今年度の東京都教員採用試験の倍率が明らかになり、その低倍率が報道されました。
東京都教育委員会が実施した2024年度の教員採用選考について、小学校の受験倍率が1・1倍だったことが分かった。都教委が29日、発表した。小中高、特別支援学校を合わせた全体の倍率も1・6倍で、初めて2倍を切った。いずれも過去最低だった前年を下回り、教員の質の低下や人手不足がいっそう懸念される事態となっている。
小学校においては1,1倍ということで、ほとんどの受験者が合格です。
なぜ東京都は大都市で若者が多いにもかかわらず、これほどまでに人気がないのか。それはシンプルで、東京都教育委員会がこれまでに採ってきた施策に問題があったからです。
今回は東京都教員採用試験の低倍率を呼んだ6つの施策について、まとめました。
①土曜授業の復活
土曜授業の実施においては、現在各自治体に委ねられていますが、全国で一番積極的なのが東京都の自治体です。江戸川区、江東区、葛飾区、足立区などの自治体では月一度の土曜授業が実施されています。
なお、この土曜授業は振替休日はないので、月一回は週6日勤務となります。
②3地区異動
東京都は2012年に初任から3校の異動について、3地区回らないといけないルールに変更しました。3区ではありません。3地区(3~4区が一つの地区)です。
都教委によれば、この制度導入の意図は、教員の資質能力向上・人材育成だそうです。しかし、3地区、結構距離があります。若手は通勤で時間がとられることになり、築いた人間関係も毎回リセットされます。
③自動車通勤禁止
東京都は全国で唯一、自動車通勤が禁止されています。
以前は許されていたのですが、「民間企業では基本自動車通勤が認められていないのに、校内の敷地に駐車するのはズルい」という都民の声によって、禁止されました。
地域によっては市部など駅から遠い学校も学校もありますが、電車とバスを乗り継いで通勤する必要があります。
④多数決の廃止
東京都では2000年の学校教育法改正に伴い、全国に先駆けて職員会議での多数決を禁止しました。学校での権限を校長に集中させ、職員室から民主主義を奪ったのです。そして、この方針は瞬く間に全国に広がりました。
全国に先駆けてこのような施策を始めるところに、都教委の教員に対する姿勢は推して図るべしです。
⑤自己申告
当時流行の民間企業の評価制度にならい、導入した自己申告制度。これも東京都が先駆けて始めました。3か月ごとに目標と達成度をを決め、上司と面接し、評価を決する制度です。
効果がないとして、この制度を始めた富士通がとっくに止めているにもかかわらず、東京都は未だに継続しています。
⑥週案提出
他の自治体では毎週の提出は義務とされていませんが、東京都では毎週の週案提出が義務とされています。ただでさえ他の業務で手一杯なのに、東京の教員は大変です。教員の管理、締め付けが強い証左の一つです。
★まとめ
都教委が採用試験の低倍率を呼んだ6つの施策。
- 土曜授業の復活
- 3地区異動
- 自動車通勤禁止
- 多数決の廃止
- 自己申告
- 週案提出
低倍率を返上したいなら、大学3年から受験できるようにしたり、社会人採用の受験資格を緩和する前に、この6つの施策について撤回するべきではと個人的には思います。