前回は、学級崩壊を見てみぬフリをする校長の理由について取り上げました。
現在、学校では残念ながら、校長だけではなく、教員も見て見ぬフリをする者が増えてきています。
責任の及ばない自分が担任するクラス以外の児童の問題行動やいじめが疑われるような場面を見ても、特に何もせず、見ていないことにする教員がいるのです。
今回は、彼らが見てみぬフリをする理由について、まとめました。
では、元小学校教員による、「自分のクラス以外の子どもの問題行動、いじめを見て見ぬフリする教員が増えた3つの理由」です。
1.忙し過ぎて自分のクラスだけで精一杯
- 1日5~6時間の授業
- 休み時間は、体育用具の準備や理科の実験準備など
- 給食・掃除指導
- 喧嘩の仲裁
- ケガをした児童や体調不良の児童の対応
- いじめアンケート等の調査への対応
- 親からの連絡帳の返信
- 宿題のチェック
- 手紙の配布
担任は子どもたちが登校したら、これだけの仕事をこなさなくてはいけません。
これだけで時間的にも精神的にもいっぱいいっぱいです。
ですから、他のクラス(特に他の学年)の子どもの問題行動やいじめが疑われる場面に遭遇しても、見てみぬフリをしてしまうのです。
ただでさえ忙しいのにこれ以上面倒に巻き込まれたくない、という感じです。
当然、教員一人ひとりのモラルにも問題はありますが、こういう状況を招いたのは、教員を超多忙にした、文科省や教育委員会、管理職です。
2.親からクレームを受けたくない
例えば、自分の学級ではない高学年児童が廊下で鬼ごっこをしているという問題行動があったとします。
本来、厳しく指導すべきですが、厳しく指導した日には親からクレームが入ることがあります。
今の教員にとって親からクレームを受けることは、職場での評価を落とす大きな痛手となります。
つまり、ただでさえ忙しいのに、特に責任を負っていない自分のクラスの子どもでない児童を指導したところで、デメリットしかないのです。
(本当はおかしいのですが、このようなことを考えざるを得ないほどに今の教員は追い込まれています)
また、いくらこちらが正しくても当該クラスの担任や管理職はクレーム対応せざるを得なくなり、迷惑がかかるという心理も働きます。
このように、親からクレームが入ると面倒な目に遭うので、見てみぬフリをする教員が増えているのです。
3.職場の人間関係
一昔前の学級経営は「学級王国」と揶揄されるほどよく言えば独立性がありましたが、今は「学年で揃えること」をしつこく管理職に指示されます。
(親からクレームが入ったときに管理職が「学年で決めていますから」と逃げられるように)
ですから今は、教員は学年が1つのチームとして動くことになります。
このような状況で自分が担任する学年以外の子どもに指導を行うと、基本的には感謝してくれる教員が多いものの、中には良いように受け取らない教員もいます。
若手だったら生意気と言われたりとか、学年主任同士の人間関係が悪かったりすると面倒な問題になったりすることがあります。
こういった理由から、わざわざ職場での人間関係のリスクを負ってまで指導するより、見てみぬフリを決め込む教員もいるのです。
★まとめ
言うまでもありませんが、教員全員が見て見ぬふりをするわけではありません。
しかし私はこのような、見て見ぬフリをする教員が年々増えていく実感がありました。
彼らはいじめの指導等で普段、子どもたちに「見て見ぬふりをしてはいけない」と言うくせにです。(驚くべきことに彼らの多くは自分が見て見ぬフリしている自覚はありません)
とはいえ、現場の教員だけの責任では決してありません。
このような、教員が見て見ぬフリをしないと損をするような環境をつくりあげ、放置している文科省、教育委員会、管理職の方により問題があります。
以上、元公立小学校教員トウワマコトが挙げる、「自分のクラス以外の子どもの問題行動・いじめを見て見ぬフリする教員が増えた3つの理由」でした!
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