先日、令和5年度の全国学力調査の結果を受けて、島根県の丸山知事が「義務教育の体を成していない」と記者会見で発言し、話題となりました。
全国学力テストについて島根県の丸山達也知事は22日、正答率が全国平均で5割しかない設問があり、子どもたちが置き去りになっているとし「義務教育の体を成していない可能性がある」と国を批判した。島根県の正答率も低かったため、21日に県教育委員会に対応を要請したことも明らかにした。
丸山知事が例に挙げた設問は小学6年算数で「椅子4脚の重さは7キロ。この椅子48脚の重さは何キロですか」との内容。正答率が全国55・5%(県48・7%)だったとし「これぐらいの数字を扱う能力を身につけさせられずに義務教育を終わらせたり、社会に出す教育は無責任だ」と述べ、原因分析や児童へのフォローが必要とした。
各学校で教員の長時間労働が常態化している問題を取り上げ「教員は一生懸命やっている。補充できず、欠員が出るほど現場が疲弊しているのに、この正答率ということは失敗。文科省の責任だ」と断言。学習指導要領の見直しを求めた。
「日常生活で使うような基本的な問題を55パーセントしか解けていない。これは仕組みがおかしい」と話しました。「仕組みがおかしい。仕組みを作っている文部科学省の責任だ」
丸山知事は、教育課程自体がオーバースペックになっていて、教員が疲弊していることが原因ではないかとし、教員が、つまづいた子どもたちに向き合えるよう、教育の仕組みを改善すべきとの考えを示しました。
◆小6算数 正答率55.5%の問題
では、実際の問題はどんな問題だったのでしょうか。
国立政策研究所に実際の問題がアップされていましたので、丸山知事が話題に挙げた問題を見てみましょう。小学校6年生の問題です。
正答は84kg。いすの数は、48÷4=12で、12倍。いすの数が12倍になると重さも12倍になるので、48脚のときの重さは、7×12=84で、84kg。
確かに、丸山知事が言うように、「日常生活で使うような基本的な問題」です。
今回の調査から約半分の児童がこの程度の問題を解く能力を身につけず、小学校を卒業することになることが判明したわけですが、結構衝撃的です。
個人的には、知事の「義務教育の体を成していない」という発言も、決して大げさではないと感じます。
(なお、誤答例については、次のように解説されています)
◆教員批判はなし
しかし私がそれ以上に驚いたのは、知事が教員バッシングをしなかったことです。
これまで学力低下のニュースがあると、常に教員批判がついてまわりました。
しかし、今回知事は、「教員は一生懸命やっている」「(教育課程自体がオーバースペックになっていて)教員が疲弊していることが原因」と教員批判ではなく、むしろ教員に寄り添う、理解を示すような発言を行っております。
そして、責任は文科省にあるとしたのです。
★まとめ
最後に、個人的な意見を述べます。
私も丸山知事の意見に賛同します。
- この程度の問題を解けないのは義務教育の体を成していない、
- 教育課程のオーバースペックが原因、
- 教員は一生懸命やっている、
- 責任は文科省にある
まったくもってその通りなのではないでしょうか。
このニュース、あまり話題になっていませんが、結構、危機的な状況だと思いますよ。