校長に甘く若手に厳しい中堅以上の教員たち

私が学校現場で働いていたときの職員室で感じた大きな違和感の一つは、「校長には甘く、若手には厳しい」中堅以上の教員が多いことである。

◆校長に抗議しない中堅教員たち

一つ具体例を挙げる。

例えば、勤務時間外における体力テストや運動会直前に必要な校庭のライン引き。

多くの学校が今でもこのような状態だと思うが、私が働いていたその小学校でも当時、校長が勤務時間内に収まるように労務管理をしていなかった。

で、中堅以上の教員たちは、本来は勤務時間内に収まるように労務管理していない校長に対して抗議すべきであるのに、そういった抗議は一切しないくせに、それどころか、若手教員に対して「若手なんだからライン引きしなさい」と本人に直接言ったり、「若手のくせにライン引きも手伝わない」などと裏で陰口をたたいたりするのである。

強い者にすり寄り、弱い者には強く出る。

“スネオ精神”。

法令(労基法)違反をしている校長はおとがめなしで、法令遵守している若手が責められるのだ。これは本当におかしい。当時も今もそう思う。

◆一事が万事

言うまでもなく、これは校庭のライン引きだけにとどまらない。一事が万事である。

彼ら中堅教員たちは、不必要な仕事を増やす・減らさない校長に対し異議を唱えるのではなく、「なぜ若手がやらない?」「経験を積むため若手がやるべき」と言うのである。

彼らの根底には、教員の仕事は特殊であり労働者ではない、お金のためではなく子どものためなのだから勤務時間かどうかにかかわらず仕事をすべきである、昔ながらのそういう考えがあるのかもしれない。

確かに教員という仕事には民間労働者とは異なる特殊な面もあるのだろう。しかし、学校教員にも労基法が適用されることは、文科省もはっきりと明示している。

コンプライアンス(法令遵守)が重視される世の中になり、そのような考えはもう通用しないのだ。

◆中堅以上の教員たちへ

中堅以上の教員。

あなた方がやるべきことは若手への残業強制でなければ、悪口でもない。

校長に対し「労務管理せよ」「時間外労働には応じない」と若手の先陣をきって筋を通すことだ。

それが学校や教育の未来のためになる。