民間企業から公立小学校教員に転職した私にとって、教職の世界は驚くことがたくさんありました。
今回は、「民間企業から教員に転職して驚いた教員の世界の常識~10選~」についてまとめました。
1.教員が自ら進んで休憩時間や勤務時間外の労働に応じていること
教員の世界は、休憩時間に平気で会議が組み込まれていたり、休日に無給で地域のイベントに参加したりということが常識でした。
初任のとき、「勤務時間なんてあってないようなもの」と先輩から言われたこともありました。
私はこの価値観にも驚きましたが、それ以上に時間外労働(搾取)に対して抗議の声を上げたり、拒否したりということがほとんどないことにも驚きました。
さらに、運動会前の校庭のライン引きなど誰かに指示・命令されているわけでもないのに、自ら進んで勤務時間外に仕事(ボランティア)している人が多くいることについても驚きました。
私は、このように自ら進んで時間外労働に応じる教員がいることが、業務量が減らない一因と考えています。
2.会議や研修で居眠りする教員が多いこと
(子どものために仕方なくやっている人も含め)時間外労働に応じる人が多いためか、無駄な研修や会議が多いためか、その両方だと私は考えますが、会議や研修で眠る教員が多いことに驚きました。
管理職も時間外労働させてしまっている負い目があるのか、教員に嫌われたくないのか、注意さえしません。
給料=税金なのに良いのか!と何度も感じたことがあります。
勤務時間外に労働して、勤務時間に寝ている、本末転倒も甚だしい、この教員の常識にも驚きました。
3.ボトムアップがほとんどないこと
私が勤めていた民間企業(上場企業)では、一番下の平社員でも業務改善を提案する機会があったり、上司を評価する制度があったりするなど、現場の声を上層部にボトムアップする姿勢や取り組みがありました。
しかし、教員の世界では、校内では学校評価や職員会議で一定のボトムアップはあるものの、それだけです。
文科省や都道府県・市区町村の教育委員会はトップダウンでの指示・命令しかなく、一方的で、現場の声や実態を聞いたり見たりするつもりもなく、そのことに驚きました。
民間企業とは違い、間違った施策をうっても売り上げや給与が減るわけではないから、切実さがなく、それで済んでしまっているのかもしれません。
4.仕事の優先順位
学校全体に関わる仕事>学年に関わる仕事>学級に関わる仕事、という仕事の優先順位にも驚きました。
学校全体の仕事は誰でもできるが、学級の仕事は担任しかできないのではないかと私は考えたからです。
しかし、実際は「より迷惑を被る人数が多い仕事」が優先して行うべきという価値観がありました。(ですから、授業が上手い人よりも校務をこなせる人の方が評価されます)
よって、私は担任としての仕事、学級事務や授業の準備はいつも最後(勤務時間外)に行っていました。
授業の準備が一番最後、これでは子どもたちにとって良い教育ができるわけがありません。
5.休日を費やしても授業の準備時間がないこと
授業の準備が後回しにされる仕事であることはお伝えしました。
あまりに他の仕事が多すぎて、ここまでたどり着かず、私は平日の夜遅くあるいは休日に授業の準備を行っていました。
小学校の担任は週20~25時間程度の時数を担当しています。
中学・高校と異なり、同じ箇所の授業は二度とありません。
つまり、毎時間の準備が必要なわけです。
私は食事・トイレ・風呂以外の時間、休日もすべてを費やして仕事をしていましたが、充分な準備をして授業に臨めることはほとんどありませんでした。
教職に就く前から忙しいことは分かっていたが、ここまで授業の準備時間がないことには驚きました。
6.授業・学級経営よりも校務が評価されること
職員室では、授業・学級経営の良し・悪しよりも、校務分掌を積極的に行う教員ほど良い評価を得ます。
校務は学級の子どもたちにとっては一切関係ないのですが、授業の質よりも学校行政をしっかり回せるということの方が価値が高いとされているのです。
私はこの価値観に驚きましたが、また同時にこの価値観・評価システムを改めないない限り、教員の授業力は向上しないし、子どもたちは良い授業を受けることはできないだろうとも思いました。
7.歓送迎会や忘年会
民間企業でも同様の飲み会はありましたが、
- 給料から天引きの懇親会のシステム
- 会場は貸し切り
- 1回1万円前後の会費
- 忘年会は千円程度のプレゼントを用意してクジでプレゼントする(貰う)
等の教員独特の歓送迎会・忘年会には驚きました。
はっきり言って、このご時世、若手にとっては高すぎる!と私は思いました。
8.ICT環境があまりに遅れていること
民間企業に比べ、日本の学校現場のICTへの対応はあまりに遅れています。
- 教室がwifi環境にない
- 学級事務や成績処理など未だに手書きが多い
- 親への連絡は手紙(紙媒体)で連絡帳アプリは未導入
- PCルームのコンピュータは起動に一体何分かかるんだというお古
等々、民間企業にも諸外国の教育現場にも非常に遅れをとっている、日本の学校のICT環境にも驚きました。
9.締め切りはあって無いようなもの
仕事の締め切りを守らない人が必ずいます。
しかし、管理職も無理のある仕事量を教員に課していることを認識しているため、それほど強く締め切りを厳守するようには言いません。
地域のイベントや部活(ともにボランティア)に参加していたりすると尚更です。
ですから、必然的に締め切りは本当の締め切りのかなり前に設定されることになります。(締め切りを守らない作家に対して嘘の締め切りを伝える編集者のようです)
締め切りを守ろうとする真面目な人ほど苦しくなるこの暗黙の了解にも私は驚きました。
10.人間関係で物事が決まっていく
学校現場の細かいルールや行事の行い方は、職員会議や校長の独断で決まっていきます。
よって、学校長と良い人間関係を築けている人の意見が通っていくのはまだ分かるのですが、小学校の場合、女性(おばさん)が多く、その女性教員たちの人間関係によって意見が形成されていくことが間々あります。
こういう女性教員を敵に回すと面倒なので、校長もよっぽどのことではない限り、こういう女性教員たちの側につくことが私の経験では多かったです。
子どもたちにとってどうか、事の経緯から考えてどうか、ではなく、女性教員たちの人間関係で物事が決まっていくことに私は驚きました。
★まとめ
いかがでしたか。
上記の他にも、あまりにも仕事の守備範囲が広すぎることや形式ばかりで中身のない仕事や会議の多いこと等、挙げればキリがりません。
一般企業とは異なり特殊な世界だからといって、あまりに世の中とズレていることを続けている限り、「教員の常識は、非常識」と言われ続けることになるのはないでしょうか。
以上、元公立小学校教員トウワマコトによる、「民間企業から教員に転職して驚いた教員の世界の常識~10選~」でした!
※追記:本記事の反響が大きく、本記事では書ききれなかった分を新たにまとめましたので、よろしければ続編もぜひ。
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コメント
痛快に耳が痛いです。
そして、ボトムアップの無さたるや、本当に酷いものです。たてつかない、文句言わない、そう言う教師が出世し、そう言う管理職が天下る。このクソシステムある限り、どうしようもないですね。だから、私含め一部の出世したくない教師が騒いでも、白けた雰囲気に打ちのめされます。そして「さっきは言えなかったけど、私も同じ意見だよ」って、コソコソする教師が後からすり寄ってきます。
飲み会、さすがに一万円は未経験ですが、
当たり前のように7000円なんて額が設定されます。
そして、高いと言いながら、安くしようとせず、前年度やった場所をただ繰り返して使っている教師達の姿にも情けなさを感じます。それ故、自分が設定するときは 、4000円台以下を探します。
まあ、飲み会なんで、気に入らなきゃ行かなきゃ良いだけですけどね。
情けない、情けない、
本当に情けないことが多い。
戦えば、虚しくなる。
諦めれば楽になれる。
でも、諦めたら教師失格と自分を奮い立たせてます。
もともと日本では教師=知識を伝える、というよりは、面倒を見る人のような立場だったと思います。子どもたちの模範となる大人の姿を見せること自体が業務ではないでしょうか?そうなると、部活動や学校行事にも熱入り、子どもたちを応援したくなる一方で業務の遅延を起こしてしまうのではないでしょうか?
こうした教師の情熱は伝統的なもので、あるいみ職人魂のようなものでもありますが、そういう態度を求める規約はありません。結局教師が頑張っていた子どものための活動は個人的なものとしてかたづけられているのが現状です。
海外ではそもそも教育に対するビジョンが徹底されており、日本とは制度も授業時間数も異なります。単純に比較しても日本の教師が良いとしている大事なものは比較対象になりません。
時間が足りないから、忙しいから、などと追われるように仕事する学校現場は改善が必要ですが、何をどのように改善すべきか、検証が重要です。企業にはビジョンがあり、それに向かって業務効率を上げます。学校現場においても、まず重要な改革は、教育のビジョンを教師が共有しているか?そもそもそのビジョンが正しい方向にむいているか?からではないでしょうか?
週あたりの授業時間は30時間です。
小規模校だと事務作業時間というものは存在しません。
子どもたちの登校から下校まで目いっぱい。
子どもが下校してから会議。その後やっと事務作業の時間がとれるのです。
土日や夜のサービス残業サービス出勤は当たり前のように行われています。
ブラック企業です。
ほぼおっしゃる通りです。しかし、歓送迎会・忘年会等についてはそれぞれの学校によるのではないでしょうか。私は後数年で退職ですが、経験した学校の中でそんなに高額な宴会は経験したことがありません。
wifi環境については、電磁波が子供の脳に影響する観点から整備は不要ではないかと思われます。
特に低学年や いわゆる発達障害と言われている子どもたちにとって電磁波が与える影響は大きいという考え方もあります。大学で産婦人科をされてる先生は妊娠発覚と同時に自宅のwifiを撤去し有線に切り替えられました。
おそらく学校にwifiが整備されていないのは上記の理由以外にコストの面や管理の面などが挙げられるとは思いますが。
親や教職員も もう少し電磁波が与える影響について情報を得て、学校のwifi整備は進めないでいただきたいと思います。
Wi-Fiの影響、
ネット検索すると色々な意見や
資料が出ていますね。
確かに無視できないことだと感じました。
それにしても、こういう物って、
何故安全性が最優先されないのでしょうね。
資本主義の宿命なのか?
安心して暮らせる事を優先した上での
文明でありたいですね。
私も情報関連に関わっているので、
慎重に考えたいです。
IT関係の仕事をしていますが、Wi-Fiの発する電磁波は不眠、生殖機能等に影響がある、という主張をしている人がいることは事実です。
どうしてこんな回りくどい言い方をしているか、というと電磁波を発生する電気製品はWi-FiだけではなくTVや携帯電話、電子レンジ、ドアホン、空気清浄機等数えればキリがないからです。
特にWi-Fiは2.4GHz帯という周波数帯を使用しますが、それはBluetoothや電子レンジと同じ周波数帯になります。Wi-Fiが有害なら電子レンジも有害、ということになります。それらを全て避けて生活することは現代では不可能です。
学校内でも携帯は通じると思いますが、それはつまるところ各携帯キャリアの基地局からの電磁波が学校を包んでいる証左でもあります。最近であれば教師の方はみなスマホを持っていることでしょう。スマホにはBluetoothとWi-Fiが飛ばせるようになっています。そして学校の中で「機内モード」にしている先生など皆無でしょう。ということは職員室や携帯を持ち歩いている人達の近くに子供が行けばいくほど電磁波を浴びて有害だ、ということになりますが、誰も問題視していませんよね。
なので学校にWi-Fiが整備されない理由が「電磁波が子供の体に影響があるから」という理由だとすれば、それは「ペースメーカーの人に悪影響なので優先席では携帯電話の電源を切りましょう」というルールを推進し続ける鉄道会社に似ています。つまり、、、古い。
通常体に影響があるほどの電磁波、というのは例えば発電所の高圧電線の近くで受ける電磁波とかそのレベルの話のはずだったのが「無線」という目に見えないものに恐怖を感じる人達の具現化したものが「Wi-Fiの電磁波危険説」と言ってもよいかと思います。
上のコメントの方も「ネットの情報を見た」と書いていますが恐らく論文や研究結果などの一次情報ではなく、このような恐怖を感じる方が「殺人電波だ!」と主張しているサイトを検索した結果かと思います。
本当なら労働環境がヒドすぎるなー
教育業界に染まりきってると「社会に置ける自分の価値」を考えるキッカケがないから、児童・生徒にそれを伝えろって言っても無理な話よね…
教師ってホント大変なんだな。想像以上みたい。体や心を壊して休む人がいるのもむべなるかなという感じ。
塾の講師5年間やってた範囲で分かったふりして物を言えば、公教育ってそんなにクオリティ高くないんだよなーいろいろ。システムからオワコンだったかー。