今国会で導入が検討されている公立学校教員の変形時間労働制。
10月8日(火)に衆議院議員会館で行われた、「変形時間労働制」導入撤回を求める署名集会を取材してきました。
正式には、「学校の長時間労働と給特法のこれからを考える集い」という名前の会でしたが、内容としては『変形時間労働制導入撤回を求める署名集会』だったと思います。与党議員に配慮したため、曖昧な会の名前になったのではないかと類推します。
では、本題に参ります。
◆会の要旨
会は現職高校教員の斉藤ひでみ教諭、過労死教員遺族の工藤祥子さんから署名の説明から始まり、名古屋大学内田良准教授などによる制度の解説等がありました。
主要なメディアの方々、文科委員の議員も多数出席されていました。
以下、会の要旨をまとめました。
斉藤ひでみ教諭「長期閉庁期間の延長で十分」
斉藤教諭は、夏休みにしっかりと休ませることが目的であれば、「長期閉庁期間の延長で十分」と言い、署名で挙げていた問題点から、変形時間労働制への反対を表明しました。
工藤祥子さん「過労死は夏休みまでもたない」
そして、工藤さんは、過労死遺族としてご自身の経験やエビデンスから、「過労死は夏休みまでもたない」と過労死は閑散期として設定されるとする夏休みまでもたずに起きていると変形労働時間制の危険性を指摘しました。
内田先生「閑散期のエビデンスを」
内田准教授は、「変形時間労働制を導入するならば、閑散期があるというエビデンスが確保されたうえで導入すべき」と述べられていました。
『撤回署名集会』での変形労働時間制に対する内田先生の解説。
「閑散期があるというエビデンスが確保されたうえで導入すべきで、中教審で出た唯一のエビデンスは有給休暇取得分の時間が在校時間から除かれている」 pic.twitter.com/Cz3wQU3W3f
— 東和誠(トウマコ) (@makoto_touwa) October 9, 2019
自民党教育再生本部長「変形時間労働制反対だけに議論を矮小化すべきではない」
文科委員の議員の多くが出席されていましたが、元文科大臣で自民党教育再生本部長の馳浩議員もこの会に出席されていました。
馳議員は、「変形時間労働制の導入は、教員の負担軽減に向けたひとつのファーストステップ。変形時間労働制反対だけに議論を矮小化すべきではない」と発言されていました。
馳議員の発言については全体を動画で撮りましたので、興味ある方はご覧ください。
— 東和誠(トウマコ) (@makoto_touwa) October 8, 2019
★まとめ
現場の声を聞くことなく一方的に「変形労働時間制」を導入してこようとする教育行政・政治に対し、大きな注目のなかで現場の声を政治の場に届けることができたという点において、成果があったのではないかと個人的には思いました。
ただし、だからといって今回の署名・会合を受けて、変形時間労働制の導入が見送りになるかといえば、それはまた別でしょう。
有り体ですが、そこにはやはり「世論の関心」が大きくかかわってくると思われます。
「世論の関心」が低ければ、そのまま通過してしまうような気がします…。