが、私はその理屈にはエビデンスはあるのだろうかと訝しく見ていました)
いずれにせよ、校長がそのように書いている以上、担任はたくさん宿題を出さざるを得ません。
4.担任が学力向上の取り組みとして書いている
これまた宿題に効果があるとの立場から、人事考課や学級経営計画の学力向上の取り組みの一つとして宿題を書いているケースもあると思います。
これは担任が善かれと思ってやっている分、一番タチが悪いケースかもしれません。
5.特に何も考えていない
- 惰性
- 前例踏襲
- 学年主任の意向
などの担任は特に何も考えていない、というケースもまあまああると思います。
一般の方にはよく分からない感覚かとは思いますが、上記の3つの要素は職員室では強く働きます。
根底には、例年やっているから、どの学年もやっているから、などの事なかれ主義があります。
★まとめ
- 保護者の要求がある
- 保護者の要求があると思い込んでいる
- 校長の学校経営計画にある
- 担任が学力向上の取り組みとして書いている
- 特に何も考えていない
そもそも学習指導要領に宿題の記載はありません。
(記載がないから出してはいけないということではありませんが)
また、一般的に家庭学習の時間の目安は学年×10分とされています。
この時間と大きく乖離するような宿題が出されるようなことが続くようでしたら、減らすよう学校側に伝えることも検討した方が良いのではないかと思います。
以上、「なぜ学校の先生はたくさんの宿題を出したがるのか?―その5つの理由を元教員が説明する」でした!