元教員が教える、担任が保護者に発達障害の疑いを伝えることを自重する3つの理由

投稿者: | 2017年3月5日

  • 注意力の欠如や衝動性などを特徴とする注意欠陥多動性障害(ADHD)
  • 「書く」「聞く」「計算する」など特定の分野の学習に困難を示す学習障害(LD)
  • 知的発達に遅れのない高機能自閉症

小中学生の6.5%がこのような発達障害の可能性があるとの結果が文科省の調査で出ています。

小中学生の6.5%に発達障害の可能性(出典:日本経済新聞2012年12月5日)

学校現場では、親が我が子を発達障害と認識している場合と、そうでない場合があります。

親がまだ認識していない場合、それを伝えるのが担任ということになります。(本当に診断を下すのは医師ですが、「疑い」のレベルで最初に伝えるのは担任という意味です)

しかし、担任は保護者に発達障害の疑いを伝えることをためらうことが多々あります。

それはなぜなのか。

今回は、「担任が保護者に発達障害の疑いを伝えることを自重する3つの理由」についてまとめました。

 

1.親に攻撃されるリスクがある

担任が自重する最大の理由は、発達障害の疑いを伝達した後に親に攻撃されるリスクが高いからです。

どういうことか。

親にとって、我が子が発達障害ということを知らされるショックというのはかなり大きいようです。

これまで我が子が発達障害だと疑っていなかった親なら尚更です。

上記記事のとおり発達障害の疑いのある子どもは今、6.5%もいるので40人学級であれば約3人もいて、レアケースというわけではないのですが、保護者にとっては発達障害の「障害」という言葉がショックなようです。

ショックを受けても最終的には受け入れられる親は問題ないのですが、問題は時間を置いても受け入れることができない親です。(私の経験では、片親は受け入れたもののもう片親が受け入れられないというケースも多かったです)

こういう親は、事実を受け入れられないので、そんなこと言い出す担任が悪い、担任の指導が悪いから我が子が発達障害的行動をとってしまっているのだ、と考え出します。

そうであれば、我が子は発達障害ではなく、ショックを受けなくて済むからです。

それを正当化するために、どうするかというと、担任のすべてを否定し、事あるごとに攻撃するようになります。他の親に嘘を流して味方を増やしたり、我が子に担任の悪口を言う親もいます。

担任にとっては、一度そうなってしまうと、最低でも1年間はその攻撃に付き合っていかなくてはならないので。できる限りそのような事態を避けたいと考えています。

親が我が子を発達障害であることを知れば、色々と対応もでき、結果子どものためになるので、基本的には担任は良心により伝えようと考えるのですが、そのような攻撃されるリスクを冒してまでは伝えようとはしません。

ですから、担任は個人面談(家庭訪問)等の機会でのやりとりから、「この親御さんなら受け止められる」との確信を得た場合のみ、伝えることになります。

本来、担任はすべての親に伝達するべきなのですが、攻撃されるリスクを負う(また、担任を守らない管理職が多い)現状では、そのことで担任が責められることではないと私は思っています。

 

2.具体的な手が打てないケースが多い

小中学生の6.5%といっても、障害の重度は様々です。

特別支援学校に通うレベルから、特別支援学級への通級が必要なレベル、本当は特別支援学校への通級が必要だが定員がいっぱいでそれが叶わないレベル、ギリギリ普通学級でやっていけるレベル、などその症状は子ども一人ひとりによって異なります。

普通学級の担任が遭遇する最も多いケースは、「ギリギリ普通学級でやっていけるレベル」「本当は特別支援学校への通級が必要だが定員がいっぱいでそれが叶わないレベル」の発達障害の子どもです。

本来であれば、通級への通学や普通学級で支援員をつけたりできれば良いのですが、予算の問題でそれが可能な人数は限られています。

人数が限られているので、より重度の障害をもつ子どもたちで既に席がいっぱいな自治体が多いです。(特に都市部では)

そうなると、担任としてできることは、保護者への情報提供やスクールカウンセラー(SC)の紹介など、その程度に過ぎません。

ですから、上記のような攻撃されるリスク、保護者が傷つくリスクなども考え、伝えることを自重してしまうのです。

 

3.証拠の用意が大変

子どもの発達障害の可能性を伝えることには大きな責任が伴います。

そう考える根拠が必要となります。

ADHDなら具体的な授業中の様子や他の子どもとの関わりのケースについて、LDなら特定の学習が弱いという結果について、提示しなければ説得力がありません。

このような「証拠」を集め、整理し、提示できるような状態にする時間が十分にあれば良いのですが、現状担任は非常に忙しく、まったくそうではありません。

しかも、驚くべきことに学校(公立小中学校)の業界は、子ども(授業)や保護者(個人面談)に係る準備の時間は、仕事の優先順位最後になっています。

結果、担任はそこまで手が回らず伝えられない、ということもあります。しかし、彼らは決してサボっているわけではなく、その時間を用意していない偉い人たちの問題なのです。

 

★まとめ

担任は、クラスの親から攻撃されると精神的にも疲弊するし、校内での評価も下がるので、そのことを非常に恐れています。

それが、担任が保護者に発達障害の疑いを伝えるのを自重する最大の理由です。

現場経験者として保護者にアドバイスできることがあるとすれば、個人面談や保護者会、連絡帳でのやりとり等の機会を通じ、「この親御さんなら大丈夫だな」と思われるような振る舞いを普段からしておくことです。

そうすれば担任が発達障害以外のことについても、「本当のこと」を伝えてくれる可能性が高まると私は思います。(ただし、担任は医師ではないのであくまで「疑い」のレベルです)

学校現場に対して思うことは、発達障害の児童・生徒への対応において、もっと担任をサポートすべきだし、余計な仕事を削減する等多忙の解消も必要だということです。

子どもたちのために、発達障害の疑いがあることがスムーズに担任から親へ伝えられる環境が整うことを望みます。

以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「担任が保護者に発達障害の疑いを伝えることを自重する3つの理由」でした!

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